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ヨーロッパS問題点&勝手に翻訳シリーズ:『M32ギアボックス』(オイル交換方法追記)

【2023年6月1日 オイル交換方法追記】

今回はハイブリッドな内容です。(本当は「ヨーロッパSの問題点」では無く、新しいジャンルでやろうとしていた。)
今回の問題点は『M32ギアボックス』について。
このゲトラグ製6速ミッションは、GMオペル・ヴォクスホールのみならず、様々な車種で採用されている汎用性の高い物になっています。その為交換部品や修理・補修部品には困りません…がそもそも壊れたら困りますし、部品はあってもじゃあこの日本で誰が何処で何時やるの?って話です。

具体的なゲトラグ製M32トランスミッションのトラブル抜粋します。

参考サイト

・6速ギアからの異音
海外での事例において最も多いのが、『6速ギアからの異音』です。これは5-6速ギアを固定するシャフトベアリングの磨耗が原因であり、主に5-6速ギアでの走行時に起こります。ここで原因になっているのは、磨耗しているのはあくまでもシャフトのベアリングであり、6速ギアのベアリング単体の磨耗では無いということです。交換すべき部品を間違えると、ベアリングが完全に崩壊しトランスミッション丸ごと交換しなければならなくなります。

・シフトノブが勝手に動く
勝手に2速に入るとかそういう意味では無いです。1速または5速走行時に、シフトノブが下側に動く。つまり、ニュートラルの方に戻ろうと動く現象です。これらのギアは同じ出力側のシャフトを使用しており、シャフトのエンドベアリングが磨耗することによりシャフト自体が動いてしまうことが原因です。ここまで来るとベアリングの磨耗は深刻である為、交換が推奨されます。そして、磨耗しているのはあくまでもシャフトのエンドベアリングの磨耗であり、ギア自体やギアのベアリングの磨耗では無い事を覚えておいてください。

・2000回転位で聞こえる異音
ハブベアリングからの異音だと誤って判断されやすい珍しい事例です。クラッチペダルを踏んでも治まらないことからよく勘違いされます。これは故障したベアリングがシャフトごと一緒に回ってしまう為に起こる現象で、修理には全てのベアリングの交換が必要です。ギアシムの調整が不完全であったこと、そして汚れたままのミッションオイルを使い続けた事が主な原因です。今すぐ交換しろ。

・ギアの同士の噛み合わせが上手くいかない
これは完全にギアが摩耗し、シフトチェンジが上手くいかない例です。2、3、4速とスポーツ走行で良く使用されるギアで起こり、そしてやはりVXRモデルで主に見られる現象です。

・シフトが重い、入らない
ギアボックス内部の問題では無い可能性があります。シフトケーブルの交換を行うことで解決する可能性があります。また、ミッションオイルを交換していない事も原因として考えられます。直ぐに交換しろ。ベアリングの磨耗、セレクターフォークの破損も考えらますので、まずはオイルを交換しろ。

これらのトラブルを予防する最も簡単で手堅い方法は、ミッションオイルを定期的に交換することです。ミッションオイルを交換することで、鉄粉や汚れを洗浄でき、ベアリングの寿命が伸びます。M32は2.2Lのミッションオイルを必要としますが、Eco&Torqueでは2.5Lに増やすことを推奨しています。
後述する対策品のエンドケースであれば、この限りではないとの事。

ベアリングの寿命に直結するため、少しでも高品質のオイルを入れたいところです。

しかし、残念ながらロータスディーラー、サービスポイントある「ヨーロッパSの整備書」内には「ミッションオイルは交換の必要は無い」と書いてあり、ディーラーのメンテナンスメニュー的には「ミッションオイルの交換はしない」という考えです。
マニュアルミッションでオイル交換不要は有り得ない、という考えで正しいので自分から交換を申し出て下さい。

