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【イタリア日記⑧】2024年11月(11~20日)
11日(月) ネットで完結『カナレットとヴェネツィアの輝き』
12日(火)
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下半分を...
食うべきか食わざるべきか冬苺
エミリア・ロマーニャ州、アンの自宅にて執筆
12日(火) 一人暮らし
バールで朝食をとったり、洗濯をしたり(←家事の中で唯一、僕がやります! 自分の分だけ...)、前日の遠足記事をまとめたり、いつもと変わらず過ごしましたが、夜、僕の部屋でベッドメイクをしているアンの後ろ姿を見ていると、とても悲しい気持ちになりました。
13日(水)
いつかアンドレアが言っていた。「君の暮らしは3か月前に戻るだけだけれど、俺の生活は君がいなくなったこの家で続いていくんだ」と...
きっと無理僕ならひとり暮らすのは
(季語:ならひ≒北風[冬])
エミリア・ロマーニャ州、アンの自宅にて執筆
13日(水) 今日は見るだけ
朝食後、地元の駅へ電車を見に行きました。
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13日(水)
今日は見るだけ。でも、明日は...
重ね着す電車の中で脱げるよう
追記[11/14(木)]
帰国前逆ホームシックが治らない。
毎回思うけど、どうして僕はこんなにメンタルが弱いんだろう。
3か月で日本に戻ることは最初から分かってた。向こうには家族がいて、やりたいこともやらなければいけないこともあって、毎日がそれなりに楽しいことも知っている。辛くないはずの帰国を辛いと思う意味なんてないし、辛いと思ったところで残りの楽しい滞在を台無しにするだけ。昔から何度も、少なくともこの3年間で5回も同じ思考を繰り返しているのに、未だに克服できない。
空港で別れる瞬間が怖い。セキュリティゲートを通った途端ふつうに戻って、その後もふつうに暮らしていくって分かってるのに、その前はあの瞬間のことしか考えられない。あの瞬間が迫ってくるのが、ただ怖い。
何がそんなに怖いのかも分からないのに。
エミリア・ロマーニャ州、アンの自宅にて執筆
14日(木) 今日は見もせず
もう3週間近く雨は降っておらず、この日も、この先の予報もずっと晴れ。それにもかかわらず、早朝から午前の早い時間まで雨が降りました。
登山電車でフィレンツェへ行く予定だったのに。
雨が降っていることを知ったのは、僕より遅く起きたアンが窓を開けて天気を確認したとき。
やつは洪水が大好きなくせに、病的なほどに雨を嫌います。悪天候の可能性があると分かった瞬間、一週間以上の旅行すら何のためらいもなくリスケすることもしばしば。この日は日帰りの遠足、しかも、9月の長雨に起因する土砂崩れが原因で前日まで閉鎖していた区間を通る登山電車に乗る予定... キャンセルになるな、と秒で悟りました。
もともと帰国前逆ホームシックを拗らせており、この日、もといこの瞬間を狙ったような雨と、雨くらいで予定を変更するバカに対する怒りで、機嫌は最悪です。それに追い打ちをかけるように、フィレンツェへ行けない理由を10回ほど説明し終えたアンが言いました。
「別の路線なら安全だから、電車でラヴェンナへ行こう」
僕の体が157センチ50キロではなく、もしくはやつのそれが193センチ96キロでなかったら、本気で殴りかかっているところでした。
僕は13年前のあの日、たった一人でボローニャ発ラヴェンナ着の電車に乗り、短い期間とはいえ、自分だけの力で、自分の人生を切り拓いたのです。
こいつとラヴェンナの鉄道駅で電車を降りるなんて、ありえません。
思い出が上書きされたら、僕のアイデンティティが失われてしまいます。
「絶対に行かない」と答えたあと大荒れに荒れ、そのあとは、ホームに掲げられた駅名表示の、あの独特のフォントが頭から離れず、考えたくもないことが次々と連想されるので、もう寝てしまおうと思い、ベッドで過ごしました。
しかし、今回イタリアへ来る前に、アンドレアが僕の部屋のドアを鍵のないものと交換したため籠城はできず、午後、文字通りベッドから引きずり出され、車に押し込まれて、イーモラの図書館や食事に連行されました。
最悪の一日でしたが、せめて先日借りた本を返却することができて良かったです。あと、無理やり連れて行かれた夕食では、"今回滞在中の外食イチ" と言っても過言ではない一品と出会いました。
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どうやらアンドレアには、フィオレンティーナが食べられないから機嫌が悪いと思われていたようです。
それにしても、今回、フィオレンティーナとはガチで縁がねぇな。
15日(金)
見えるかな?サンルーフから冬の月
ちょうど満月になるのはイタリア時間22時28分。
