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Surround me Music, Feel Good #29:安藤裕子アコースティックツアー ~A HAPPY NEW YEAR Mr. HOLLOW~ライヴレポート

今年最初のライヴは安藤裕子さん!(そして安藤裕子さんのライヴ自体に初めて行きました!)

前々から行ってみたいとは思いつつ、ようやく叶う。

都市部や地方に関わらず、地域特色(ここにしかない空間)にフォーカスされたかなりコンセプチュアルなツアーだと思うので、意地でも1公演は行ってみたい!と思っていたし、実際にどの会場も自分は音楽イベントの開催地として行ったことはなく、あまり聞かないイメージ。珍しい会場のセレクトなのでは!?と思います。

大阪公演では大阪倶楽部という歴史ある建築物が会場で、戦前から存在していて一度火災で焼失した後再建されたり。戦後アメリカ占領下では米軍に使われていたり等々。色々な歴史を背負って今も現役。

外観のレンガ造りや1階エントランスの噴水はいわゆる「レトロ建築」の趣があり、公演の行われたホールで見られる天井や壁の照明デザインも今ではあまり見られないもので、光のニュアンスが穏やかで懐かしい雰囲気。

そんな会場で流されている開演前SEがインプロビゼーション要素多めの、「アコースティックツアー」開演前の割には攻めたセレクトだったのも個人的にはツボ。割とイカレたやつ多めでw

また、開演前の影マイクも豪華な(おかしな)ことになっていて、井◯陽◯が注意事項を伝えてくれたりと、Ba&Agt Shigekuniさんのハイレベルなエンターテイメント性が発揮されてました。

そしてトラブルもあり、元々の予定では、Vo 安藤裕子 / Key 山本隆二 / Ba&Agt Shigekuni編成だった予定が、山本隆二さんが出演できなくなったため、羊毛とおはなの市川和則さん(guitar)に出演者変更。

key→guitar(しかもナイロン弦のクラシックギター型)にアンサンブルが変わるという、結構大胆な代役/パート変更の決定!これが超良かった~!!!

※マニアックな話だけど、クラシックギター型のギターはナイロン弦でエレキ弦よりも径が大きく、指で掴むように音を出すし、フレット間隔が広い。結果、テクニック的には難しい反面、ニュアンスの変化や表情づけはめちゃくちゃ大きくできる。それはエフェクターやアンプで変えられるニュアンスの違いとは全く別物だと思ってる。

もちろん元々予定していた山本隆二さん鍵盤での、本番まで構想がきちんと作られていたセトリや編曲も聴きたい。

けれど、安藤裕子さんをこんな編成で聴けるとか、それこそライヴの醍醐味でありレアケース中のレアケース!

実際に、ベース&ギターとのアンサンブルだけでなく、ツインギター伴奏の曲もあったりして、筆者には激アツだった!たぶん、なかなかやらないだろうな…。

実際に、アンコール1曲目では最後の終始音がアヴァンギャルドな和音で終わった曲もひとつあったけれどwそこも含めて生々しく、「ディス・イズ・ザ・ライヴ!」だったなと。

元々予定されていた出演者が出られなかったというのは、当然トラブルなのだけれど、やる側の高いモチベーションや、その日の状態で決行することへのポジティブなエネルギー、そしてそもそもそれができるレベルの高いスキルを存分に感じられる公演になっていたと思う。

そして安藤裕子さん!

安藤裕子さんって、筆者としてはやはり『切ない歌声』の印象はあるんだけど、それはそれとしてとっっっってもエネルギーがあって、かっこ良くて、楽しい!!!

ライヴで聴くと、音源には収まりきれないリアルな体験ができるなと改めて思った。海原のように歌う人。あと、アンサンブルの中で歌う人だから好き。

夜の怪物のトランシーでめちゃくちゃアガる!感じとか、あんなん3ピースのアコースティック編成でそうそうないんじゃないかと思う。

新曲のSTEP OUTでは、「小豚と一緒にトラクターの背に乗って、農場を駆けてゆく」イメージがよく伝わる。開放的でのどかな、優しさと平和の景色が浮かんだ。

全体的にアコースティックでありながら、エレクトリックでもあるし、ミニマルな編成の中でも、3ピースらしい編曲もあれば、オーケストラのような編曲(効果)もあったり。安藤裕子さんも時にはマラカスのようなパーカッションも使いながら歌っていて、たくさんのイメージで溢れていた。

ミニマルでさえ、こういう感じのアウトプットなのだから、より人数の多いバンドだったり、生オケとかともやって欲しい!聴いてみたい!

し、提供曲やカバーが多いのも実感としてわかる~!って思った。色々な方が安藤さんに歌って欲しいと思っているし、きっと本人側も主体的に歌いたい方なんだろうな。

普通はレコーディングじゃなきゃ隠してしまうというか、あまりやらなそうな、スキャットとかナレーションみたいなパートとか、それに伴うガチな姿勢や表情もバリバリ当たり前に表に出してやってて、そこもすごく好きだった!

筆者が音源で思っていたような『切なく美しい』(もちろんそれも今も思ってるけど)、小さなイメージよりも、もっともっと広くて、深い。ほんとかっこいい人!また色々な公演に行きたいと思った。


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