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ラウール at TGC 2023S/S

2023年3月4日
ラウール9回目のTGC。
心をかき乱されまくったあの1週間のことを振り返ります。

ジェンダーレスラウール


2月24日。

その年の1月に開設されたばかりのラウールの個人インスタに、その衝撃的な写真がアップされた。

黒いシースルーのトップス
ミニスカートにも見える短いパンツ
黒のストッキング。
ヘアメイクも立ち姿も表情も
私が今までに見たことのない、
性別を超越したラウールの姿。

びっくりした。

ただただびっくりした。

私が好きになったラウールは
それまでは確かに男性の姿をしていたのに。
一体どうしたことか。

そしてその画像には
Tokyo Girls Collectionの文字が添えられ
3月のTGCにラウールが出演することが知らされた。


前回のTGCの考察をした際、
私は勝手にひとつの結論を出していた。

ラウールは新しいフェーズに入り、今後TGCには出ない。

思えばそれは願望だった。

モデルとして世界をまたにかけ
本格的に活動を始めたラウール。
1月にはパリでYohjiYamamotoのショーにも出て、
様々なブランドから招待もされ、インスタも開設した。
世界のファッションメディアに見つけてもらいかけている。

そんな中アップされたこのルックは
「ちゃんとしたファッションショー」で
本気のモデルが本気で歩く時に着るやつ

だと思った。

ペンライトが振られる中、TGCのランウェイを
このルックでラウールが歩くんだろうか…

考えただけで暗澹とした気分になった。
ラウールの価値が下がってしまうような気がして心がザワザワして、泣きたい気持ちでいっぱいになった。


Which dare we choose?


翌日、ラウールのインスタに立て続けに二つの投稿があった。


白いドア。
そして、昨日の黒いジェンダーレスなルックとは打って変わって、
ストリートファッションのような
やんちゃで可愛い黄色を基調としたルックの投稿。

キャプションに
Which dare we choose?🟡⚫️

とある。

「あえて選ぶとしたら🟡か⚫️、どっち?」

コメント欄には、昨日の黒いルックと今日の黄色いルック、どちらが好きだとかどちらも好きだとか選べないとか、そんな言葉が並んでいる。

私は、なんでわざわざ2種類のルックを投稿したんだろう?
そしてなぜわざわざ、どちらかを選ばせようとしてるんだろう?
ということばかり考えていた。

TGCのステージに2回登場するつもりなのか?
それなら一つ選ぶ必要はない。

途中で着替える?
現実的じゃない。

今からどっちで出るか決める?
そんなまさか。

結局答えはわからないままだった。

あの白い扉の意味もよくわからない。

扉の向こうにラウールの世界が広がっていて、
観客はその扉から中に入る
という演出が待っているのかと思ったら
次に投稿されたリールで
ラウール自身が扉をバーンと開けて出たり入ったりしていたので
それも違うんだなと思った。


3月4日、TGC当日


ラウールは出演しないと思い込んでいたものだから、私はいつもの通り仕事のシフトを入れてしまっていた。

前回の出演はラウールのヒント通り、
「ちょうどいい筋トレくらい」=3セットくらい
=sunset(日の入り)くらい
ということで18時すぎだったと思う。

今回もそれくらいなのかなと思いながら
遅番勤務で16時頃に家を出たら、
通勤途中でインスタの通知が鳴った。

ラウールが、TGCの舞台を終えた直後の紅潮した顔で、息を切らして水を飲みながら、画面を覗き込んでいる。
休憩時間の20分ほどを使ってインスタライブを始めたのだった。

その姿は、インスタに上がっていたどちらのルックとも違っていた。

編み込んだ髪、ドレッド風のつけ毛
キラキラしたメイク
黒と黄色のタンクトップ
色とりどりのフリンジがついたジャケット。

興奮した口調で、めちゃくちゃ楽しかったと語っている。

今撮影したばかりのパフォーマンスをスマホで見ると言い、視聴者にも一緒に見せてくれる。
私はまだ見ていない映像だからネタバレだけど
ラウールがこちらに見えるように画面を向けてくれるから、覗き込むように見入る。

