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ドラパの感想

シンジュクドラパの感想です。
ネタバレあり。あくまで個人的な考察、感想です。
一二三が人間離れした純粋さを持っているので、その性格について聖書を絡めて解釈しました。




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長年隠されていた一二三の過去が明らかになりました。仄仄は一二三ではなく一二三の家族仲を壊したということ。母親に「産まなきゃよかった」と罵倒されるほど憎まれて事件以来会っていないなんて。可哀想で仕方がなかったです。

それでも仄仄に向き合いたい、理解したい一二三と反対する独歩。寂雷が帰った後、意見の相違から口論に発展します。

「おれっちが理解しないとあいつは前に進めない」 

これを最初に聞いた時、あいつは仄仄を指しているんだと思ったのだけど最後まで聞くと独歩だと解釈できました。一二三だけが知っている仄仄の事情や秘密があるのかなと期待して聴いたけれど一切なかったですね…

聖書に有名な一節があります。
「わたしたちの負い目を赦してください。わたしたちも自分に負い目のある人を赦しましたように」

一二三の自己犠牲について考えた時この一節を思い出しました。
一二三がなぜ自分の家族を壊した加害者の仄仄を赦して理解しようとするのか、まして友達に戻りたいなんて言うのかわからないという反応がネット上でよく見られました。
私自身も一度の視聴では一二三の考えがわからなかったです。

一二三は、独歩が自分のせいで暗い過去を背負っていることに罪悪感を感じている。
独歩が仄仄に対して持っている怒りや憎しみを取り除いて楽にしたかった。変えられない過去にとらわれず前に進んでほしい。そのためにはまず自分が仄仄を赦さなければならない。
長年苦しんで葛藤してこの考えに至ったわけですよね。それで独歩から異常、普通じゃないなんて言われたら苛立ってもしょうがない。

またこんな教えも
「ただ、自分の敵を愛しなさい。彼らによくしてやり、返してもらうことを考えずに貸しなさい。そうすれば、あなたがたの受ける報いはすばらしく、あなたがたは、いと高き方の子どもになれます。なぜなら、いと高き方は、恩知らずの悪人にも、あわれみ深いからです。」

見返りを求めないとはまさにこのことですね。一二三の生き方は普通の人には到底できるものではありませんがやはり見習いたい部分もあります。



そしてついに仄仄と一二三が対峙する。
寂雷と独歩が駆けつける。
真正ヒプノシスマイクを出した仄仄に自分が自分にマイクを使う(真正マイクは使った側が死ぬ)なんて言い出す一二三。
そんな一二三に仄仄は自分が劣勢だと感じたのかもう二度と二人の前には現れないと言い残し去っていく。
そして独歩が一二三に激怒する。

「誰かを救うために誰かの命が犠牲になるなんてあっちゃならないんだ」

「残されたやつのこともちゃんと考えろよな」

一二三が死んだら俺が本当に悲しいんだってことを直接本人に伝える。これはタイトルのNot for you をよく表したシーン。

口論した際に言えなかった本心が一二三に痛いほど伝わった。だから一二三も今までの無謀な行動を素直に謝ったのだと思います。
そして寂雷が自らの死と引き換えに衢を救おうとした場面では独歩が叱ったセリフをそのまま寂雷にぶつけます。
独歩に謝った時は少し軽い感じがしたんですが、このシーンのおかげで一二三に独歩の気持ちがしっかり届いていたんだなと認識できました。
一二三はエゴで自己犠牲しようとする寂雷を見て自分のことを客観的に見られたのかなと思いました。

血の繋がった家族はいないけれど独歩と先生という、本当に自分のことを愛してくれる家族ができたこと。仄仄との対峙によって一二三がそれに気づくことができたのがよかったです。
幼馴染2人が長年持ち続けていた重荷から解放された事実がファンとしては心からうれしいです。

タイトルの意味ですが、youは最終的には自分以外の麻天狼2人のことを指しているのだと解釈しました。自己犠牲で死ぬのもエゴだし、死を選ぶ仲間に対し自分が悲しいから死ぬなって言うのもエゴなんですよね。

そして最後に。もしこの私の超個人的な感想文を読んで「なぜ聖書の話が出てくるのか、一二三はクリスチャンではないだろ」と疑問を持つ方がいらっしゃるかも知れません。当然宗教と無関係な話であることはわかっています。
単純に一二三の自己犠牲について考えた時、ふと聖書の話を思い出しただけです。聖書が教える道徳心は宗教関係なくほぼ全ての人に通じると思います。復讐しない、どんな人にも思いやりを持って接する…
皆わかっているのになかなか実行できません。
だからこそエゴがあったとしても「究極のお人好し」としてこの美徳を体現した一二三のことを理解するのが困難なのかなと思いました。


ここから愚痴です


40分という短い時間でかなり急ぎ足でまとめたなと第一に思いました。
仄仄がホストクラブに入店したり、寂雷が真正ヒプノシスマイクを奪ったりと…都合が良すぎる展開でしたね。今回は一二三の過去が明らかになるだけで仄仄と対決してましてや女性恐怖症が治るなんて思ってなかったのでさすがに驚きました。公式は仄仄vs幼馴染の関係性を終わりにしてストーリーを進めたかったと思われます。
終盤は仄仄が小者に見えてきてがっかりしました。ミステリアスでサイコパスな女の印象が強かったので変に人間味が出てしまったのが残念でした。仄仄が一二三を傷つけた理由がわかればいいのですが、この先明かされることはないでしょう。視聴者の想像にお任せという雰囲気を感じました。
何より女性恐怖症も割とあっさり克服してしまったので興ざめになりました。もう少し丁寧に克服までの過程が描かれればよかったんですけど1人にそんなに時間かけられませんからね。こればかりは仕方ない。
個人的に女性恐怖症を克服しても姉と母との関係を修復することができないことを残念に思いました。女性が怖くなくなっても家族間の不和は解決できないので完全なハッピーエンドではないですよね。一二三は誤解解いて家族に会いたいより仄仄を理解したいが勝っていたので未練はないのかもしれないですが…。
シブヤも1話で今までの伏線回収しましたし、コンテンツとしても終わりに近づいているのを感じます。


シンジュクは初期は大人でドロッとしていてちょっと怖いイメージがあり、それが良かったのですがストーリーが進むにつれて「愛」がテーマになり曲もエモい要素が増えてきて自分が好きだった初期のシンジュクらしさが薄れています。次のバトルでどんな曲が出されるかわかりませんがあまり期待できません。

今回のドラパは自分にとって一番重要な内容だったので何度も視聴して自分なりに解釈しようと努力しました。
それでもキャラの言動に整合性が取れていないと感じたり、どうしても好意的に受け入れられない点もいくつかあります。
上では一二三のことをポジティブに書きましたが内心は自己中心的、人の気持がわからない、精神年齢が低いなど、不満がたくさんあります。一二三を叩く意見に同意してしまったり。自分勝手承知ですが好きでいたいのに自分の好きではないキャラになっているのが辛いのです。

そういうわけなので少しヒプマイから離れようと思います。離れるといってもグッズ全部捨てるようなことはしません。イベントに参加しなかったり新規のグッズを買わないくらいです。
10月公演の舞台のチケットは既に取ってしまったので行く予定ではありますが…

少し離れれば新しい見方ができるかもしれません。それを期待して、これからは今までヒプマイに使ってきたお金と時間を自己研鑽に使います。

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