まだ知らない感情がたくさんある
2023年5月28日
日本ダービーを見に行ってきました。
現地で見るのは初めて。
諸々は後ほど掘り下げますが、私にとって今年のダービーで気持ちが入っていたのは ハーツコンチェルト・タスティエーラ・スキルヴィング の3頭。
ゆえに、あまりにも沢山のものが詰まりすぎた1日になりました。
当日の感情の土台?としてそれぞれを見てきて感じていたことから順を追って書いていきます。
(マジで終始個人の偏った記録なのでここで折り返しても大丈夫です)
ハーツコンチェルト
ハーツコンチェルトといえばあの8馬身差Vの新馬戦。ただでさえ衝撃的だったのに、その背にいたのが1番ダービーを勝って欲しい騎手なのだからもうあの日の時点でワクワクが止まりませんでした。
デビュー戦から中京まで遠征して来た辺りにも期待の高さを感じましたし、それからはもうこの子の動向を全力で追うこととなりました。
トントン拍子にいくかと思いきや、スタートがうまく出られなかったり、緩さや不器用さなど課題も出てきて、ダービーまでの過程は思った以上の遠回りになりました。皐月賞を走ることは出来ず。(ただ、これは結果的に良かったのではないかとも思う)
背水の陣で挑んだ青葉賞は僅差の2着だったものの、晴れてダービーへの切符は獲得。やはり東京コースは強いんだなと確かめることが出来て、再度ワクワクが高まりました。
ダービーにおいて青葉賞組は鬼門と言われていますが、今年の2頭は通用しそうと感じましたし、何より今年のメンバーの中で「新馬戦からの継続騎乗」は青葉賞組のスキルヴィングとハーツコンチェルトのみでした。
その点においても、この2頭に頑張ってほしいという気持ちが大きくなりました。
個人的に印象に残っているのが、昨年のホープフルS敗戦後の松山騎手のコメントです。
「能力は高く、クラシックへ向かいたいと思っている馬なので、次走で何としても賞金を加算したいです。」
毎週末のコラムを楽しみに待人(まちんちゅ)は、これを読んだときとてもわくわくしました。
ちなみに後から知りましたが、所属するグリーンファームのページでは"何とかダービーへ一緒に向かえたらと思います"と、こちらもはっきりコメント出していました。
クラブ公式でもこう発言しているということは、恐らく年末時点で既にクラシックまでの約束はしていたのではないでしょうか。
後述するタスティエーラとの関係でいろいろな話が飛び交っていて、まぁ私も外野なので真相はわかりませんが、私個人としては「こっちが最優先なんだろうな」と解釈していました。
なので、いろいろありながらも、沢山悔しい思いをしながらも、共にこの夢舞台に辿り着けたことをとても嬉しく思いました。
タスティエーラ
この馬との初めましては共同通信杯。福永騎手が引退までのカウントダウンの中で乗っていた馬。
その後の弥生賞で松山さんとは初タッグ。前週の中山記念もヒシイグアスで制しており、2週連続堀厩舎とのタッグで白星を飾ります。おたくの脳は焼けました。
堀厩舎といえば茶色のクロス鼻革だけど、このときのタスティエーラはまだつけてないんですよね。だからどうとかはないですが。この厩舎、所属馬イケメンしかおらんのか?
逸れました。
弥生賞後は"打診"という形で少し時間が空いて、のちに皐月賞も継続騎乗で挑むことが決まります。(タイミング的にこれもハーツコンチェルトの若葉Sの結果次第だったのではないかと思っています。)
ハーツコンチェルトが皐月賞に間に合わなかったことは残念でしたが、弥生賞を見てタスティエーラとも手が合う印象はありましたし、決まった時は素直にとても楽しみでした。
あの日は現地にいたのですが、漠然と"いける気がする"感覚がありました。普段ほとんど馬場チェックに姿を見せることのない方ですが、この日は堀先生と念入りにチェックしている姿もあり、並々ならぬ気合いを感じました。
タスティエーラもこのときからクロス鼻革に。(鼻革警察?)
