20210405 朗らかな天気に飛ばされて

本当は、朝早くに職場に行こうとしたけれど起きられなくて、今朝いつもの時間に家を出た。
新年度はぬるっと始まり、バタバタ過ぎていく。結局、年度が切り替わるタイミングでしか発生しない年1回の仕事に毎回翻弄されている。分かっているはずなのにいつも翻弄されている。愚かだなと思いつつ、そういうことをもう10年も続けているのだった。

でも、午後は休みを取って歯医者に行った。予防歯科なのでキレイに磨いてくれるだけなのだけど、歯科衛生士によって丁寧さが違う。ずっと私のことを担当してくれた歯科衛生士は、まつげエクステをしてアイラインもバッチリの50近い女性だったが、毎回40分かけてくれていた。
でも、私がうっかり予約をすっぽかしたせいで担当が変わってしまい、毎回違う歯科衛生士になってしまった。今日の人はすっぴんで小柄な20代前半の女性だったが、20分で終わった。最短記録だった。
結局、丁寧でないことをすれば、やはり自分にもそういう事がかえってくるんだろうなと思う。
午後いっぱい休まなくてもよかったなと思ったが、真っ青に晴れ上がった空を見たら、やっぱり休んで良かったのだと自信が持てた。

晴れていると、いつも聞いているはずの鳥の声がとてもハッキリ、美しく聞こえるのは不思議な事だ。

夕飯の食材が足りないので、よく行くスーパーにいったら衣料品売り場で映画Tシャツコーナーとかいう、コンセプトがよくわからない催事があった。
それでも、「JAWS」のTシャツがとても可愛かったので思わず買ってしまった。夏の間、夫と共有して着ようと思うと、今年もどこにも行けない夏だろうが、少し楽しみになる。

食料品売り場に行くと人は疎らで、この時間の買い物は好もしく思える。人が多い食料品売り場は食材が何も美味しそうには見えないから困る。私よりは圧倒的に年齢層の高い客に混じりながら、ゆっくりと果物の間を歩く。

旬らしい、真っ赤なイチゴがずらりと並ぶのに目を奪われた。
イチゴは別に好きでないのだが、ルビーのようにさも高級なものの出で立ちで並ばれると興味が湧く。細長いもの、でぷりと太っているもの、小さく可愛らしいもの。
好きではないのだが、見ていると欲しくなる。旬のものを食べるのが体には一番いいと聞いたし、と心で言い訳しながら、少し高いと思いながら小さく可愛らしいイチゴが詰まったパックを手に取った。

帰宅して、パックからイチゴを何粒が取り出してざっと水で洗い、口に放り込む。
甘い、よりも、酸っぱさと青臭さが鼻をぬけていく。味は濃い、が、酸っぱい。甘いイチゴなんてほとんどありゃしない。
こんな、小さなただのイチゴをルビーのようだと思っていた1時間前の自分を恨む。やっぱり、別に、イチゴは好きじゃない。

果物を楽しむような情緒、というか、果物という、なにかに付随してこそ甘美、という概念を楽しむ隙が私には無いんだなと思えるから、果物は好きじゃないのだと思う。
美味しさよりも、果物、ということを楽しめない。

最近久しぶりに本を読んでいる。
自らで命を絶った人の、日記のようなもの。SNSで見かけたので、興味本位で読んでみているが難しくて、中々読み進められない。
人が、死をどう考えるのかが知りたくて、どんな風に壊れてしまうのか知りたくて読んでいるけれど、結局、心は自分が蝕んでしまうものなのだなと思う。
私は、きっと自分では死なないだろう。
自分が心を蝕んでも、誰かのせいにしてしまうだろうから。それは、とても楽な選択肢だ。


夫が帰ってきて、Tシャツを着せたら私よりも断然似合っていて悔しかったので、明日仕事帰りにまたスーパーに寄って、今度は「スターウォーズ」のTシャツを買ってやろうと目論んでいる。