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Surround me Music, Feel Good #17 -LIVE in the DARK tour w/矢井田 瞳-

【バンド-神戸青少年科学館ドームシアター(プラネタリウム)】で行われたヤイコ(矢井田瞳さん)のライヴを聴いてきた。



ライヴ本編

公演の予約受付の時点で、きっとレアな公演になることを期待していて、なぜなら、プラネタリウムの規模感(客席数)や音響設備がライヴハウスやホールとは異なることに加え、そもそもヤイコのライヴ公演ではあまり映像的な演出をやらないから。

そして、プラネタリウムというドーム状の、親密な空間での生演奏が行われること自体が、コロナ禍への対策上のハードルにある程度耐性が出てきたことや、主催者やスポンサーがそういった会場や音楽+映像表現におけるライヴ公演に価値を見出し、提供するに至ったのが昨今だと思うから。

大きな会場で大きなモニターディスプレイに演奏者が大映しにされたり、VJがクレジットされていてかっこいい映像が音楽と同期する、とかとは、またちょっと違う趣旨だと思う。

今の機会だから聴ける面白い内容になりそうだと予感しながらプラネタリウムへと入場。

リクライニングを倒して、夕焼けや、星空、銀河、月を眺め、時には東京の夜景やイルミネーション、雪の降る映像が天井の視界いっぱいに映る。

そしてその空間にはヤイコ(ギター・ヴォーカル・ベル)、松本径(キーボード)、倉井夏樹(ハーモニカ)がいて、音楽を生演奏で届けてくれるという贅沢な公演。

ただし、プラネタリウム公演として、演奏者は視界に(ほとんど)入らない想定で天井に星空をはじめとした映像が映し出されることから、距離感の近いということよりも音楽を必然的によく聴くし、その印象の違いに気づくであろうということ。

もちろん、ヤイコをはじめとした出演者を観たい気持ちもあるとはいえ、演出上照明を落とした進行がほとんど。このことが、かえって音楽とそれを演奏してくれるミュージシャンや、その音楽を楽しむ空間、音楽が添えられた映像、それらを際立たせていた。

その中でも『見えない光』は、まさに今回のツアーコンセプトと共鳴していたし、『オールライト』は現状の最新アルバム「オールライト」からのタイトルソングであり、その「オールライト」には、「すべての光」や「大丈夫(肯定としてのオールライト)」といった複数の意味を重ね、あるいは想像できるようにしたものであり、照明が落ちた空間でこそ感じられる曲の響き(輝き)が再発見され、あるいはより強い光を放つライヴとなっていたと思う。

『Over The Distance』は、ヤイコの曲の中でも最も多くの、様々なピアノ/キーボード奏者の手によって伴奏がなされた曲だと思うけど、まっつん伴奏(かつ倉井さんによる絶妙なハーモニカオケ)も、今回だけの響き。際限なく続いていく紺碧の空。

また、曲間には星空にまつわるナレーションも挿入され、その下で演奏された『初恋』を聴きながら、皆が自身の初恋を回想していたに違いない。

「オリオン座」にまつわる物語は、ヤイコの声で語られることもあってドラマティックに聴こえる。(音源化して売ってくれ。)

オリオン座のナレーションの後には、このツアーのために書いたという新曲も披露。明るくてかわいい曲。

筆者は生演奏では確か初めて?聴けたと思う小田和正さんとヤイコの共作『クリスマスの約束』が、ヤイコのソロヴォーカルver.で聴けたのも嬉しい。最近はファン必見のタンドラム弾き語りが続いていたが、ベルをシャンシャン鳴らすヤイコも超良い!

ラストを飾った『アイノロイ』は、ドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」のテーマソングだが、このツアーでいきなり音源とは趣の異なったアレンジでの、3人編成での披露となった。

ドラマ主題歌への選出は、コンペ的だったのか、そういうオファーがあったのか、筆者には知るよしもないことだけれど、この「LIVE in the DARK」という企画性の強いライヴの実現と併せて、これまでヤイコが培ってきた曲想の広がりや、愛、呪い、光、闇の、どちらか片方だけを肯定的なものとして扱うのではなく、人間の感情や生の上で平等に在り、愛することもできるものとして歌ってきた、そんな一面に由来しているように思えてならない。

基本が矢井田瞳さんのこと超好きだけど、このライヴでも改めて素敵な人だな~と思った。


アルバム「オールライト」をそれ以前のヤイコの経歴も込みでレコメンドしてみた過去記事。

「LIVE in the DARK」はこれまでに様々なミュージシャンによって行われており、他のミュージシャンによる公演もぜひ行ってみたい。

とりわけファンクラブ会員の間では「まっつん」の愛称で親しまれている松本さん。ミュージシャンとしての経歴も面白いです。

番外編:バンド-神戸青少年科学館

ヤイコの公演前、時間があったので科学館の展示物を観てまわった。

イギリスから日本へ送られ、100年の期間にわたって天体を観測してきた大型天体望遠鏡が設置してある観測室を訪れてみたり、触れたりもしながら解説を読んだり聞いたりできるセンサー、スーパーコンピューター、AI、ロボットといった、科学技術に関する展示物を楽しんだ。

ロボットに使われている技術の展示
各種センサー(手をかざして反応の違いを確かめる)
特徴を掴んで識別するAIの仕組みを体験する展示①
特徴を掴んで識別するAIの仕組みを体験する展示②
コード化の解説
スーパーコンピューター「京」が影響している対象を示したツリー 

「プラネタリウムでライヴ演奏を聴く」ということ自体が、極めて現代的な発想だし、その背景には、あらゆる技術の蓄積がある。

6000℃の光源(表面温度)である太陽を観測できたり、音を信号にしたり、コードとして整理したりして感知し、共有できるようになったことで楽器やスピーカー、エフェクターやライヴハウスがあり、皆で楽しんだり、便利な生活が送れる。

「開演まで時間があるから」くらいの動機で観てみた科学館ではあったが、とても刺激的で楽しい時間だった。






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