レースは素人目でも"これは完璧だ"と思いました。勝ったと思いました。
見ていて悔しい気持ちになったレースは山ほどあるけれど、1ヶ月経っても立ち直れない、映像も見られないくらいに打ちのめされたレースはこれが初めてでした。最後の最後に差されて頭を落とす瞬間を見ると今でも唇を噛んでしまう‥。
そんなこんなで、ほんの2戦ですが、このコンビに対してもそれはそれは大きな気持ちが生まれてしまいました。
その後、ハーツコンチェルトが青葉賞で2着。
ということは‥。
予想通りの展開で、タスティエーラの鞍上はレーン騎手に。こ、こころがふたつある〜
スキルヴィング
正直、青葉賞の登録を見るまでは特にこれと言った印象がありませんでした。(単なる私の情報不足です。ごめんなさい。) こんな強い子いたのか‥と1レースずつ確認。う〜ん、強そう。
強かった。
2着に入れば良いレースではあるけれど、ハーツコンチェルトにタイトルを獲ってほしかった身としてはとても悔しいレース。でもスキルヴィング、強かった。
最初こそ ちくしょ〜!悔しい!悔しい!でいっぱいだったけれど、ダービーに向けて乗り替わりも多発する中で青葉賞組の馬柱はやはり際立って輝いて見えましたし、前述したように今年の青葉賞組は戦える力があると思っていたので、心はだんだん悔しさを超えて"2頭でジンクス破りに挑んでほしい"という気持ちに変わっていきました。
ダービー当日
普段馬券はパドックも見てギリギリに買うタイプですが、大きいレースになるとそうもいかなくなるので早仕込み。
乗り替わりになってもタスティエーラは好きですし、応援する気持ちは変わりません。レーン騎手のことも好きです。複雑な気持ちがないと言えば嘘ですが、頑張ってほしいなと思っていました。
そしてここは夢を見るべきレースなのだから、好きな馬を買おう!と、ハーツコンチェルト・タスティエーラ・スキルヴィングの3頭のみで馬券を買いました。先に買っておくと腹括れて安心できるので(?)、これはこれで良いですよね‥。
いろいろあって(オブラートに包んでえらい!)、ジョッキー紹介はかなり隙間産業で見ていましたが、この日の松山さんはちょっといつもと雰囲気が違っていたように感じました。
花束を受け取って、いつものように綺麗なお辞儀と柔らかい表情で入ってきましたが、立ち位置についてからは良い意味で心ここに在らずというか、もうスイッチが入っているような、なんかすごく感覚的な話でうまく文字にならないんですけど‥‥。とにかく、"あっ なんか良い感じするな"と思いました。皐月賞の前にあった直感に近かったかもしれません。
パドック
午後はパドックでひたすらメインまで待機。
普段はその間のレースのパドックも見てネットで買ったりするのですが、とにかく電波が悪いのでこの日は半ば諦め‥。
先週のオークスがめちゃくちゃ暑かったので、それが良い予行演習になりました。もうなりふりかまっていられないので、UVカットアイテムとデカめのタオル、スポドリ多めで日焼け対策を徹底。
馬場側は風が抜けていたけど、パドック側は空気が動かずジリジリ‥‥ なかなかつらい‥。
パドックも3頭を中心に見ていきます。
ハーツコンチェルトとタスティエーラは連番なので、1周あたり片方しか追えなくておたく涙目。(あるある)
スキルヴィングはスラッと綺麗な馬体に賢そうなお顔。品があるというか‥。おおっ‥と惹き込まれるオーラがありました。
カレンダーを見返すと、未勝利戦とゆりかもめ賞の日は現地にいたので見ていたはずなのですが‥。当時意識して見ていなかったことを後悔。本当にかっこいいお馬さんでした。
