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わたしと推しの時差は5年ある
新年明けましておめでとうございます。
お正月といえば、『あんスタ!!』年越しライブである。アイドルがリアルタイムで年越しカウントダウンをしてくれるこのイベントは、彼らが現実世界のわたしたちと「唯一同じ時間を過ごしてくれる瞬間」だと言えるだろう。
4月にリリース7周年を迎える『あんスタ』だが、アイドルたちは5年で1歳しか年を取っていない。わたしたちとは実に5年もの時差があるというわけだ。
だから年越しライブは貴重なのだ。MVモードを使ってたくさんスクリーンショットを撮ったので、少し振り返ってみたい。
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全体的に去年よりはっちゃけた印象だった。弾むペンライトの中で歌い踊る彼らを見ていると、「あの子たちの世界にはコロナなんてないもんなあ」と改めて感じる。
それはつまり「住む世界が違う」ということなのだけれど、だからといって断絶を感じるかといえば、そんなことはなかった。むしろありがたかった。自分の好きな人が、アイドルを生業とする彼らが、コロナのない世界で生きているということは、なんとなく私をほっとさせてくれた。
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2021年、たくさんのアーティストが無観客でコンサートを行うのを見てきた。たくさんの劇団が無観客で舞台を上演し、ライブ中継するのを見てきた。
「無観客ライブ配信」は、登場した当時、希望の光のように取り上げられていたように思う。誰がやり始めたのかは覚えていない。ただ、エンタメ業界が落ち込む中、「無観客でもやります!」という動きが波紋のように広がっていくのを、リアルタイムで見てきた。
ある2.5次元ミュージカルの主宰者は、たとえライブ配信でチケット代を集められたとしても、赤字なのだと話していた。それでも辞めちゃいけないんですと言いながら、カメラの台数を増やしてくれて、結果わたしは自宅からその舞台を視聴することができた。
ライブも演劇も、生で見られた時代が夢のようだった。
同時に、足を運ばずとも配信で見られることが当たり前のようにも感じ始めていた。
実は、2021年12月、わたしは密かに東京を訪れていた。推し俳優くんが、1年ぶりに舞台に立つという話だった。2ヶ月前からチケットを買って、ぎりぎりまで迷いながらも夜行バスに乗った。
最後に東京を訪れたのは2020年2月のことだったから、ほぼ2年ぶりの東京だった。記憶よりも人が少なかった。新宿の街を、誰ともぶつからずにすんなり歩けるのは、新鮮な感覚だった。現実味がなかった。
推し俳優くんがいつかやりたいと言っていた、小劇場でのストレートプレイ。初めての中野ザ・ポケット。入り口でアルコール消毒と検温をして、チケットを確認してもらって(自分でもぎった)、席についても、わたしは舞台が存在することを信じられなかった。いつ「陽性者が出てしまって」と舞台が中止になるかわからないと気を尖らせていた。
幕は、無事に上がった。舞台は何事もなく終わった。
推し俳優くんは、実に楽しそうに舞台に立っていた。長台詞を噛まずに言い切る姿がかっこよかった。全力ではっちゃける姿が眩しかった。大好きだった黒曜石みたいな瞳が、きらきら輝いていた。でも、何より目に焼きついたのは、推しくんが服を脱ぎ捨てたときに見えた、割れた腹筋だった。
2020年の出演舞台は1本のみ。カンパニーの卒業公演はコロナで中止になった。そして2021年には事務所脱退。SNSの更新もすっかり止まってしまい、もう会えないかもなあなんて思いながら毎日を過ごした。
2年ぶりに生で見た推し俳優くんは、きっちり2年分、大人びた顔つきになっていた。割れた腹筋は、この2年の間、彼が再び舞台に立つことを諦めずに努力し続けた証だった。
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件の舞台はクリスマス前だったので、わたしは推し俳優くんの割れた腹筋を目に焼き付けたまま、あんスタの年越しライブを見ることとなった。
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全体曲だと年相応のアイドルらしさを見せてくれる蓮巳さん。
ところで、「あんスタの推し」こと蓮巳さんには腹筋がない。本人曰くきちんとトレーニングはしているそうなので、おそらく鍛えても筋肉がつきづらい体質なのだろう。
わたしはコロナのある世界で2021年を過ごした。推し俳優くんも同じだった。でも、蓮巳さんは、あんスタのアイドルたちだけは違った。彼らの世界にはコロナがなかった。
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歓声はないけれど、観客はいた。彼らがサイリウムの光に囲まれなかったことはなかった。アイドルの煽りに合わせて手を振る人たちがいて、ファンの声援に応えるアイドルたちがいた。
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マスクがなかった。フェイスガードもなかった。舞台上での身体的接触が制限されたこともなかった。どこまでも夢のようで、どこまでもファンタジーで、文字通りフィクションの世界に違いなかったけれど、ほんの数年前までそれはわたしたちの「当たり前」だった。
蓮巳さんは5年で1歳、年を取る。わたしと推し俳優くんは1年に1歳、2年で2歳、年を取った。どちらが良い悪いという話ではない。どちらも、わたしにとって救いだった。
彼らは彼らのペースで生きる。わたしはわたしのペースで生きる。一緒に歳は取れなくても、好きな人が自分の人生を自分らしく生きていると実感できることが、わたしの励みで、エネルギーで、宝物のような感情なのだ。
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わたしたちと5年の時差を持つ彼らが、一年に一度、わたしたちと同じペースで「明日へ進め」と歌ってくれるこの瞬間が、わたしは大好きだ。
2022年も、わたしはわたしの明日を生きる。あなたたちは、あなたたちの明日を生きてください。
今年もいい一年にしようね!
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