稽古場だより 4日目
『オモロさ』とは何か
本日は予想通りというか台風直撃の為稽古がお休みに。貴重な劇場稽古、しかもロング稽古の予定だったので打撃だが、安全第一。少なからず被害や影響があるみたいだけど、みんなの無事を祈るばかり。
ここ数回の稽古場では、「ベタなものはベタに」という言葉が出てくる。
ベタな面白さ。とは何か、考える。多分、バナナの皮で滑る人を見て笑うみたいなことなんだろうか。バナナの皮があったら誰か踏んでコケるんだろうな、と見る人は思う。で、実際それでコケたら笑う。やってることはむしろ寒いのに、もう、そういうもんだと一般に?認識されているからその展開に笑う。
何万回と繰り返されて来た、ベタな笑い。
先日亡くなったニール・サイモンを敬愛している三谷幸喜氏の作品で、戸田恵子さんのひとり芝居『なにわバタフライ』がある。
ミヤコ蝶々さんの生涯を描いたもので、師匠に弟子入りした(だったと思う)幼い彼女に
「笑いっていうのはなぁ、『緊張』と『緩和』の繰り返しなんや」と言って、その例えに手をグーパーグーパーさせる。これが「笑い」と。
バナナの皮がある、人が来る。ここまでが『緊張』なら、皮で滑るは『緩和』か。
『面白い』を表す英語は2つと思っている(もっとあるだろうけど)。
interestingー面白い、趣深い
funnyーおかしい、変、滑稽な
人を泣かせるんは簡単やけど、笑わすのは難しいと、よく言われるらしい。
『緊張』と『緩和』の繰り返しで得られるのは、funnyのオモロさだろう。
やってる本人は笑かそうなんて思っていない、むしろ必死とか真面目とか、対面してる出来事に一生懸命。けどその姿が変で、滑稽で、愛おしいから、笑う。
話は変わるが、先日演劇に普段触れていなさそうな友人にも是非見て欲しかったので本公演の話をしたのだが早々に違う話題へと会話は展開。興味関心の分野は十人十色と言えど、人選ミス?と言えど、価値観は人に押し付けるものではないと言えど、まだまだ『演劇』への理解度が低いというか、良さが伝わっていないのではと、おセンチな気持ちになった日があった。
閑話休題。では、私が思う『演劇』の魅力とは何か。
語り始めるとキリがないので割愛するが、今回一つ挙げるとすれば
interestingー面白い、趣深いから。
大の大人が寄ってたかって、「どうしたらオモロなるんやろなぁ」と言って頭悩ませてるなんて、funnyそのものではないか。そもそもfunnyは上記の通り、作り出すものではなくて、そうなってしまった結果が滑稽で可笑しいのに、あーでもないこーでもないと、どうやったらfunnyになるのか必死なのである。
人を笑かそうとしてる人を見ると、泣けて来るよ。「泣かせる力があれば笑わす力もある」と歌詞でも言うてたではないか。あるよ、それはもう、あるよー。
今はまだ五里霧中なので、グーしてるけど、これが体に台詞や動きも落とし込めて、演ることそのものが楽しくて、パーが出来るようになったら、うーんと笑えるようになると思う。お客さんも演者も。
そこまでの道のりは遠いけど、これから残りの時間でいくらでも可能なことも知ってる。
そんなinterestingなもの、その目で見ないと損するで。
嵐の後は晴れるのさ。SUNNY 強い気持ち・強い愛ですよ(早く観たいな、こちらも)。
是非来てくれないと、つまんないなー。
公演詳細→http://bit.ly/2tJdaHj
創作の製作過程を覗きみて、楽しんでいただけたら。