中西詠介流TRPGの作り方(全体の流れ編)
「TRPGシステムの作り方」に興味を持ってくださった方がいらっしゃると聞いて、とても嬉しい気分になったので、個人的にTRPG書籍を作る時の方法をざらっと書き起こしてみます_(:3 」∠)_
「同人TRPGを作ってコミケに出してみたい!」だったり、「業界に""旋風""、起こしちゃいますか……!」とお考えな方は参考にしていただければ嬉しいです。
①まずは作りたいものをイメージする(必要期間:1週間~数年まで様々)
TRPGを作るにあたって、一番はじめに中西の頭の中にあるのは、ざっくりとした遊びのイメージです。企画部分ですね。
「こんな遊び方をしてほしいなぁ」が先行する時と、「こんな世界を見てほしいなぁ」が先行する時がありますが、まずこの段階で、「こんな世界で、こんな遊び方」の部分まではざっくりイメージを固めてしまいます。
どちらかが決まっていれば、だいたいもう片方もイメージを膨らませていく間に決まっていきます。その世界や遊び方に、一番適切な遊び方や世界を考えればいいのですよ(・ω・)!
極力「こんな世界」と「こんな遊び方」は、どちらも既存作品とは被らないほうがいいですが、好きなものをリビドーのままに作ってしまうのもありだと思います。どうせ"好き"を詰め込めば、他の作家と同じ作品にはならないので。
この時点で具体的な世界や、ルールが思い付いている必要はないけど、プレイ風景のイメージぐらいはできていたほうがいいかも。
商業作家になってからは、これをパワポとかにまとめて企画書にして、企画書ができた段階で編集さんに見てもらうことが多いです。
②テスト用のルールやデータを書き起こす(必要期間:1週間~1ヶ月ぐらい)
企画が決まれば、テストプレイに必要な分ぐらいのルールとデータを書き起こしていきます! 中西はこれにExcelを使うことが多いです。
見るのは基本的に自分ぐらいなので、自分がわかる範囲で箇条書きをするのにはExcelが一番楽なんですよね_(:3 」∠)_
外観的には、ルールサマリーにも似た感じです。 データも、サンプルキャラを作れるぐらいのデータだけここで用意します。
『歯車の塔の探空士』の時なんかは、アルバトロス級に搭載されているデータぐらいはこの時期からありました。各カテゴリごとの、基本的な性能を持ったデータですね。
ただ、『チェレステ色のパラディーゾ』など、スキルデータが直接遊びの根幹に関わらないゲームなら、スキルそのものを作らずテストに回すこともあります。通常攻撃と回避でダイスを振っているだけで楽しい。こんなルールが個人的には理想だなーとは思っています。
③テストプレイを繰り返す!(必要期間:1ヶ月~納得がいくまでエンドレス)
前段で作ったデータとルールで、ひたすら面白くなるまでテストプレイを繰り返します! で、面白くなかったデータやルールは容赦無く変えて、またテストプレイします! 変えてしまったルールが次のテストでまた復活したりもします。
昔はこの部分であんまり止まることなかったけど、最近はここで止まることが多くなったので、中西も若きTRPG筋が失われている気がしています_(:3 」∠)_ けど、その分磨きをかけられるようにもなったので、最終出力物のクオリティは安定しているかも?
余談ですが、同人版スカイノーツはこの部分を酒席で囲った1~2回ぐらいしか経ていないので、色々荒削りな作品になってます。ごめんね。
④「台割」を切る(必要期間:1週間~2週間ぐらい)
テストプレイ時点で「これは…!」という感触が掴めたら、執筆開始です。だけどその前に「台割」の工程を挟むと後の執筆工程が楽になったり、混乱せずに済みます。
台割は、本全体に占める、各章や各ルール解説部のページ数の構成予定表です。本の目次に書いてある内容と似ていますが、「このページにイラストが●点挟まります」とかのページレイアウトに関する情報も入っていたりします。
台割を作ると、本の具体的な予定ページ数が決まったり、章の構成が決まったりするので、デザイナーさんにレイアウトを打ち合わせしたり、編集さんにページ数をお伝えしたりします。自分だけじゃなく他の方にも必要な工程なので、商業では特にしっかりやります。
…が、中西この工程苦手です! 実際の本が台割通りに行った試しがほとんどないです…。
製作中に台割通りのページ数に収まらなかったら、都度台割Excelを更新して、新しい台割を関係各所にお送りします。いつも土壇場での修正にも対応していただきありがたい…。
⑤「はじめに」から書き込んでいく(必要期間:2ヶ月~6ヶ月ぐらい)
ここまで来れば、執筆開始です!
すでに頭の中にゲームの具体的なイメージや、テストの最中に細かなルール含めてルールができているはずなので、「はじめに」から順番に書き起こしていきます。
テストプレイが紛糾していたりすると、ワールド部分とか、「はじめに」の「TRPGって何?」みたいな部分だけ先に書き始めちゃうこともあるけど、基本は「はじめに」から。そうじゃないと頭混乱するしね。
あとは、校正があったり、イラストレーターさんにどんな絵を発注するかを考えたり。他の本と同じような工程を経て、本ができあがります。
具体的なルールの考え方や、データの作り方なんかは省いていますが、とりあえず大まかな流れはこんな感じ。 もっと具体的な話でここが聞きたい!とかあったら、気軽にお声掛けくださいね。話しちゃうかもよ_(:3 」∠)_