ビル・ラズウェルと私 その1
偏愛しているミュージシャンが3人いる。
ルー・リード、ジャー・ウォブル、そして…ビル・ラズウェルだ。
三人中、二人がベーシスト。ベースという楽器がとりわけ好きなわけではないと思っていたけど、もしかしたら好きなのかも(笑)。
ビル・ラズウェルとは音楽プロデューサーである。
スクラッチを取り入れたハービー・ハンコックのヒットナンバー「ロックイット」が収録されたアルバム「フューチャー・ショック」(1983)をプロデュースしたことで一般的には知られていると思う。ビルはこのアルバムでグラミー賞を受賞し、当時の音楽業界での評価を確固たるものにした。
私とビル・ラズウェルとの出会いは、高校卒業後、予備校を辞めてフラフラしていた時、音楽ライターの岡村詩野さんがMCをしていたNHK-FMのヴェルヴェット・アンダーグラウンドとルー・リードの特集番組で、マテリアルというユニットの名前を聴いたところから始まる。
マテリアルとはビル・ラズウェルが最初期にやっていたユニットで、なぜラジオでこのユニットの名前が出たかと言えば、ルー・リードの傑作アルバム「ブルーマスク」にマテリアルのドラマー、フレッド・マーが参加していたからである(ちなみにギターの元リチャード・ヘル&ザ・ヴォイドイズのロバート・クワインもマテリアルのアルバムにゲスト参加している)。
このユニットの名前が印象に残っていた私は、地元福岡の都市・小倉魚町に当時あった中古レコード屋でマテリアルのCDに運命的な出会いを果たした。「なんだかショボい音像だな」と思ったのが第一印象。でも、なぜか嫌いになれず、聴いてるうちにどんどんハマってしまった(笑)。
その時、一番ハマった曲がこれ! 「Detached」(Material「Temporary Music」(1981)収録)
うーん、ダサい!!!
ダサカッコいい!!!!
そう思いません?(私だけかな……)
好きなものは理屈じゃなく、身体が反応してしまうということを教えられた。
こうして私は、ビル・ラズウェルの沼に片足を踏み込んでしまったのである……。
(続く)