「スープの国のお姫様」は料理の世界の「ビブリア古書堂の事件手帖」かも
樋口直哉の謎解き×料理の蘊蓄で二度おいしい食ミステリー「スープの国のお姫様」を読みました。主人公と謎の美少女の関係性、地域性、2人で事件を解決するところなどがビブリア古書堂の事件手帖と似ている気がしたので、比較しながらご紹介します。
美女が出てくる
「ビブリア古書堂」では巨乳の美女、「スープの国」ではほくろが特徴の細身の美少女JKが出てきます。
湘南という異文化圏
「スープの国」は湘南が舞台。元料理人の僕が、別れた恋人から奇妙な仕事を紹介されて、湘南に建つ古い屋敷で、一人暮らしの高齢のマダムのために、毎晩一杯のスープを作るんだよね。
「ビブリア古書堂」は鎌倉でしたっけ? 私にとってはどちらも神奈川、昔は上流階級の人が住んでいた閑静でお上品な場所、つまり異世界という設定でした。
彼女の知識が半端ない
「ビブリア古書堂」の彼女は古書に関する知識がべらぼうで、コミュ症なのに古書の話になると、饒舌・強気な別人格が発動します。
「スープの国」は古今東西の料理に関する知識が豊富で、とても高校生とは思えない。子どものころ失った両親の、死の謎を解明したい一心で、お母さんの蔵書を読み漁って料理の生き字引みたいになってしまった。
彼女はマダムに呼ばれてお屋敷に来たようでしたが、友だちいなさそうだからコミュ症? そして、ツン系である。
主人公は本を読まない実践派
「スープの国」の主人公は料理は体で覚える派で、料理の本は読んでなかった。一方、「ビブリア古書堂」の主人公は子どもの頃のトラウマで本を読むと気持ち悪くなってしまう体質なので読めない。
「ビブリア古書堂」の彼は長身で体育会系、「スープの国」の彼は身体能力については記載ないけど、料理のテクを体で覚えている。どちらも実践派といえるでしょう。
情報・知識は彼女からもらい、やるのは男、と分担ができてる。(だからケンカにならないんだ。)
シェフが美少女とスープにまつわる謎を解く
料理人の僕が、無理難題のようなスープをリクエストされるのですが、古今東西の料理に関する知識が豊富な美少女・千和と力を合わせて、隠された”謎”を解いていく、という話です。
出てくるスープ
ポタージュ・ボンファム、ビールのスープ、画家ロートレックが愛したスープ、偽ウミガメのスープなどです。
最後には、主人公がずっと探し続けてきた「母と最後に食べた想い出のスープ」も判明します。
出てきたスープの中で、作りやすそうだと思ったのは、クスクスのスープでしたが、実際はどうでしょう。
恋愛少し入ってる?
「ビブリア古書堂」は恋愛バリバリ入ってました。主人公のほうが年下で栞子は憧れの存在だった。年の差はそんなでもなかったと思うけど。2人は事件を解決しながら恋愛を育み、結婚し、娘も生まれました。
「スープの国」はどうでしょう。
主人公も千和も、幼い頃に母と離れ離れになっていて、シンパシー感じている風でした。こちらの2人も事件を解決しながら、少しずつ心を通わせていきます。
お互いに思い合ってると思いました。恋愛感情ありそうでした。
主人公は31歳、美少女は17歳。10歳以上離れてるけど、加藤茶夫婦に比べたらかなり普通といえましょう。
が、くっつくことなく終わってしまいました。
続編に期待したいです。
巻末に参考文献リストつき!
どちらも巻末に参考文献リストがあります。
「ビブリア古書堂」のときは、リストの本を図書館で借りたりしました。
「スープの国」はちょっと難しそうでしたので、代わりに、樋口先生の料理の本を借りてみました。試してみたくなる料理もいろいろありました。
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どちらも二度楽しめる、面白い本でした。