エミリア・ロマーニャ州、アンの自宅にて執筆
15日(金) WE♥KUGA
朝、アンの自宅まで迎えに来たルイージの車に乗り込み、新聞スタンドで『LATINO VOL. 8』を買ったあとバールに寄って朝食を済ませ、我らがフォードを受け取りに行きました。
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手続きを済ませ車を手に入れるや否や、「送ってくれてありがとう。じゃぁまたな!」と、ルイージと彼の車を代理店の駐車場に置き去りにして、クーガに乗り込みます。
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遠回りして家に着くと、アンは女の子たちを逆リレー方式で助手席に乗せるため、僕を置き去りにして出かけていきました。
そして、夕方。
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今期のHappyMealのおもちゃは日本同様『マリオカート』ですが、どのカートよりもクーガの方がかっこいいです!
16日(土)
ドライブだ!渋滞知らず冬リミニ
エミリア・ロマーニャ州、アンの自宅にて執筆
16日(土) 著作権、この場合は誰のもの?
アンドレア、カルロ、ロベルト、僕の4人でリミニへ行きました。
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夕方、地元で解散し、家に帰って夕飯を食ったあと、「AIが落書きをまともな絵に変換してくれるアプリ」で遊びました。
例えば、アプリ内でこの[↓]絵を描いて変換すると...
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こう[↓]なります。
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また、こちら[↓]の絵は...
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A「ゾウ人間…」
こう[↓]なりました。
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リンゴやブドウ、キャンディやチョコレート、コーヒーやビール、チェス駒やロウソク等々を生成して楽しんだあと、僕が自分たち二人の似顔絵を描くことに。
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L「眉毛の長さは正直に描いたんだけどな... これ、延長されてんな」
A「生成するときに欠点を補ってくれるんじゃないのか」
L「『欠点』って、元の絵の? それとも身体的特徴の?」
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A「あごひげ、あんなにしっかり描き込まれていたのに反映されてないね」
L「身体的特徴の欠点なんじゃね? 剃れば?」
手前味噌ながら、僕は、もといAIは、髪の毛を表現するのが上手いと思う。
...そういえば、もう三か月も切ってないな。日本へ帰ったら1,000円カットに行こう。まぁ、1,000円と言いつつ実際は1,350円だけど。それでもイタリアのカット料金と比べたら...
17日(日)
明日はFlussiの申請日...
神無月かまうものかと神頼み
エミリア・ロマーニャ州、アンの自宅にて執筆
17日(日) 僕は無神論者
サンタ・マリア・デル・モンテ教会で、Flussi申請前の神頼みをし、日本への帰国を遅れさせる効果があるお守りを買いました。
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Sono ateo (Loris M.)
Vorrei soltanto credere in me stesso,
ma cosa posso fare per flussi io?
Niente. Mi toccherà pregare Dio.
Pietà Signore, per amore di esso!
[日本語訳]
僕は無神論者 (作/ローリス M.)
自分自身だけを信じたいけれど、
Flussiに関して僕に何ができる?
何も。神に祈るしかないだろう。
主よ、憐れみを。一生のお願いだから!
Il mio amico prete non è un fesso
Con le sue preghiere e l'aiuto di Dio
Alla fine il permesso sarà mio
Con flussi o tirocinio fa lo stesso!
(Andrea M.)
[日本語訳]
俺の友達の神父は使える(?)
彼の祈りと神の加護で
最終的に滞在許可証は俺のもの(?)だ
Flussiでも職業研修でも大差ない!(?)
(作/アンドレア M.)
