遠隔医療スタートアップの新展開 「不動産オーナー」と提携へ
2015年創業の遠隔医療サービス企業イーデン・ヘルス(Eden Health)が、シリーズBラウンドで2500万ドルの資金調達を完了した。
調達した資金の一部は、バーチャル環境および対面による健康相談を通じた、商業不動産会社とのパートナーシップの拡大に向けられる。フレアー・キャピタル・パートナーズ(Flare Capital Partners)が主導し、グレイクロフト(Greycroft)やアスペクト・ベンチャーズ(Aspect Ventures)などの投資家が参加した今回の資金調達ラウンドにより、イーデン・ヘルスの評価額は1億ドルに迫るレベルになったと、この件に詳しい情報筋は述べている。
イーデン・ヘルスの共同創業者であるマット・マッケンブリッジ最高経営責任者(CEO)は、「当社が掲げる大きな目標は、利用者の健康状態にどんな問題が起きても、当社が直接ケアを提供できるようにすると約束することだ」と語る。「この目標を達成するために、当社では雇用主や不動産オーナーとパートナー関係を結び、その力を活用している」
今回の資金調達のニュースは、商業不動産を対象とする投資家にとって非常に不安定な状況が続くなかで届いた。こうした状況は特に、不動産の借主が賃貸契約を解除しようとする事例が相次ぐニューヨークで顕著だ。そんななかでイーデン・ヘルスは自らのサービスを、不動産オーナーに対して、新たなテナントを呼び込むための手段として、そして、既存の借主にとっては従業員の安全を確保するのに寄与するものとして売り込んでいる。
これまでに、フレキシブルオフィスを提供するスタートアップ企業、コンビーン(Convene)とコンネル・カンパニー(Connell Company)がイーデン・ヘルスと契約を結んだ。両社は、対面での医療に加え、イーデン・ヘルスに登録している臨床医の知見をバーチャル環境で活用できる。
マッケンブリッジによれば、イーデン・ヘルスは新型コロナウイルス感染症の症状を示す従業員を、オフィスの構内に足を踏み入れる前に判定し、ふるいわけることによって、各事業者が安全に業務を再開できるよう支援できるという。マッケンブリッジはその仕組みについて、「自宅で従業員の体温を測定し、その情報を写真で確認するイーデン・ヘルスのアプリを用いて、(症状のある)従業員を判定する」と説明する。ただし、従業員の安全を最大限確保するには、追加の医療措置や予防策が必要になる可能性が高い。