100万円超の種牡馬も──イーサリアム競馬ゲームはeスポーツの波に乗るか?
デジタルの競走馬は、それぞれユニークな性格、取引履歴、勝敗記録を持ち、ナカモト、サボ、フィニー、ブテリンといった仮想通貨の有名人にちなんだ血統を備えている。
「我々は現代の賭けごととブロックチェーンの間のギャップを埋めようとしている」とUnikrnのCEOラフル・スード(Rahul Sood)氏は述べた。
スード氏のeスポーツプラットフォームは競馬ゲームのZED RUNと提携し、イーサリアムブロックチェーンに競馬を持ち込んだ。このゲームはダッパー・ラボ(Dapper Labs)のクリプトキティ(CryptoKitties)で有名になったノン・ファンジブル・トークン(NFT)規格を使っている。
競争馬はZED上で購入し、Unikrnのプラットフォームで取引できる。各データはイーサリアムのERC-721規格で追跡される。ユーザーは自身の馬小屋で馬を育てることができる。だが、ZEDで飼育できる頭数は3万8000頭に限られている。
実際、スード氏によると、ある種牡馬は50イーサで取引された。市況によっては1万1000ドルに相当する。
最初のレースは1、2週間のうちに開催される予定と同氏は述べた。
ラスベガスの大通りで競馬開催
ギャンブルはブロックチェーンにとって目新しいものではない。
アジアで人気の仮想通貨トロン(Tron)は2019年第一四半期にdapp(分散型アプリ)で16億ドルの取引を促進したが、dappの64%はギャンブル関連だった。ダップレーダー(DappRadar)によると、使用率ではカジノゲームがギャンブル系dappの多くを占めている。
伝統的な競馬は競馬場を愛する年配者が多いが、オンライン上のギャンブルプラットフォームは貧弱とスード氏は語った。Unikrnは2種類の顧客──eスポーツファンと競馬好き──を1つのプラットフォームに統合できると考えている。
ちなみにTwitchTrackerによると、ツイッチ(Twitch)では2020年1月だけでeスポーツのストリーミングは10億時間にのぼり、約400万人が視聴した。
「ユーザーは馬を所有でき、馬はレースに勝って賞を取ったり、悪い評判を集めたりする。(中略)我々は若者だけでなく、幅広い観客に対応している」とスード氏は語った。
Unikrnは2019年5月、Twitchストリームでフォートナイト(Fortnite)などの人気ゲーム向け仮想通貨賭博を開始した。スード氏によるとUnikrnはさまざまなプロダクトに400万ユーザーを抱え、平均で16万人のギャンブラーが仮想通貨、もしくは現金を使っている。
バーチャル競馬のオンデマンド的な性質と開催地の多様さは、従来の競馬を上回るデジタルの特徴とスード氏は語った。同氏はラスベガス・ストリップやシドニーのハーバーブリッジなどを競馬の開催地の例としてあげた。
さらに現実の競馬場では限られた頭数しか走れないが、Unikrnでは一度に数十頭を走らせることができる。
法的な課題
今のところ、プレーヤーはアメリカの41州で自分に賭けることができる。だがそれ以上はまだ調整中で地元カジノとの提携が未解決になっている。またUnikrnは世界43カ国で賭けが可能だ。
「アメリカではスポーツ賭博は州ごとに規制されている。ライセンスを取得するには現地のカジノを所有するか、カジノと提携しなければならない」とスード氏は語った。
自分自身への賭けの場合、Unikrnは過去のレース記録といったユーザー情報をもとに胴元のユニコーンに対する専用オッズ(倍率)を作成する。賭けは米ドル、もしくは専用のERC-20トークンであるUnikoinGold(UKG)で行う。他の仮想通貨を入金し、UKGに変換して使うこともでき、UKGを仮想通貨に戻すこともできる。
Unikrnは2014年に設立、バイナリー・キャピタル(Binary Capital)、アシュトン・カッチャー(Ashton Kutcher)氏、マーク・キューバン(Mark Cuban)氏などからのベンチャー投資で1000万ドルを調達した。2017年後半には4000万ドルのUnikoinGoldのパブリックトークンセールを行った。