ラウールは終始ご機嫌で
自分のパフォーマンスを見てさらにテンション爆上がりしている。

ただただ楽しそうな、気持ちも体力も充実した、
どこを触ってもぴちぴちと音がしそうなラウールの顔、体。
キラキラキラキラ輝いている。

見ているだけで幸せが伝わって自然と笑顔になる
素敵なインスタライブだった。


このインスタライブでラウールが、今回のパフォーマンスの意味を解説してくれた。

彼が小さい頃から取り組んできたヒップホップの
かっこよさとかクレイジーな感じ。
それを取り入れつつ、
今モデル活動で頑張ってる
モードっぽさ。
その二つをうまいこと、
衣装もヘアもダンス、ビジュアル、写真も
重ね合わせるていう作業をずーっとやっていたと。

それはとても楽しい作業だったと。

師匠であるRIEHATAさんと一緒に仕事するという夢が叶った喜び
ヒップホップとモードを重ね合わせるという、それをデビューした自分がやるという挑戦の楽しさを語るラウールを見ながら、
もう彼はTGCに出ないなどと決めつけていた自分の愚かさを笑いたくなった。


重なり合う、過去と現在、そして未来。


インスタライブの余韻を噛み締めながら
仕事をしている間中、
私はさっきラウールが話していた
ヒップホップとモードを「うまいこと重ね合わせる」
という意味について考えていた。

人は誰しも生きて行く中で色々な経験をして、
たくさんの人に出会い、
少しずつ変化していく。
それが「成長」だと思っていた。

その時々で必要なものを取捨選択し
あるときに熱心に取り組んでいたものも数年たてば
過去のものになり
興味自体失ってしまうことが
私の人生ではしばしばあった。

その一方で、いっとき取り組んでいたことが何年も経ってから、ひょんなきっかけでまた役に立つこともあって
人生で無駄な経験などないのだなと感じることも、やはりたくさんあった。

人が見たり聞いたり感じたり、
学んだり体得したりしたことは
忘れたように見えても消えてしまうことはないのだ。


ラウールが小さい頃に一生懸命に取り組んでいたヒップホップは
今の事務所に入り、
アイドルとして生きて行くと決めた時点で「以前のもの」になったのだろう。
そして今、これから一生懸命に頑張るのはヒップホップと全く違う、モデルとしての活動。

私なら、ヒップホップは一旦忘れてモデルとして新たなスタートを切ろうと考えたかもしれない。

でもラウールは違った。

過去の自分と、今の自分、これからの自分を
どう重ね合わせれば、もっと素晴らしい自分になるのかを模索する。

過去と現在を「混ぜ合わせる」とも違う。
混ぜてしまえば形が変わってしまう。
そうじゃなく、あくまでも過去は過去のまま
現在は現在のまま
形を保ったまま、うまく重ね合わせる方法を探す。

それは、過去に頑張っていた自分も
今別の道で頑張っている自分も
これからどこかで頑張ろうとしている自分も
どの自分も大切にしようとする姿勢の現れだと思った。


私たちファンは
ラウールが世界に見つかり、大きな存在になると
どんどん手が届かない場所に行ってしまうような
寂しさと焦りを感じていた。

でもラウール本人は
いつの自分も形を変えず大切に残していて、
どんなに大きな存在になっても決して過去の自分を忘れたりしない。

そう思えて私はただただありがたく、
これからの彼のことも全身全霊で愛していこうと
勝手に誓った。

仕事が終わり、帰宅して
改めてラウールのパフォーマンスを見た。


最高にクールで
セクシーで
かっこよくてクレイジー

ラウールの魅力が全て詰まった圧巻のパフォーマンスだった。


最後に


今回この記事をまとめているときに初めて気づいた。
気づいた瞬間びっくりして鼓動が早くなった。

なんていうんだろうこれ。
インスタのリールのサムネイル?(上にもリンクを貼っている)

よく見てほしい。

重なっているのだ。
黄色いルックと黒いルックが…

答えはとっくに出ていた。

Which dare we choose?🟡⚫️
の答えは
We choose both だ。

どちらか一つを選ぶなんてナンセンス。
過去も現在も未来も、すべてを連れて
私たちはこれからも生きて行く。


おわり






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