ansuz Digitalz D-TC Supreme for Hi-Fi audio Ethernet cable
連投で表題のオーディオ用Ethernetケーブルのレビューです。
Outline:
ansuz acoustics(以降ansuz)はデンマークにあるオーディオケーブルメーカーです。創設者であるMichael BørresenはアメリカのハイエンドケーブルメーカーNordostのR&D部門に8年間在籍し、2012年同社を去りました。また、時同じくしてSalesのLars Kristensenも同社を去りました。そして、2013年に2人はansuzを設立しました。MichaelがNordostを去った理由に、彼には同社とは異なる設計の哲学があったためと述べています。
What are the different design philosophies?
それは導体の純度や誘電体の品質を追い求めることです。
もちろん全ての要素が重要であることに違いはないですが、その中でも
「導体のインダクタンスが低く、機械的安定性が高いケーブルは常により良いサウンドを与える」
と彼は考えています。
ansuzは彼独自の哲学がふんだんに盛り込また製品群が多く出ています。今回はその中でも最近力を入れているストリーミングオーディオ向けの製品であるEthernetケーブルについて紹介します。
Ethernetケーブルには下からX2、A2、D2、D-TC2、D-TC Supremeというシリーズ展開をしています。今回紹介するD-TC Supremeはその中でもフラグシップに位置するモデルになります。価格は2m売りからで7500USD(78万円)になります。
D-TC Supremeにはansuz独自のテクノロジーが全て盛り込まれています。
Product appearance:
外側は灰色のメッシュがかかっており、その内側にはオレンジのケーブルが螺旋上に巻きつけられています。Ethernetケーブルの中でも非常に太い部類に入り、おそらく4ペア8芯構造を取っていると思われます。
RJ45プラグにはSilstechと同様にTelegartnerのMFP8が使われています。これはインピーダンスマッチングが取れた業界最高峰のプラグとして認知されています。
プラグの両端には特徴的な黒色のネットワークボックスがついています。片側のボックスにはDCジャックが付いており、同社のNetwork SwitchまたはPowerboxで給電するようになっています。
Sound Impressions:
※ネットワーク給電は行わずパッシブケーブルとして使用
Sounds that make you dance(Michael's Sound)
別投稿でansuzの電源ケーブルインプレッションも上げますが、このEthernetケーブルであってもMichaelの音を感じることが出来ます。
私が思うMichaelの音とは、極めて音捌き(分離)が良く、ノイズフロア低い中で一音一音が明確でありメリハリの効いた音です。上位モデルに行くほど、音に落ち着きがありながらも踊りたくなるような楽しい音と性能の高い音を両立して聴かせてくれます。
Excellent sound handling
私がansuzの音で他社のケーブルよりも優れているのが音捌き(分解能)です。コンプを強く効かせたアニソンは、音自体がのっぺりしたりごちゃとしたりした傾向になりがちです。しかし、このケーブルでは極めて分離が良く、明確にレイヤー毎分かれることで音楽に凹凸感が生まれます。音の駆動感が増し、音が発してから収束するまでのキレも良くなります。バスブーストさせてモリモリになった低音も見事に捌いてみせます。また、アニソンに限らず情報量の多い音楽全般でこの音捌きの良さは際立つと思います。
The bright light in the Deep Darkness
ansuz製品自体に共通して言えるのはノイズフロアが下がることです。それはこのEthernetケーブルにも言えます。今回専用の電源がない中でこのケーブルの真価は発揮出来ていないと思いますが、それでも他と比べてもノイズフロアが下がることを感じることが出来ます。ansuzのノイズフロアが下がる表現は他とは違うと思っています。静寂感や漆黒の黒さ、コントラストで言うと黒さの部分が強調される感じよりも、その中に眩い光が周りの黒さに負けず輝いているように見えるような表現です。通常、黒とそれ以外の色は交わって見えると思いますが、この場合レイヤー別に分かれています。また、ノイズフロアが下がることは遠くまでサウンドステージを見渡すことが出来ます。それは広がりや奥行きとして感じることが出来ます。
Unenhanced outline and realistic sound image
これもansuzの特徴的な音の一つと考えています。それは輪郭に強調感がない中でも、音像が際立つことです。私はそれを定位はしていないのに音の実在感だけで表現していると思っています。上位に行くほど、実在感の曖昧さが減っていき、よりそこに居ると感じさせるような生々しさを帯びた音像が現れます。実在感だ強い即ち音が濃いと思う方もいると思いますが、実際は透明感があり、空気感も洗練しています。相反するような要素の高度な両立であると思います。
Score Evaluation:
Summary:
音質については3つ項目の平均を出しています。
価格についてはEthernetケーブルの中では一二を争うくらい高いのもあり、コストパフォーマンスという点では低い評価をつけています。
使いやすさについては2mもあるので取り回しで困ることはありません。太くなりますがしなやかさを兼ね備えています。また、siltechでは認識すらしなかったDevialetに抜群の安定性で繋ぐことが出来ます。1000BASEでリンクするため、ある程度Ethernetにも準拠されているものと思われます。
Devialetにsiltechが使えない中で白羽の矢が立ったのがこのケーブルですが、コストパフォーマンスは物凄く悪いと思います。知り合いの家に持っていって比較しましたが使い所によってはそこまで大きな変化や改善が見られませんでした。そう考えると安定性とトレードオフではあるもののsiltechの価格設定とサウンドパフォーマンスには敵わないなと思いました。サウンドパフォーマンスについては純正の専用電源で給電した状態で改めて評価したいと思っています。
使用した機器:
ネットワークケーブル:ansuz acoustics Digitalz D-TC Supreme +M12 to R45 conversion adapter
ネットワークケーブル:Telegartner MFP8 GOLD Audio LAN
ネットワークスイッチ:Telegartner M12 Switch Gold + Uptone JS-2 LPS
ストリーミングプレーヤー:exaSound PlayPoint for Roon Core
DACプリメインアンプ:Devialet Expert 220 Pro
スピーカー:Magico S1mk2