最年長勝利「地方競馬界のレジェンド」、無観客レースで現役に別れ
国内最年長騎手で、最年長勝利記録を持つ川崎競馬場(川崎市川崎区)所属の森下博騎手(64)が6日、同競馬場で現役最後のレースを終えた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、無観客の中でのレースだったが、地方競馬界のレジェンドは「さみしさはない」と47年間の競馬人生を振り返り、晴れやかな表情を浮かべた。今月末で引退する。
現役最後となったこの日の第8レースは青空が広がる中でスタートした。3番人気のエスプリブラウン号に騎乗。4着でゴールを駆け抜けた。再びの最年長勝利記録の更新とはならなかったが、森下騎手は「迷惑をかけずに終わってよかった」と笑顔をみせた。
埼玉県深谷市出身。1973年のデビュー戦でいきなり勝利した。2年ほど騎手免許を返納した期間もあったが、47年間で通算2万2994戦に出場し、2676勝を積み上げた。生涯重賞勝利数は33勝。今月4日のレースでは64歳10か月で勝利し、自身の持つ最年長勝利記録(63歳8か月)を更新した。
長い現役生活の中でもデビュー戦は格別だったという。「馬に任せていれば大丈夫だ」とレース前、当時の師匠に励まされて臨んだが、「緊張するどころか、楽しくてしょうがなかった」と振り返る。
ラストランは無観客だったが、4月中旬には引退セレモニーが予定されている。森下騎手は「応援してくれた方々の目の前で勝つことができなかったのは残念」としながら、「(セレモニーには)ぜひ皆さんに来てほしい」と語った。引退後は未定だが、森下騎手は「休むことは考えられない。明日の朝も起きたら馬の調教をしているだろう」と笑いを誘った。今後も競馬界とかかわっていくという。