どんな「馬」だけでなくどんな「人」を育てるのか…『調教師・四位洋文』の活躍も今から楽しみである


調教師試験に合格し、騎手としては今月いっぱいの四位洋文騎手。エイティーンガールに騎乗したシルクロードSは勝ったアウィルアウェイに首差及ばなかったが、四位騎手らしいレースだった。後方からしっかり進路を見つけて、そこに狙いをつける。不運にもアウィルアウェイに前に入られ、一度態勢を整えたが、それでもこれぞ四位洋文というカッコいい前傾姿勢で最後まで馬の脚を伸ばした。このフォームが間もなく見られなくなると思うと本当に寂しい。

四位騎手といえば乗馬で培った騎乗技術の高さ。それはわれわれ外部の人間より、競馬に携わる騎手、調教師がより強く感じている。以前は「目標の騎手」欄に「四位騎手」と書く新人ジョッキーが大変多く、若手からもっとも憧れられていた。自分がつかんだ技術を伝えるのも上手である。栗東トレセンの調教スタンド一階で「理想のフォーム」について質問した私に丁寧に説明してくれ、それでも私が理解していないとみると「ちょっとジョッキーの姿勢をとってくれませんか」と言って、私にその場で前傾姿勢を取らせ、私の前にしゃがみこんだ。そして私の両手をつかんで、ゆっくり引っ張っていき「どうですか? これくらい姿勢が高いとブレーキをかけているように感じませんか?」「ここくらいの姿勢だと馬を弾ませている気がするでしょ?」と体感させてくれたのだ。

 レースだけでなく、調教に乗るのも好きな騎手だった。デビューした頃から競馬界は西高東低だったが、関東の騎手、調教方法をとてもリスペクトしていた。「関東は岡部さんが毎日調教に乗るでしょ? だから併せ馬をしている助手さんの技術も上がるんだと思うんですよ」とも聞いた。騎手の多くが模範とする人が調教師になるのだ。どんな「馬」を作るのかだけでなく、どんな「人」も作るのか。実に楽しみな厩舎が誕生する。


引用:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200203-00010019-chuspo-horse

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