「融資の審査で何を見られる?」【初心者向け!不動産投資の基礎講座】融資を受ける


①勤め人か、自営業か

基本的に企業に勤める会社員などのほうが、自営業であるより審査が通りやすいといえます。

会社員は自営業に比べて収入が安定しているので、ローンを確実に返済できるとみなされるのです。

これは不動産投資向けのローンだけでなく、住宅ローンでもいえます。

ある夫婦は、夫が大企業の勤続20年以上の会社員、妻は設立してから数年のIT企業の創業者社長でした。

妻のIT企業は売り上げが良く、年収も妻のほうが上回っていたのですが、結局、自営業の妻ではローンが組めず、夫でしかローンが組めませんでした。

IT企業はまだ設立後、日が浅く、今後も同じように収益を上げられるのか金融機関は慎重に見て、妻の収入を不安定と判断したのです。

②勤め先が安定しているか

勤め人であっても、勤め先が安定しているかどうかで融資に通りやすいかどうかが分かれます。

勤め先が大手上場企業であったり、公務員で役所に勤たりしていれば、勤務先は安定しているとみなされ、審査が通りやすくなります。一方、勤め先が中小企業や零細企業、ベンチャー企業であったりすれば、審査は厳しくなると言えるでしょう。

③収入が高く、安定しているか

年収が高いほど、融資の審査には有利になります。この点では、大企業に勤める人が有利でしょう。

ただ、年収も安定しているかどうかが必要です。

勤め先が大企業であっても年収が大きく変動する職種があります。たとえば、営業職で大手企業の正社員であっても、毎年の成績によって年収が大きく変動するケースがあります。前の年の年収は1000万円を超えていたのに、次の年は600万円まで下がったというようなことが、ざらにあるのです。

この場合は、融資の審査にとって不利と言えるでしょう。

④勤続年数が長いか

勤め先への勤続年数が長いかどうかも審査を左右します。

たとえば、ある会社へ20年間、勤め続けている人に関しては、「そう簡単には会社を辞めず、給料も安定してもらい続けるだろう」と金融機関も判断するのです。

逆に言えば、勤続年数が短かったり転職が多かったりすれば、審査には不利になるでしょう。勤続年数の短さが差し障りとなり、20代の会社員の審査がなかなか通らないというケースもよく見られます。

ただ転職に関しては、特に審査に差しさわりないケースがあります。ある不動産業者によると、「収入が上がる『ステップアップ』型の転職であれば、融資の審査には不利にならない」といいます。

たとえば年収700万円の会社員が、ヘッドハンティングされてほかの会社へ移り年収1000万円をもらえるようになったのなら、融資の審査には不利にならないということです。

⑤自己資金(頭金)があるか

頭金2

基本的には融資を受けるにあたっては、頭金を支払うよう求められます。自己資金で頭金を多く払えれば払えるほど、審査には有利と言えるでしょう。

以前は頭金ゼロ、つまりフルローンでローンを借りることができた時代もありました。しかし、数年前から頭金は物件価格の1割から2割程度、最近では最低でも2割から3割程度を求められることが多いようです。

⑥ほかに借入金があるか

ほかに借入金があるかどうかもみられます。

ある不動産業者によると、融資を受ける上限額は「年収の10倍程度」といいます。もしも年収が900万円なら、9000万円程度まで融資を受けられるというということです。

ただ、たとえばこの人にすでに住宅ローンの残高が5000万円あったとしたら、その分、新たに受けられる融資の額は少なくなります。つまり、「9000万円ー5000万円=4000万円」が、新たな融資の上限額となるのです。

また、クレジットカードの信用情報もみられます。1回払いのショッピング利用なら問題視されませんが、前もって指定した一定額を毎月返済する「リボ払い」で多額の借り入れが多い人や、クレジットカードで現金を引き出す「キャッシング」をしばしば利用している人は、資金繰りに不安があるとみられて、審査に不利となるのです。

⑦金融事故を起こしていないか

自己破産

過去の借り入れで返済の長期延滞をしていたり、合法的に借金を減らす「債務整理」をしていたり、裁判所に破産を申し立てる「自己破産」をしていたりしたら、「金融事故あり」とみなされ審査が厳しくなります。

これまで借金をしっかり返済できなかったという経歴があり、今後も同じことを繰り返すかもしれないと金融機関はみなすのです。

ただ、金融事故には〝時効〟があるので、金融機関によっては問題視せず、審査が通るケースもあります。

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