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バレンタインの奇行【後編】
▼前編はこちら
織部くんに告った翌日から、私は10日間のトルコ旅へと飛び立ちました。
当時はまだガラケーで海外でメールを確認する技術は持ち合わせておらず、帰国するまで状況はわかりません。海外旅行は人生2度目・初めてのヨーロッパ。
二重の意味でドキドキしつつ存分に旅を楽しみました。(しっかり楽しみました)(しっかり楽しめたんかい)
なお、一緒に旅行に行ってくれた友人に「昨日告ってきた」とここまでの流れを報告したらドゥン引きしていました。
「義理じゃないからね」ってなんなん!?
キモ!!!!!
帰国し自宅のポストを見ると1通の手紙が入っていました。
差出人は、2月13日にお別れした元彼。
・復縁希望
・君のことが大切だ
そんなことが書いてありました。
内容に関して全く記憶がないのだけど(上のざっくり要約も、実は昔のブログから引用)、当時の私はこの手紙を泣きながら読みました。
そして、元彼と復縁する事を決意するのです。
・
・
・
うん、
皆さんのおっしゃりたいことはわかります。
おまえはいったいなにをしているのか?
陰極まりしこじらせ人間ってのは、予想もつかない動きをするみたいですね。
有り体に言えば、根底にあったのは
「とにかく自信がない」ということ。
数年間親しい友人ができずに孤独で、そのさみしさを埋めてくれていた存在が、当時付き合って3年目の元彼でした。
とても優しくて私のことをすごく好いてくれていたし、3年という時間は思いのほか長く、たくさんの思い出が積み上がっていました。
でも仮に、私が今現在みたいに、ある程度自分に自信を持って、取り繕わずに自然体で人と接することができていたら・・そんな私だったら、きっと彼とは付き合っていなかったように思うのです。
でもそんなもしもは存在しないし、まして当時はこんなに俯瞰して考えることなどできなかったし、「根底にある自己否定」を直視できなかったと思います。
だから手紙を読んだ瞬間に、ああやっぱり私には元彼が必要で元彼も私が必要なんだ・・・という結論に至ってしまったんですよね。ゆる共依存。
闇深いので元彼考察はここまでにして、
織部くんのことよ。
どーすんの!!!
この時まだ織部くんからお返事は来ていません。
仮に返事が
NOだった場合は何の問題もないけど
(いやなくはないだろう)
YESだった場合がやばいよ?
(さすがに勝算0%で告ったわけではない)
やっっばい!!
早くしないと。返事が来る前に、一刻も早くどうにかしないと。時差ボケも冷めぬままに織部くんに電話をかけました。
錯乱状態で具体的にどんな会話をしたのか
記憶が曖昧ではありますが、
・元彼とヨリを戻すことにしたこと
・そのため先日の告白はなかったことにしてほしいこと
・心からの謝罪
を伝えました。
すると織部くんはおだやかに
「うん、わかったよ。」
と言いました。
本当に本当にすみません。
意味分かんないよね。
本当にお騒がせしてごめんね。
・・・って謝り倒したけど
そもそもまだ返事をきいてないわけで
何に対して謝ってんのかもよくわからないけど
恋愛経験の浅い私でもわかるさ。
告白のクーリングオフとか
悪質以外の何者でもないよ。
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あとがき
最後までお読みいただきありがとうございました。
私の奇行はお楽しみいただけましたか?
この記事は2022年に書いたブログの内容をリライトしたものです。挿絵は当時イラストレーターさんに発注し描いていただいたものです。
コストかかってんねん!
コストをかけて黒歴史を晒す意味とは😂
すごく私らしいなと、お気に入りの記事だったので、改めてnoteにも載せてみたくてね。
実は織部くんとは後日談があり、
資本主義が生み出した春の魔物にお誘いいただき、おしゃれ古民家カフェでランチをご馳走様になりました。お返しのお菓子もいただきました。
京都のおしゃれな古民家カフェで、男の子とたわいもないおしゃべりをする・・・これは、私の求めていたキャンパスライフの中の一風景。
なんだかんだで織部くんが叶えてくれました。
私の奇行については一切責めることもなく
穏やかに、友人として楽しくトークしたよね。
てゆかさ、私のクーリングオフに対しての織部くんの返し、
「うん、わかったよ。」
↑これ、神がかってない?
「僕は別に君のこと好きじゃなかったけど」
とか
「さすがにイラッとした」
とか
ちょっとした嫌味を言っても大いに許される場面において、最も穏やかで、最も私を傷つけないワード選びといいますか・・・
やっぱり私が好きになった人だわ・・
「優しい」があふれていますね。
10数年経った今、私は色んなパラレルを妄想して遊んでいます。
元彼と復縁しなかった世界線
→織部くんとはお付き合いできていたのであろうか?できていたらどんなデートをしてた?関係性はどれくらい続いた?
元彼と復縁しなかったけど織部くんからも振られた世界線
→生きてる?
そもそも元彼と別れずに織部くんに告っていた世界線
→だいぶ面白い
ああでも、1番気になるのは、織部くんは、
私に告られたその瞬間は
うれしかったのかな?
それとも
複雑な心境だったのかな?
どんな気持ちだったのだろう。
誰か、エスパーの人、教えてください。