タコス警察 #1 CHRONIC TACOS
2018年3月某日 銀座
「勤務先の近くにタコス屋ができたから、調査してほしい」との通報を受けたタコス警察。
※ BGMはメキシコの伝統音楽ソン・ハローチョの代表曲 El cascabel (エル・カスカベル)でお楽しみください(某サスペンス映画の劇中歌の元ネタ)
通報者は公務員のKさん。メキシコ経験はないものの、ラテンアメリカ文化にはブラジル音楽をはじめとして造詣が深く、胡散臭いこのタコス屋をとっちめる日を、首を長くして待っていたと語る。
通報者とともに、現場へ急行する。
「急がないとKさんのお昼休みが終わってしまう!」
東京メトロ銀座駅からほど近くに、今回のタコス屋「CHRONIC TACOS」はあった。オフィス街近くのため、ランチに来る人たちで混雑しているが、席に空きがありスムーズに入れた。
テキパキとタコスを作っている店員さんの快活さに圧倒される。メキシコの屋台ではもっとのんびりダラダラしている。
多くのファストフード店と同様、注文・会計をしてから席に着くシステム。トッピングのバリエーションも豊富であり、何を注文するか悩まされる。手強い相手だ。
しかし注文の際にも「カーニタス / CARNITAS」と書かれているものを、「カルニータス」とスペイン語風に呼んでオーダーするなど、こちらからジャブを仕掛けていく。
支払いを済ませてブツを受け取り、席に着く。いよいよご対面。タコス2種類を頼んだ。包みを開く手に緊張が走る。
まずは、カーニタス(ミックスチーズ、レタス、ワカモレ)。ご覧の通り、たっぷりの野菜が、それを包むトルティージャ(勿論トウモロコシ粉のソフトシェル)からはみ出しまくっている。
一口かじるなり、「レタス多すぎ」「冷たい」「肉どこ?」などの文句で先制攻撃を仕掛けるも、「西海岸的ヘルシーフードとして見ると合理的」「ワカモレ(アボカドソース)うまい。パクチーも本場の雰囲気ある」「とうもろこし粉のトルティージャは評価できる」「てか肉うまい、南米の焼肉の味がする」などと、悪くない感触を抱いてしまう。
食べ終わって包み紙をくしゃくしゃに丸めながら、「メキシコの本物には及ばないが、このカルニータスは日本で食べられるジェネリックタコスとしては優秀」と捨て台詞を吐くのであった。
ちなみにセットのドリンクにはペプシコーラを頼んだが、これには不満な様子。
「なぜコカ・コーラがないんだ。タコスには瓶のコカ・コーラと決まっている」
2品目にして最後は、タコス・アル・パストール (ミックスチーズ、レタス、レッドサルサ)。本場のものは、ケバブのように焼いた肉を挟む。このタコスは、メキシコの屋台で何度も食べた、思い出の味である。
カルニータスが悪くなかったことから、期待感を胸にして、かじる。
「…」
「パストール(肉)の味がしない…」
「食い進めてもレタスしか感じられない…」
「これはタコス・アル・パストールとは認められない」
このタコスの処遇が決まった。
「「「タコス・アル・パストール!貴様は現行犯逮捕だ!!」」」
こうして危機が去った。タコスは救われた。
タコス警察は、日本のタコスの平和を守るため、今日も街を駆け回る。
今日のタコス屋
CHRONIC TACOS ( ホームページ http://chronictacos.jp/ )
中央区銀座6-2-3 Daiwaアネックスビル1F
営業時間 11:00~23:00
おすすめのメニュー
カーニタス(CARNITAS カルニータス) トッピングは、とうもろこし粉のソフトシェル、ワカモレソース、ミックスチーズ、レタス別皿(できるかは不明)