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オータム・テントウ、荒野をゆく。
広い野原に咲く、白くて可憐な花を見つけました。
「あら、可愛い♪」と無防備に近づくと、すぐにいやな予感が。ワッツ!?
知らぬ間に服についていたのは、読んで字のごとしの “ひっつき虫” でした。アメリカセンダングサという植物だそうです。
しかし、一体どこでこんなのついたんだ?
シャーロッタ・ホームズは、脳内でバイオリン🎻を弾きながら推理します。
ポクポクポクポク…チーン!💡(木魚?一休さん?)
答えはすでに目の前にありました。
白い花→ひっつき虫→トゲ丸ひっつき虫
見事な変貌っぷり。私は大人になった今の今まで、ひっつき虫にこのような可憐なお花が咲くとは知らなかったのです。しかも最終形態であるトゲ丸が、可愛いお花と同一植物だなんて!
このトゲトゲの種子、いまは亡き最愛の猫くんが、よく体にひっつけてきたよなぁ…としんみり。
秋風が吹いて目尻がヒンヤリ。
ひっつき虫から離れた場所で、服についたトゲトゲを取り除きながらふと視線を落とすと、足下を蠢く点を発見しました。
「テントウムシ…?🐞(仲間由紀恵さんの声で)」
春~初夏、色とりどりのお花と一緒に写真に映るイメージのテントウムシ。そんな彼が、ひっつき虫とブタクサの群生する秋の野原で忙しそうに歩いています。
ちょうどテントウムシのいる地点にはあまり植物が生えておらず、小石混じりの固い土が延々と広がるのみ(彼から見ると)。たまに現れるちっちゃい雑草の赤ちゃんに上ってはすぐ下りて、再び荒野をズンズン進んでゆく、を繰り返していました。なので、なかなか飛び立ちません。
小学生のとき習った、「テントウムシはお天道様を目指して上へ上へと進み、てっぺんに辿り着くと飛び立ちます」というのが頭に刷り込まれている私。
そしていまは秋で曇り空。
違和感だらけの光景でした。
ひっつき虫を取り終えた私は、その場にしゃがみこんでテントウムシを見守ることに。
すると、スモールライトで自分がテントウムシサイズになった錯覚を起こしました。
ズンズンズンズン…歩いても歩いても、飛び立ちたくなるほどの高い植物にはぶち当たらず。石粒の上を歩いてる。
飛び立ちたいけど上れない。それでも進んでゆくしかない。
ズンズンズンズン…ズンズンズンズン…
一 そうそういいことなんてない 方向音痴の情熱ライフ
おっと、テントウムシと一緒に荒野を這っていたら、脳内ミュージックは嵐の名曲に。
いいぞいいぞ!なんか元気出てきた。心なしかテントウムシの足どりも力強く感じられます。私の胸にも熱い火が灯り。
行け!この果てしない荒野を!いつか飛び立つときを夢見て血を燃やせ!
「もう行くよ!」
「?!… (仲間由紀恵さんの振り返りかたで)」
一気に現実に引き戻されました。そうでした。私は仕事でここに来ていたのです。待機中とはいえ満喫しすぎました。
相方は先に車に乗り込み、植物のないこのスペースで転回しようとしています。
「はっ!テントウムシ!!(仲間由紀恵さんの声で)」
私は慌てて地面に目を走らせました。
このままでは車に踏まれる!どこ?どこへ行ったの?
さっきまでともに荒野を歩いたブラザーの姿は、一度目を離した私には容易に見つけられません。
方向音痴の情熱ライフ… 方向音痴の情熱ライフ…
こだまするテーマソング。
ブラザー!応えてくれ!
いた!
私はそっと手の中にテントウムシをすくい、手近な背の高い植物に載せました。間一髪!
車も転回を終え、私が乗り込むのを待っております。
別れを惜しみつつ、私はブラザーに向かって「荒野を飛び立て」とメッセージを残し、この場所をあとにしました。
「ふうぅ、お待たせ」
助手席につき、サイドミラーに映る背後の荒野を見納めに。すると、
チクッ…
胸の痛み。ではありません。
チクッ…あれ?
私は痛みの正体を自分の脚に見つけました。
「ひ、ひ、ひっつき虫~!!(仲間由紀恵さん…)」
無数のトゲトゲが自分の脚にひっついております。
そう、私は無我夢中でテントウムシを草丈の高いひっつき虫の上に避難させていたのでした。
一 スマイルアゲン アイム スマイルアゲン…
そうそういいことなんてない 方向音痴の情熱ライフ
おあとがよろしいようで。
~ fin ~
最後まで読んでいただき、ありがとうございました🍀
この記事は、Marmaladeさんの企画『見つけたって言ってみる』に参加させていただいております🐞
白いお花の正体と、秋のテントウムシ、見つけたよ😊🎵