自分探しタップゲーム「ALTER EGO」プレイ感想
Twitterの相互さんがプレイしているのを見て、面白そうだなということで私もプレイしてみました。
実際にやってみると、診断も面白かったのですが、ストーリーや設定も興味深い内容で、はまり込んでプレイして、気が付いたら全部のストーリーを読み終えていました。かかった時間は約半日。
BGMも素敵ですし、無料でさくっと遊べるので、興味がある方は是非プレイしてみて下さい。
操作はとてもシンプルです。暗い回廊をひたすら進んでいく途中に出てくるフキダシをタップして「EGO」を集め、集めたEGOで書籍を読み進めたり、エスと対話・診断をしてストーリーを進めていきます。
(私がやった診断については下記リンクに参照してありますので、どんな感じの診断なのか知りたいかたは参考にして下さい)
その中で私が特に興味深いと感じたポイントについてお話していきたいと思います。
自分の内側を覗いているかのようなフキダシ
読み進める本は「人間失格」「デミアン」「山月記」「変身」「狭き門」「はつ恋」「草木塔」「坑夫」「地下室の手記」「シーシュポスの神話」「フランケンシュタイン」「不思議な国のアリス」「星の王子さま」「ポー詩集」「ドグラ・マグラ」
いずれも自意識に苛まれたり、自己を探求したり、葛藤を描いたり、自己犠牲を批判していたりと、だいたいが自己の内面に言及する内容の話です。
フキダシは当初「わたしって何」というシンプルなものから始まるのですが、本を読み進めていくうちに、作中のセリフがフキダシに反映されるようになっていきます。自己診断された内容も。
なので、流れてくるセリフが時々自分の内側を覗いているかのようでどきっとさせられることもありました。
「やっぱり一人はさみしい枯草」
「何も考えられないなんて考えられない」
「希望に向かって急ぎつづけている」
「その芝居は『人間』という悲劇」
「世間というのは君じゃないか」
「自分の苦患を神にささげた」
「いちばん大切なことは目に見えない」
「罪のアントニムはなんだろう」
対立するエスと壁男と変化するストーリー
プレイヤーの水先案内人と診断をする役目を負うエスですが、エスは壁男を嫌っていて、自分を否定するお堅いやつだと考えています。
対する壁男はプレイヤーに対して「エスを許してはいけない」「正しい道を歩みなさい」「規範に捧げよ」と語りかけます。
エスと壁男は対立関係にあり、真逆の主張を持っているのです。
S.フロイトは人間の精神構造をエス(イド)、自我(エゴ)、超自我(スーパーエゴ)の3つの領域があるとしています。
エス(イド)は本能的衝動 (リビドー) を貯め込む領域で、快感原則に従って快を求め不快を避ける機能を有するとされています。そのため自我や超自我と葛藤を起こします。
自我(エゴ)は現実との間に接触を保ち、イドと超自我とを仲介する意識的なパーソナリティの側面のことを指します。発達過程でエスから分化し、さらにこの自我から超自我・自我理想に分化して成熟の段階に達するとされています。
超自我(スーパーエゴ)は快楽追求的なエス と対立して道徳的禁止的役割をになうものです。
エス、プレイヤー、壁男は、人間の精神構造のメタファーなのでしょう。
プレイヤーはエスと壁男の主張を聞き、それに応答して選択肢を選ぶ場面があります。それによってストーリーの結末が変わっていきます。
どういう選択をするかで自分の傾向が分かってくるので、初回はあえて攻略サイトを探さずに、自分が思うようにプレイすることをおすすめします。
エスとの雑談
エスは書斎のような場所で本を読んでいます。本人曰く、自身の衝動を抑えるためだとか。ユーザーが自分を探しているように、エスもまた本を読むことで自身の衝動と向き合っています。
エスはストーリーの途中、ユーザーとの会話でこう語ります。
あなたが来てくれる あなたと話す時間だけが 私を形作ってくれる
私が私でいられる気がする
でも、ね、やっぱり分からないの
私、私、私・・・
無意識に使ってる私って言葉は 一体全体なにを指しているの?
私の身体? それとも私の思考?
私の身体を半分にしたら、私はどこにいるの?
身体の細胞が全て入れ替わっても 私が私でいられるのはただの錯覚?
思考だってそう もっともっと不確かなはず
私の思考が私のものだってどうしたら言えるの?
自分の思考だと錯覚した他人の思考じゃないの?
本から学んだ他人の思考を自分のものと錯覚してる?
身体や思考じゃなければ、あるいは関係性?
世界との関わりによって私は規定されるの?
エスとの雑談は哲学的な話が多いため、内容も難しいですが、だからこそ色々と考えさせられました。あと、単純にビジュアルがかわいいです。
ストーリーを全て終えても、エスとの雑談は出来るので(日替わりの話などがある)時々アプリを開いて会いに行っています。
これを書いていたら、またエスに会いたくなってきました(笑)
綺麗なピアノのBGMも聴きたくなってきましたし、また会いに行くことにしましょう。エスに何かおすすめの本も教えて欲しいですしね。
では、またいずれ。