それにしても、グリーンペッパーはどうしてこんなにも美味しいのでしょう。
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18日(月)
冬の空 雑用処理の 月曜日
エミリア・ロマーニャ州、アンの自宅にて執筆
18日(月) 次に会えるのは
Flussiの申請をしました。
前回申請代行を依頼したのとは別の事務所に書類を提出すると、前回は求められなかった「家の図面」を求められ、アンが、
「今回から追加されたんですね」と言うと、職員から、
「いや、前回と同じですよ」という答えが返ってきます。
僕とアンは顔を見合わせましたが、やつは無表情のまま黙っていました。怒り狂っている証拠です。
僕が、「あの弁護士事務所から一人もFlussiに通らなかったのは...」と切り出すと、アンは視線を職員に戻し、淡々と手続きを続行しました。めちゃくちゃ怖かったです。
それはともかく。
Flussiの申請と、後発の "ビザ取得作戦" の打ち合わせをして、次回の渡伊時期が大体決まりました。
・Flussiが通れば来年4月末またはゴールデンウイーク明け、
・"ビザ取得作戦" が成功すれば来年7月末~8月上旬。
後者だと、というか、ほぼ確実に後者になるような気がしていますが、8月上旬にこちらに戻ってくるということは、アンと一緒に遊べない期間が8か月もあるということになります。
それを知り、僕は絶望しました。しかし、それ以上に、「後者の方法でも来年6月上旬にはこっちに戻ってこられる」と、なぜか信じきっていたアンが落ち込み、それでも「今回はもしかしたらFlussiに通るかもしれない」と繰り返す様子を見ていると、何も言うことができませんでした。
夜。"ビザ取得作戦" 打ち合わせの際「何とか彼に職業研修を受けさせずに滞在許可証を手に入れる方法はありませんか」と職員に食い下がるアンの姿が頭から離れないまま寝室へ行き、僕が知らないうちに整えられたベッドを見たとき、なぜか泣き崩れてしまいました。今回の帰国前逆ホームシックはガチで重症です。
19日(火)
Click day書く欄がない古暦
エミリア・ロマーニャ州、アンの自宅にて執筆
19日(火) 宝探し
アンと車で地元を探検しました。
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Santa Sofia の Chiesa del Santissimo Crocifisso ([↓]左側の、屋根に十字架が刺さってる建物)では...
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Giuseppe Bezzuoli (1784-1855) とかいう、新古典主義の画家の絵を見つけました。
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この油絵は、フィレンツェの Uffizi 美術館でベッツォーリの展覧会が行われた際、館内に展示されたそうです。
20日(水)
向かい風それでもきっと神渡
エミリア・ロマーニャ州、アンの自宅にて執筆
20日(水) シェンゲン協定
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「昨日の夜、考えたんだけど...」
バールで朝飯を食っていると、アンが言いました。
「ビザなしの場合、日本人は180日間のうち90日をイタリアで過ごせるんだよね。君は次にこっちへ戻ってこられるのは来月帰国してから8か月後だって言うけど... それは理論的におかしくないか? 12月上旬に帰国すれば、3月上旬にはまたビザなしで入国できるはずだよね。ほら、前にもやったことがあるだろう。イタリアを出てから3か月間日本で待って、また戻って来るっていう... "職業研修ビザ" 取得用の書類はすぐに揃うって、君、言ったよな? だったら3月の初めにそれを持って観光目的でこっちに来て、一緒にFlussiの結果待ちをしたあと、通ればビザを取りに、通らなければそのまま職業研修のリクエストをして、その結果を待ちに日本へ帰っても、何の問題もないよな?」
「『理論的』にはね。でも経済的には... 往復で1,500ユーロくらいかかるだろ」
「...そんなこと気にしてたのか。君がいない間に浮く食費でそれくらい出るよ」
「...ガチで言ってんの?」
「うん。君がいるときの食費は半端じゃない」
「いや、そっちじゃなくて」
21日(木)
滞在記Ⅵの案… こうしよう!
(季語:あんこう[冬])
エミリア・ロマーニャ州、アンの自宅にて執筆
『【イタリア日記⑨】2024年11月(21~27日)』に続く...