夏の和歌 鳳仙花(ほうせんか)ちりておつれば /窪田空穂
こんにちは
みやゆうです。
今回も、夏の歌を鑑賞して参りましょう!
鳳仙花(ほうせんか)ちりておつれば 小(ちい)さき蟹(かに)
鋏(はさみ)ささげて 驚(おどろ)き走(はし)る
作者は、明治から昭和の日本の歌人で、国文学者でもある窪田空穂(くぼたうつぼ)です。
「国民文学」を創刊したり、朝日歌壇の選者になったり、早稲田大学の教授を務めたりして、文化功労者になったような方です。
生地の長野県松本市には記念館があって、作品や日本古典文学・短歌に関する資料が紹介されています。
本棟造りの生家も、明治8年の往時の姿のまま保存されているんですって、すごいですね。
この作品は中学校の教科書で読んだことのある人もいることでしょう。
歌の意味は、
鳳仙花の花がぽろぽろ落ちると
その下にいた小さい蟹が驚いて、はさみを上げて走っていくよ
「鳳仙花」はツリフネソウ科の一年草、夏に赤や白の花を咲かせます。
丈夫な草ですので、蟹の住む川べりに、咲いていたのでしょう。
「驚き走る」は、蟹の動きを擬人化した表現です。
あわてたように、ユーモラスに動く蟹のようすが目に浮かびます。
鳳仙花は花の色が鮮やか目を楽しませてくれますが、種が熟したころ、触るとぱんとはじけるのも面白いです。
私が鳳仙花で思い出すのは大島弓子の漫画「ほうせんか、ぱん」です。
主人公の女の子とカッコイイ女友だち、幼なじみの男の子のひと夏の物語。
ちょっとした三角関係の話だったと思いますが、最後のほうで、鳳仙花の種の色を当てるというシーンがありました。
今にして思えば、はじける鳳仙花の種は、思いがふいにほとばしる感じや、主人公たちの若さを象徴するものだったのかもしれません。
あの漫画はまだ家にあるのかなあ。もう一度読み直してみたいです。
いかがでしたしょうか?
これからも素敵な和歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!