ハーツコンチェルトを近くで見るのは東スポ杯以来。青葉賞からさらに馬体重は減らしていましたが、前回見た時より体にボリュームが出てきて立体的になったというか(元々立体なんだけど)(伝われ)‥、おっきくなったねぇ〜!と親戚のおばちゃんムーブになりかけました。
タスティエーラはちょっとピリピリした感じもしましたが、相変わらずかっこいいなぁというかかわいいなぁというか。おでこのデカハート、良すぎるだろ。その模様を刺繍した茶色のポーチを売ってくれ。あと引いてるお兄さんがスタイリッシュすぎる。私もそれくらいサングラス似合いたい。
第90回日本ダービー
最近GⅠによく足を運ぶようになって思うのですが、編集的な面もあってかこういったレースはテレビで見てる方が緊張する気がします。発走直前になってもなんだかふわふわしていました。
ゲートが開く。
う〜ん!やっぱり出ないねッ(泣
と思った瞬間今度はドゥラエレーデが落馬。えぇっ‥ 既にパニックです。とりあえず坂井さんが無事なことだけ確認してスタンド前を見送ります。
こんな後ろから‥ 届くだろうか‥‥
だいたい現地で見ているときは冷静さのかけらもないので1頭を見るのが精一杯。自然とハーツコンチェルトにフォーカスします。
えっ なんかスルスル上がってくる‥
道中めちゃくちゃ良い感じに位置を上げてくるではないか。気付けばタスティエーラのすぐ後ろまで来ている。
なんか、これ、すごい、来そう!!
ちゃんと全体の記憶があるのはこの辺まで。
うわ!うわ!うわーーー!!うわうわ!!来い来い来い!!間に合え間に合えハーツ間に合え!タスティエーラ!粘れ!ハーツ!ハーツ!差せ!逃すな!差せ!
タスティエーラだ‥‥!!
↑こんな感じでレースは終わっていました。文字起こしするには感情の移ろいに形がなさすぎてこれが限界。
ハーツコンチェルトについては入線時点で"ベラジオオペラに残られた〜!"と思っていたので、クァーー!!となりながらもすぐ他へ目を向けました。
内と外の明暗
本当に視野が狭くて情けないのですが、ここで初めてスキルヴィングがかなり危ない状態なことに気づきました。
ゴール板を過ぎて立ち止まり、ルメールさんが降りた途端倒れて動かなくなってしまうその様子を席から見ていました。こういったシーンを実際に目の前で見るのは初めてだったので、とてもショッキングでした。
内ラチ沿いで倒れたスキルヴィングと、その外側を回ってウイニングランするタスティエーラ。
これほどまでに感情のやり場に困ることがあっただろうか。みんなどうしたらいいかわからなくなっていたと思う。何とも言えない異様な空気でした。
いつも命懸けなこと、万全を期して挑んでもこういうことが起きる可能性があることももちろんわかっているけれど、両極端なことが同時に目の前にあると言葉も気持ちも追いつきませんでした。
暗幕がかかるのを見て察した部分はありますが、後から正式な報せを見てとても悲しくなりました。ほんの少し前、目の前を元気に走って行ったのに‥。
スキルヴィングのご冥福をお祈り致します。
勝者タスティエーラへ
あの時現地にいた人がどうアクションすべきか戸惑ったのは仕方ないと思いますし、歓声を上げられなかったのもわかります。私もどうするのが正解かわからなくなっていました。
でも、その後の報道やネットにおいてもこのレースに触れることがタブーみたいな空気になっていることには違和感を感じています。
私自身がタスティエーラを応援していたから余計そう思うのかもしれませんが、勝者であるタスティエーラはもっと讃えられるべきではないでしょうか。
悲しいことがあって、それを悼む気持ちはもちろん大切です。でも、それによって勝者が霞んでしまうのも、それもまた悲しいことだと思います。
タスティエーラ、本当におめでとう!!
