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忘れないで、それはあなただけの旅路
『紅月』の『TRIP』キャンペーンがついに終わった。落ち着いて振り返ればいろいろと噛み締めることもあったので、書いていこうと思う。
嬉しかったのは、やはり『アルバム発売記念『紅月』単独ライブ』だろうか。本物のライブさながら楽しんだが、なかでも冒頭の自己紹介がよかった。
「紅月の懐刀、神崎颯馬である」「リーダーの蓮巳敬人だ」と、ユニット内での自分の立場を言い添えてくれたふたりに対し、鬼龍くんの自己紹介はこうだ。
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「俺は『紅月』の鬼龍紅郎だ」。
なんとシンプルで力強い言葉だろう。「自分は紅月の一員である」と胸を張って言えることそのものが、彼の強固なアイデンティティになっているのだ。彼は「応援してくれるファンのみんながいたからこそ、ここまで歩んでこれた」と話す。
MCパートでは、『紅月』がファンに語りかける言葉を珍しくたくさん聞くことができた。彼らにとって、ファンとはどのような存在なのだろうか。
「もう一度」ファンに出会った日のこと
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敬人
『夜を明かすまでは、月の光が見守っている。この眩い空の下では、老若男女も魑魅魍魎も——誰ひとり取り残させはしない』
蓮巳さんは、かつて『月光奇譚』ライブで、観客に対してこのように語りかけた。
「老若男女も、魑魅魍魎も」。わたしはこれまでこの言葉を、『デッドマンズライブ』で蓮巳さんが吐き出した「誰からも愛されないような得体の知れない生き物だって抱きしめて愛して」にかかる言葉——つまり、仏門の徒としての蓮巳さんの言葉なのだと思っていた。
だが、今回のキャンペーンを経てすこし捉え方が変わった。
彼が言いたかったのは、彼にとって、ファンは皆等しく貴賎のない存在であるということだったのではないだろうか。
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いやそれはそうだろう、とも思う。アイドルにとって、ファンが大切なのは当然のはずだ。だが『紅月』とファンの関係性は、他とは少し成り立ちが異なる。
『Trickstar』が現れる前の、夢ノ咲学院のドリフェスを思い出したい。
かつてスバルと北斗が嘆き、涙した「観客は生徒会のユニットだけを見て帰ってしまう」という状況。裏を返せばそれは「生徒会のユニットならば必ず演目を見てもらえる」ということでもあった。
あえて意地悪な言い方をすると、紅月は(当人たちにも思う所があったとはいえ)そんな状況にあぐらをかいていたともいえる。
学院のトップユニット『fine』不在の中、次ぐNo.2として地位と名声をほしいままにした紅月。生徒会勢力として、文字通り「天上」に君臨しつづけた彼らは、『Trickstar』の革命により墜落を経験した。
学院内での地位を失った彼らが、ライブで目の当たりにしたのは、生徒会の圧力がなくともサイリウムを振ってくれる観客の姿だった。
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颯馬
(おぉ、我の歌声を聞いて『さいりうむ』の色を変えた御仁がおるな? ふむ、青から『ぴんく』に変えたようである)
(青は六点、『ぴんく』は八点であるから……虹色まであと二点であるなっ)
(我、浮き浮きしてきた♪ 遥か彼方まで、我の歌声を響かせようぞ……♪)
「生徒会ユニットには必ず虹色のサイリウムを振る」。そんな当たり前がなくなってしまった世界で、彼らはもう一度、目の前の観客を楽しませるワクワクと喜びを思い出す。
『紅月』にとってファンとは、「ただのユニット」になった自分たちに「ついてきてくれた」存在なのだ。
クレーターだらけの輝く旅路
ES一年目の集大成ともいえるアルバム『TRIP』。ここでひとつ、注目しておきたい点がある。アルバムの曲順だ。
本アルバムは『fuzz.』を境として、前半のユニット曲と、後半のボーナストラック・ソロ曲に別れる構成になっている。その前半部分をしめくくるのが『夜空、然りとて鵲は』なわけだが、それは......あまりにもずるいだろうが......と唸ってしまった。
『夜空、然りとて鵲は』は「理想を追い求める中で、愛する人と道を違えてしまった『俺たち』」の後悔と、それでも歩みをやめない決意を歌った曲だ。『月光奇譚』のカップリング曲だったこともあり、当時は「まあこれくらいストーリー性の強い曲もやるよね」くらいの話題で留まっていた記憶がある。
ところが、これがユニット曲の最後に配置されるとなると、全く聞こえ方が変わってくる。すなわち『俺たち』とは誰のことなのか?
わたしの知る限り、はっきりとした答えは語られていない。けれども『紅月』の皆が、自分のせいで夢を諦めた仲間たちや、炎上の際に離れていったファンたちについて、時折振り返っていることを思い出してもよいと思う。
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8周年記念ムービーではファンに向かって「おまえもついてきてくれるか?」と問いかけていた。彼らは、日々高みを目指してはいるけれど、だからといって過去を置き去りに進んでいるわけではない。
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刻まれたクレーターまで自分らしさに変えて、『紅月』は今日も輝く。アルバムジャケットで、まぶしそうに振り返る彼らの視線の先には、いったいどんな光があるのだろう。
「紅月のファン」であるわたしたちは、きっと「紅月のファン」であるだけで、ここにいていい。
もしも、今日『紅月』に出会ったならば、ここが新たな旅路のスタート地点になるのだ。ここから始まるのである。それがどんなものであれ、彼らとともに歩いた人生が、自分だけの歴史になる。
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それを認めてくれる彼らとともに歩かせてもらえていることが、なにより誇らしい。
今年も『あんスタウェルカム祭』が始まった。これから『あんスタ』のアイドルたちに出会い、新たなファンになる人がいることを、いちファンとして心から嬉しく思う。
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