アンチ恋愛・性欲なのを「関係性オタク」というラベリングで誤魔化してほしくないというお気持ちnote
◆はじめに
私のnoteがブチキレ記録集になりつつある。今回のブチキレは「『恋愛』とかいう安直なものに収めたくない関係性がある」とか「恋とかいう即物的な感情よりもっと尊い絆がある」みたいな、恋愛sageの友情・親愛等ageの言説やそれを唱える自称関係性のオタクに対してだ。この手の言説は以前にも手を変え品を変え流れてきて、それで恐らく今後もバズったりすると思われるので、とりあえず自分のお気持ちをnoteにまとめてみることにした。
◆とりあえず自分の考えの要点をかいつまんで書く
・「友情や親愛こそ至高」って思うことに対しては個人の嗜好なので別にどうでもいい
・しかし好きな関係性を語る過程で「恋愛は安直」とか「恋愛は即物的」等とわざわざ恋愛を貶す必要があるとは思えないし、ただのアンチ恋愛、アンチ性欲なだけでは?
・恋愛二次創作好きだけど「恋愛が関係性の最上位である」とは1ミリも思わない(実際X上を検索してみても「恋愛こそ関係性の最上位である」と言う側の意見は見つからなかった)
◆「恋愛」、無自覚に下に見られがち
「関係性オタク 恋愛」で検索してみると、少なめに見積もっても6割くらい「恋愛」というものに対してネガティブな言及をしている自称関係性オタクのpostが引っかかった。例を示すと「(特定のCP名)は恋愛関係じゃないからこそ良い」「(特定のCP名)は恋愛を超えた尊い絆」といったやんわりとした型の恋愛disや、「自分は関係性オタクだからふたりの関係を安易に恋愛に絡められると暴れそうになる」とかダイレクトなdis等がある。そして今回バズってたのは「このふたりは『恋愛』という安直な形に収めたくない」という文言で、これはやんわり型のdisだ。
で、恋愛という関係性が好きなオタクがそういう意見に対して怒ってみせると、ほぼ確で「恋愛を貶しているわけではない」みたいな言葉が返ってくる。しかし、関係性オタクの皆さんが友情や親愛という関係性に対して「安易」とか「安直」という形容を使っているのを見たことがないし、Xを検索しても出てこない。こういうのを踏まえると、やはり恋愛というものへの無自覚の蔑視みたいなものはあるんだろうなと感じる。これも一種のアンコンシャス・バイアスなのだろう。
(ほぼ同時期に話題沸騰していた夢女子への蔑視の話とも通ずるものがあるのではないかと思っているが、この場では割愛して有識者にお任せする)
私は自CPの恋愛やエロが好きで色々書いているため、こういう無自覚の蔑視は結構感じるし、その度に嫌だなあと思っている。恋愛を下に見ていたり、安直なものだって思うこと自体は個人の嗜好なので口出しする権利はないが、「恋愛というものを下に見ている」という自覚はあるべきだろう。
余談だが、「性欲が根っこにある安直な恋愛よりも、友情や親愛の方が尊い」といった恋愛を下に見ているような文言に「それでもエロいのは見たい」的な言葉が添えられていると遺憾の意が100倍増になってしまう。エロも好きなら「友情や親愛が好きだし、エロも好き」と並列させて語ればいいものを、「友情や親愛の方が尊いけどエロも見たい」という逆説の接続詞を用いることで友情や親愛等の関係性とエロの対立構造を勝手に作り上げ、更に「友情や親愛等の関係性=尊いもの」とすることで、それと対立させたエロに「それとは対局にある下卑なもの」というイメージを自動的に押しつけているのが腹立つんだと思う。
◆「恋愛関係が好き」は「恋愛関係しか好きではない」という意味ではない
私は骨の髄までCP厨な自覚があり恋愛関係が大好物であるが、恋愛関係が好きだからといって、必ずしも他の関係性が目に入らないというわけではない。これは私の例だが、ABという自CPの攻めAとAB共通の友人Cが一緒にゲーム配信してるの見たいなと思ったり、また別作品のXYという自CPの受けYが仕事仲間のZと仕事終わりに軽食を食べるみたいな話をXの方にpostしたことがあったり、割と自CPだけでなく周囲の関係性も拾って考察して楽しんでいる方だという自負がある。
そもそも「恋愛関係」というのも別に画一的なものではなく、少なくとも自称関係性オタクの皆さんが思っている以上には多様な形があると思う。なので「恋愛関係しか好きではない」というパターンでも、案外多様な関係性に触れていたりする。例えば攻めからアタックするパターンもあれば受けからアタックするパターンもあり、アタックの仕方も直接いく場合や外堀から埋めていく間接的な場合があったり、結ばれて終わることもあれば結ばれた先のことを描いたり、はたまた死別や離別で終わることもある。当然ここに書いた以外のパターンも世の中にはあるので、一口に恋愛といってもその中身は200色以上あるだろう。
なので割とみんな、表面上は何も言わなくてもいろいろな関係性が好きだったりする。そんな中で「自分は恋愛を好む層とは違って色々な関係性が好き」というのはシンプルに思い上がりの可能性があることだけ指摘しておきたい。
◆恋愛じゃない二次創作が少ないように思えるのは、恋愛二次創作のせいではない
あと結構多かったのが「恋愛じゃない関係性が見たいのに、CP名で検索すると恋愛ものばかり出てくる」みたいなpostなんだけど、同人におけるカップリングという言葉は「恋愛関係」を含意しているので、それで検索すれば恋愛ものがたくさん出てくるのは当たり前のことであることを知ってほしい。なので、CP名で検索して恋愛以外の関係性の二人を探すというのは、まさしく「木に縁りて魚を求む」という状態なんだと思う。
あと「恋愛よりも尊い絆の二次創作がもっとあっていい」みたいなpostについて。尊い関係性の二次創作が増えてないように感じるのは、そういった尊い絆や関係性の作品を書く人が恋愛二次創作を書く人よりも少ないから、相対的に増えてないように見えるだけだと思う。
だから、本来やるべきなのは、自分たちでその尊い関係性の二次創作を書いて、非恋愛のコンビ・チーム・グループタグを盛り上げていくことだろう。もしくはそういった作品を書いてくれる人に感想を送って応援する、とかでもいい。確実に言えるのは、恋愛を描いた二次創作やそれが好きな人をうっすら下に見て優越感に浸っても、恋愛より尊い関係性の二次創作が増えることはない。「誰かが書かないと増えない」で説明できる現象を、恋愛二次創作を好む層のせいにしないでほしい。
恋愛二次創作の畑は、それが見たいって思って作品を投稿してきた人たちによって耕されてきた。その畑が自分に合わないというのなら、自分の手でまた違う畑を耕すべきではないだろうか。自分の手を動かさず文句を言ってる手合を見ると、本当は尊い関係性の作品数なんか増えてほしくなくて、ただ恋愛二次創作やそれを好きな人にマウントを取りたいだけなのでは?と思ってしまう。
◆終わりに
関係性オタクの皆さんが推し関係性をいちいち恋愛で捉えられることに辟易しているのと同じように、恋愛好きな私は多様な関係性の素晴らしさを語るのにいちいち恋愛を引き合いに出されて辟易している。
いまは「レゾ」や「ケミ」等、恋愛によらない関係性をくくる名称は普通にある。どうか推し関係性を無理にカップリングの枠に押し込めず、自分の合う場所を見つけて、その畑を耕していってほしい。