そのハート型の流星、ぬいぐるみになったらどんだけかわいいんだ。楽しみにしています。
乗り替わりを巡って
私自身にはファンバイアスがかかっていますが、それを抜きにしても今年の春クラシックにおいてタスティエーラ・ハーツコンチェルト・松山騎手を巡る諸々は多くの人に強い印象を残してるのではないでしょうか。
レース前もレース後もいろいろな意見を見ましたが、私はこれで良かったと思うし、清々しく悔しい気持ち?です。
ダービーもタスティエーラに乗っていたら。
わかる。
完璧に乗ったあと乗り変わった馬が勝って悔しいだろう。
これも間違いなくそう。絶対悔しいと思う。
でも、ダービーに辿り着いたハーツコンチェルトに松山さんが乗っていなかったら、それもなんか違う気がする。
だから、これでよかったよねと思うし、言葉にすると意味わからないんですが、本当にスカッとした気持ちで悔しいです。
ずっと乗って来た馬で挑んだからこそ、出負けしても押し上げていくことができたのだろうし。
レース後の豊さんの「勇気が足りなかった」って言葉がすごく心に残っていて。豊さんほどの人でもそういうことあるんだ、みたいな‥。
でも、今回の豊さんはファントムシーフにテン乗りだったんですよね。こういう時の選択を左右するのが "乗って来た馬か否か" なのかなと思いました。
好騎乗からの乗り替わりと言うと何かこう、その結果の良し悪しに関わらずそれまでの流れから一旦ブツッと切れるような感覚になることも多いのですが、今回はそうは思いませんでした。
専門的なことはわかりませんが、バトンが繋がっていく中で強い走りが出来るスタイルを確立させてきて、このダービーで頂点まで手が届いた、そんな感じがしました。
(多少のファンバイアスは許せサスケ)
なんかまだまだ知らない色の感情がたくさんあるんだなぁ。こんな気持ちもあるんだなぁ。人間って、おもしろ!そんな感じです。りんご食べたくなってきたかも‥
背負っていくもの
スキルヴィングの死を受けて、「ハーツコンチェルトは彼の分までがんばれ」という声を多く見ました。
もちろんわかります。でも彼は彼だし、ハーツはハーツだし‥みたいな、なんていうんでしょう‥‥。ひときわ大切なものを失う悲しみって、そう簡単じゃないと思うから‥。みたいなことをなんかいろいろ考えすぎて、最初はそれに心が乗っかれなかったんです。
でも、スキルヴィングに出資されていた方の中にもそういった言葉でハーツコンチェルトを応援していると仰ってる方がいて。
それならば、と言うのもですが、自分は部外者すぎてあまり簡単に言えないみたいな感覚があったので、"こちら側"の人として1番馬を近くに感じていたであろう出資者の方がそう思うのなら。
彼に夢を見てきた人たちの気持ちも背負って、ハーツコンチェルトにはこの先もっともっと活躍してほしいなと思いました。
こいつ毎度話が長すぎる
そう思いませんか?私は思います。
予定では3000字くらいで終わる予定でした。
倍書いとるやないかい。
苦手なものは、逆算です!(開き直んな)
レース前に2000字超えてたあたりで諦めて自動運転モード(文字数考えない)に切り替えました。
それでも毎度全部読んでくださる方がいるので大変ありがたい気持ちでありんす‥‥。ありがとうございます‥。
初めてのダービーは悲喜交々な記憶になりましたが、ずっと忘れることはないと思います。
名物?開門ダッシュも初めて目の前で見ましたが、あんな朝早くから大荷物持って坂路駆け上がれる体力をお持ちの皆さん本当にすごいなと思いました。みんなモズメイメイでした。
推しがダービー勝ったらどんな気持ちになれるのかなぁ。そう遠くないんじゃないかなと、今年を見て思いました。その瞬間は必ず府中で同じ空気を吸っていたいものですね。(重)
それではまたいつか。
みんな、健やかであれ。(私も)
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