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RE-ACT4 - セルフライナーノーツ

01. Neo Zero Formation

11th album "HUMAN" 収録作のリアレンジ。今回の再録集に於いて、最も古いアルバムからの選曲です。2018年の3月半ばぐらいだったかな。もう7年近く前の楽曲ということになりますね。

後の宇宙系曲全般に繋がっていく宇宙系の祖とも言える作品で、大抵の初期作が私の中でどんどん黒歴史化していく中、この零Formation(原題)だけは誕生したその時から今に至るまで重要な楽曲として他と比べてかなり贔屓目に扱われ続けています。本当に大切な1作です。

確かこれで6回目の再録だったと思います。2回目~5回目のテイクが割とド派手な方向に持っていっていたので、今回の再録ではオリジナル版が持っていた雰囲気モノとしての側面を改めて見つめなおすようなアレンジに仕上げました。サイバートランス的な要素は感じさせつつ、低音でブイブイ鳴らしたり硬いキックで攻めるのではなくて、空間をちゃんと設けた抜けの良い構成を心掛けています。

オリジナル版には無かったギターが新たに追加された他、全体のコード感と一部メロディーの変更を行いました。ただ、この変更に関してもやり過ぎないようにしてて、露骨に変化が分かるような要素は加えていません。あくまでも零フォであるというのが大事だと思うから。


02. New Dreamy Bear

49th album "ANIMALⅡ" 収録作のリアレンジ。元々メルヘンポップというかおとぎ話のような作風を目指した楽曲でしたが、今回はそのメルヘンポップ要素、おとぎ話レベルを更に加速させてみました。

X(Twitter)にも似たような事を書きましたが、スーパーやホームセンターで流れているやけにメロディーが良いBGMを作るのが長年の夢です。ああいった音楽の良さは、何と言っても攻撃力を持たず、3世代にまたがって通じていくところだと思います。意識して聴くことは無くとも、自然に耳に入ってきて覚えやすい、そうゆう包容力、柔和な伝播性を持っています。

このドリーミーベアは上記のようなものを作ろうと試みた楽曲でした。49th時点では今一つ狙った形に仕上げられなかったのですが、今回の再録はかなり理想に近い形になったかなと思います。

ちなみに、スネアの音だけ矢鱈とバシバシと何かをしばきあげてるみたいな音になっているのはわざとです。全体的に空間音楽のアプローチなのに、一部だけ音像がクッキリしていると面白いかなみたいな。でもここで音をクッキリさせてしまうのが私の"逃げ"でもあります。


03. Rebirth From Decay

23rd album "GORE" 収録作のリアレンジ。GOREというアルバムは今になって振り返ると若気の至り・尖ることへの執着の塊のようなとても恥ずかしい作品で本当に恥ずかしいとしか言いようがない恥ずかしさですが、何処かで再度拾い上げておかないと今後一切取り扱わなそうなので、先行曲だったこの曲を再録しておきました。

「ハードロック路線をちゃんとやろう」とか多分そうゆう所から生まれた楽曲だったと記憶していますが、オリジナル版を聴き返して、これはハードロックというよりもパンクロックのほうが馴染むメロディー/構成なのではないかと感じたため、パンクロックに変更しました。

割と今回の再録集の中でもフレーズを弄っていて、元々あったメロディー3つのうちの二つが変更されています。展開の付け方も違うし、イントロとアウトロも変えているのですが、不思議と面影があります。顔の輪郭も体型も声も別人だが、顔のパーツは保っている同級生みたいな感じです。


04. Go Into Over Drive

43rd album "FICTION" 収録作のリアレンジ。厳密に言うとアルバムに収録されたのは改題リメイク版なので、Over Driveの純粋なオリジナルはアルバム未収録のままとなっています。

極論、この曲はイントロとアウトロの特徴的な箇所さえ守れば良いと思っています。これは多分作り手である私と、とてつもなく根強いコアにコアを重ねたような玄人loopファンのかたにしか通じませんが、この曲は私の作品で時たま混ざりこむ「何か新しいことをしていそうで実際には何もしていないやつ」の1つです。TantrumやNonsenseとかがこれに該当ります。

手癖メロディー。何回それやってんのっていう手癖をどう新たなものとして成り立たせるのかみたいな。そうなるともうリズムで支えるしかないので、ドラムパートを全力で作るわけですが、オリジナル版はそこも今一歩な感じだったので徹底的に直しました。バンドっぽさを強化しています。打ち込みなのでバンドも何もないけれどね。

あと、今回の再録版で個人的に面白いかなぁと思っている部分が、一番の聴かせどころに該当するであろうパートでギターの手数が減って一気に空間が空くところです。弦楽器担当が急に楽をし始めるという。で思いだしたかのように終盤みんな頑張って演奏し始めるシュールさ。


05. Monkey Dejavu More

39th album "ANIMAL" 収録作のリアレンジ。原曲自体は36th制作に存在していてそちらは夏っぽいアレンジでしたが、アルバムに収録される際にモータウン風のアレンジに変わり、今回は特に季節感は意識していませんが、図らずも春の木漏れ日のような爽やかな雰囲気になりました。お猿の季節が回を重ねるごとに巡っていて面白いですね。

