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画面越しのスピード恋

 サークルのZOOMに顔を出したら、すごくタイプな人が写っていた。色白で黒髪で細身で、おまけに童顔。ほっぺたが薄くてやわやわしてそう。色白の良いところはデフォルトで紅い唇だと思う。白い肌とのコントラストがセクシーだ。

 話を聞いていると頭の回転が早いのがわかる。いつの間にか会議で決まったことが箇条書きにされてチャットに共有されていた。僕じゃなくてもできることは違う人にやってもらったほうがいいかなって、と片方の口角をあげながらも、そういうことはチャチャッとやってしまう。全体の様子を俯瞰して要所要所でスマートにタスクをこなせる人や、その場で求められていることを理解してサクッと片付けちゃう人に憧れる。

 学年が二つ上だから、年齢的にはたぶん一つ上。今年はもう絡みないだろうし、来年は引退だからもっとないだろうな。なんて思いながら、画面を眺める。
 あー!好き!タイプ!って思っても、とっかかりもきっかけもない今の世の中じゃ、恋愛スピード狂もなかなか本領を発揮できないんじゃないだろうか。

 とろんとした垂れ目に、笑うと控えめな口の右側が大きく上がる。いいなあ、好きだなあ。と画面越しに軽率に恋に落ちる。
 好きだと思ったら、好き。好きの定義がそれでいいならこれだって恋だろう。

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