ヨーロッパS サービスノート内記述

FK.3 - 潤滑
トランスミッションは "filled for life "であり、オイルレベルのチェックや更新の必要性は予定されていません。エンジンやトランスミッションにオイル漏れがないか、整備間隔でチェックする必要はあります。もしトランスミッションにオイル漏れの疑いがある場合、新しい潤滑油を補充する前に、 その原因を調べて修理しなければなりません。
潤滑油の補充メインケースの裏側にはレベルプラグがありますが、トランスミッションサプライヤーはその取り外しを禁止しています。
オイルレベルが適正であることを確認するために、オイルを抜き取り、補充することを推奨します。
オイルが完全に温まったところで、デフハウジングからドレンプラグを外し、最低10分間はオイルを排出させます。ドレン・プラグは,ネジ山ロック・コンパウンドを塗布した新品と交換することを推奨します。
これがない場合は、古いドレ ン・プラグを十分に清掃してから、適切なネジロックコンパウンドを塗布し、締め付けを行います。
新しいプラグまたは古いプラグは20Nmで締め付けます。
メインケース上部のセレクターハウジングとパワーユニット取付ブラケットとの間にフィラープラグがあります。プラグを取り外し、指定の潤滑油(セクションOJ を参照)を 2.2 リットル追加します。フィラープラグは,ネジロック剤をあらかじめ塗布した新品と交換することを推奨します。これがない場合は,古いフィラープラグを完全に清掃してから,適切なネジロック剤を塗布し,フィラープラグを締め付ける。
適切なネジロック剤を塗布し、新旧のプラグを30 Nmで締め付けます。
注: 新しいトランスミッションを取り付ける場合、 工場出荷時に入っている 0.68 リッターのオ イルに加え、1.8 リッターのオイルを追加し ます。

抜粋文翻訳



ハイハイお店の言う通りに従ってたらミッションぶっ壊して損するの自分なので。とっくにメーカーサポート終了してますし、保証も何も無いです。
店「ミッションオイル交換不要ですー^q^」
店「ミッションの入りが悪いー?そんなもんですよー^q^」
店「ミッション壊れたー?交換ですねーウン十万ですー^q^」
な感じです。
とっとと交換してもらいましょう。

以下我らが最も信頼するCoutenaySportsよりM32トランスミッションの解説(の機械翻訳)です。一文字一文字、誤字なく写し書きしましょう。

M32 ギアボックス
M32ギアボックスは、Astra H VXR、1.9 CDTi、2.0 Turbo、Zafira Bモデル、Corsa Dモデル(VXRとSRi Turbo)、Astra J、Insignia、Meriva、MokkaなどのVauxhall/Opelで多く使用されましたが、元の品質は決して良くありません。質の悪いギアボックスオイルを使用すると、ベアリングの摩耗が早くなり、ノイズの原因となり、最終的にはギアボックスの故障につながることがよくあります。これに加え、(新品の)ギアボックスのシムが不適切な場合も、ベアリングが高負荷にさらされ、ボックス内でより多くの熱が発生するため、ベアリングの故障につながる可能性があります。
一般的に、ベアリングの異音や故障につながる通常のプロセスは、ギアボックス内のオイルが使用中に熱くなりすぎたことです。私たちが幾度のサーキット走行経て観察したところ、一度熱くなったオイルの熱を冷却出来ないため、冷えにくいどころか冷めることが無いようです。125℃を超えるような高温になることも珍しくありません。ギアボックスオイルの温度を下げる唯一の方法は、適度な時間、インターバルをとることで冷やすことです。ギアボックスオイルが高温になると、「耐熱温度外」となり、内部のベアリングを保護しなくなります。保護も潤滑もされないまま、使い続けていると、ベアリングの油膜が切れノイズが発生し、最終的には故障の原因となります。最悪の場合、完全に故障し、ギアボックスに深刻なダメージを与えることになります。
ギアボックスのオイル交換サイクルにも決まりや目安はありません。ですが、車のエンジンオイルを3年、4年、5年、あるいはそれ以上交換せずに放置しておくことはないでしょうから、ギアボックスオイルも同じように長期間交換しないのは不自然です。(お店「交換不要ですー^q^」←は??)
私たちのアドバイスは、工場で充填されたギアボックスオイルを、高品質の完全合成油75w-90、例えばValvoline Synpower TDL 75w-90 APIに交換することです。GL 4/5は、私たちのAstra H VXRレースカーのM32ボックスに使用され、私たちも推奨しています。また、車両の使用状況に応じて、ギアボックスオイルを頻繁に交換することをお勧めします。
もし、ギアボックスの音(6速に多い)、トランスミッションの異音、トランスミッションの音の変化、ギアレバーの動き異変(1速、3速、5速に多い)に気づいたら、できるだけ早くギアボックスを点検し、問題を解決することをおすすめします。迅速な対応が、長期的にさらなるコスト削減につながります。