タイトルに猿と付くのにも関わらず、オリジナル版もアルバム版もお猿っぽい要素が皆無だったので、「坊や、これはお猿の曲なんだよ」とアピールするために分かり易いお猿イントロを追加しました。ちょっとおバカなノリなのが気に入っています。

今回の再録集はリバーブを効かせたエレクトリックピアノが随所随所で活躍してくれていますが、この曲は特にエレピが活きています。私が使う打ち込みのエレピは正直かなり大きいボリュームで入れないと音階が活きずにキラキラした出音と余韻だけが耳に入ってくるような音像になるのですが、その不思議な感じが個人的には好きなので今回は多用してます。

2曲目と同様に店内BGMを意識していたりもするので、ぜひ目を閉じて架空のホームセンターを頭に思い浮かべながら聴いてみてください。


06. Frozen Tokyo Tower

40th album "TOKYO-R-" 収録作のリアレンジ。フレーズがややこし過ぎてこれだけは絶対に再録したくないと思っているやつが幾つか存在していますがこれもそのうちの一つです。ずっと避け続けていましたが、満を持してチャレンジいたしました。もう2度とやりたくないです。

兎にも角にもガットギター(の打ち込み音源)。ガットギターのフレーズが自分で作っておきながら全然覚えられません。当時の私が、シンセサイザー1本で繋げて弾くことも出来たであろうフレーズをガットギター2本に変な形で振り分けたがために凄くややこしくなっています。こうゆう事をされるとMixも難しくなるので勘弁してほしいです。

結局は完コピしていません。ややこしいのもそうですがこれはちょっと流石に無理があるという箇所があったので、そこだけは簡略化しました。簡略化しつつ元の印象は崩さないように気を付けた……つもり。


07. As An Experiment 025 Remix

56th album "ZIGA" 収録作のリミックス。現時点での最新アルバムからの選曲となります。正直、収録しようか迷いました。こないだアルバムに入れたばかりなのにまた入れるのかというのもあるし、他の曲と比べると本当に手直しって感じのリミックスだし。でも8曲入りはちょっと寂しいかなと思って入れちゃいましたけど。

56thはアルバム全体を通してメタルパーカッションの要素を前面に出した作品だったのですが、ちょっとねぇ、少し経って客観的に聴くとあまりにもそれ頼り過ぎるなと感じたのでリミックスにあたってメタルパーカッションをごっそり削除しました。

メタルパーカッションが無くなったことで徐々に4つ打ちになっていく演出が成り立たなくなったので最初からキックが入る形に変更。全体のリズム自体もよりシンプルな4つ打ちになって何となくスッキリしました。整理整頓されたような。


08. Tender Darkness 025 Remix

メンバーシップ内限定配布アルバム "W-Wara-" 収録作のリアレンジ。限定配布作をこうして全体公開にするのはどうかとも思いつつ、限定作の中でもかなりお気に入りだったのでお色直しして解禁となりました。

メンバーだったかたもそうでないかたも楽しんで頂けるように色々と要素を付け足しています。イントロとアウトロの追加、エレピ&シンセマシマシ、スクラッチノイズとパーカッションの追加、音の定位の再調整など。元のテイクを持っているかたは聴き比べて頂けますし。そうでないかたはこちらを完成版テイクのオリジンとして楽しんで頂けるかと思います。

仮タイトルは『未明の闇』。当初はもっと暗いアレンジで洋楽チックでしたがアレンジを進める中で何となく暖かみとオリエンタルさが出てきたので、その後『やさしい暗闇』と改題されて、今回は英題になりました。

何だかんだ本当に辛いときに自分に寄り添ってくれているのは光では無くて闇だなと感じる瞬間が学生時代から多々あります。どうしようもなくて布団に丸ごとくるまり、薄目で泣いていた時も傍にいたのはぼんやりとした暗闇です。徹夜をしてこれは本当にマズいというレベルの胃痛が来た時も傍にいたのは暗闇です。なんか、そうゆう絵本があったら良いなぁと思って、でも私絵が描けないのでこうして曲にしたわけですけど、上手く表現できていますでしょうか。


09. Fragile And Empty 025 Remix

55th album "DNAⅢ" 収録作のリミックス。元の音源にシャッフルビートっぽいリズムパターンとリバースさせた破裂音(みたいなハウス系のスネア)を加えました。本当はもう少し色々なSEも盛り込んでフライングロータスみたいにしたかったんですけどメロディーが埋もれるのでやめました。

これのオリジナルを製作した時、55thのセルフライナーノーツを読んでくださったかたはご存知かと思いますが本当に体の調子が悪くて、そうゆう所から生まれた曲だったので若干ですけど負の印象がありました。そこを払拭できないかなぁというのが今回のRemixのテーマです。

全体的に精神性としてのヒップホップ要素(ジャンルとしてはワルツに近いのであくまでもスタンスの話です)を塗しているのは「少し洒落っ気を出してカッコをつける余裕が出ましたよ」というアピールです。

あと、ジャケットの三日月が空洞の手をこっちに向けてバイバイみたいにしているのは「この楽曲以降もしもの事があって二度と作曲出来なくなっても後悔は無いよ」「これが最後の作品になっても構わない」的な意図を込めていますが後悔はあるし構わなくないよ全然。構うよ。


終わり。読んでくれてありがとう。

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