紫煙にのせて
タバコを吸ったり吸わなかったりする。
吸ったり吸わなかったりとは本当のことで、僕はタバコを吸う時期、隠れて吸う時期、吸わない時期などというように変身を繰り返している。
このタバコを吸う吸わないの違いは、僕のその時の性根と互いに影響し合っているような気がしてきたので考えてみた。あくまでも気がしているだけなので、そんなことなかったら僕の友だちには「そんなことないわ!」と言ってほしい。
まずタバコを普通に吸っているときは、大体2日で1箱くらいを楽しく嗜んでいる。この時期はテスト勉強で忙しかったり、人生うまくいってないなあ。とナイーブになっている時が多いが、タバコを楽しく吸っているおかげで割と元気だ。銘柄はいつものコンビニで246番、ピースのスーパーライト。
ここで重要なのが、僕の友だちはタバコを吸っていない人がほとんどということだ。なのでタバコをお酒の場などで吸っていると基本的にはひんしゅくを買い、タバコを吸っている友だちと一緒に少し肩身の狭い思いをする。
しかしこの時期の僕はそれも気にせずタバコを吸い、海賊のような自由さと傍若無人さを兼ね備えており、楽しく生きていることが多い。
タバコを隠れて吸っているときは、基本的に他人にいい顔をしたがっている。外ではタバコを吸わずに「あれ、タバコやめた?」と聞かれれば、「うん、最近吸わんなあ。」と謎にかっこつける。
僕がタバコを止めてマイナスなことは、同じく喫煙者の歯の黄色い友だちが悲しむくらいであり、ほぼメリットしかないといえよう。そのためタバコを止めたとなれば周りからは褒められ、うれしい気持ちになる。
しかし家に帰れば1人で喫煙し、友だちから褒められるだけ褒められて、タバコを吸う楽しみまで得てしまっており、ずるい奴になってしまっていることは明らかである。
タバコを全く吸わない時期は、自分は心を入れ替え、タバコを吸わない高潔な人物だと勘違いをしてしまっている。こうなってしまった僕は、タバコを吸っていたころの自分や周りを少し見下している節まであり、歯の黄色い友だちや自分の肺を裏切っている。
このようにタバコからも卒業し、スマートで大人になったと思い、非喫煙者側の立場になってしばらく生きるのだが、つらいことがあったりすると意外とあっさり、コンビニで246番と言ってしまう。
そのためこの時期の僕はかなりレアなのである。(もちろん周りからは隠れて吸っている時期も含め、もっと長く禁煙ができる人間だと勘違いさせている。まーちゃんごめんね。)
以上のような3サイクルを繰り返している僕だが、こうして見てみるとタバコを吸わなければ吸わないほど僕はいやな奴になってしまうことがわかった。悪い感情を煙と一緒に吐き出せなくなってしまうからだろうか。僕はやはり大らかな人間でありたいので、これからもコンビニで246番といい、歯の黄色い友だちと煙を吸ったり吐いたり楽しんでいこうと思う。