(この後Coutenayのサービス内容の説明がありますが、イギリスに車持って行ける経済力ある人はこんな車買ってないので省略)


アップグレードされたエンドケース

M32ギアボックスのアップグレードと必要性について
M32ギアボックスの耐用年数の間に、エンドケースとエンドケースベアリングに改訂がありました。この後期設計のエンドケースは、2012年頃からVauxhall/OpelアプリケーションのM32ギアボックスに搭載されるようになりました。極端な負荷がかかるベアリングは、恐らく全とっかえが難しい為、苦肉の策として新しいエンドケースの設計が導入されました。

赤丸がアップグレードされたベアリング、青が古いベアリングの経

新しいエンドケースは、外径55mmのオリジナルのエンドケースベアリングと比較して、外径62mmの大きなベアリングが特徴です。より大きなベアリングは、より大きな負荷に対応することができます。さらに、エンドケースにはオイルギャラリーが設けられ、エンドケースベアリングに追加の潤滑油を供給します。

参考販売サイト

M32ギヤボックスのオーバーホール時にギヤボックスのベアリングを交換する際のついでとして、より大きなエンドケースベアリングを備えた新品のGM/Vauxhall/Opel改訂版エンドケースを提供することが可能です。このエンドケースのアップグレードは、初期型エンドケースを装着したM32ギヤボックスであれば、すべて実施可能です。
簡単な確認として。初期型エンドケースのM32ギヤボックスにはレベルチェックプラグがあります。後期エンドケースにはレベルチェックプラグがありません。

以上抜粋です。

(以下2022年7月27日追記)

M32ゲトラグ6速ミッションはオペル・ヴォクスホールだけではありません。フィアットのプント、アルファロメオの147、159、ブレラ、Mitoの6速ミッションもM32です。
そして上記の問題は、これら全ての車両において起こりうるトラブルです。
どのような車両においても対策品のエンドケースへの交換は有効であり、またそれ以上に有効なのはギアのシムの適切な調整です。これはエンドケースのアップグレードをした場合、必ず必要な事でもあり、M32ミッションのトラブルの根本的原因でもあります。ベアリングをより高性能な物にしてもシムの調整が正確で無ければ、また直ぐに摩耗し致命的な故障が起こります。

何度も言いますが、ロータスのお店としては「メーカー指示では交換の必要が無い、と記述してあるので交換はしない(出来ないと言う店もいる)」というスタンスなので、自分から強く求めない限り交換してくれません。
それでも応じてくれない場合は、エリーゼ見れそうな所に持っていきましょう。
ミッションオイル交換自体は、プラグが封印されてるとか、外したらもう二度と元に戻せないとかそういう物でも無いので車の整備に慣れてる人から交換できます。
ディーラー以外で整備したからと言って、切れる保証もありませんしね。メーカーサポート終了してますから。

この車を活かすも殺すも、腐らせていくも生き返らせるも貴方次第です。
私は交換しましたが、すこぶる快調です。

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