そのクマはお母さんかもしれない
日本のどこだかの高校の校庭にある木にクマがよじ登り、そのクマは射殺されました。
今回のクマは50㎏。オスかメスかは不明です。
こういうニュースを聞くたびに私はとても複雑な気持ちになります。
確かに自分がその高校に通う生徒だったり、あるいはその生徒の父兄だったり、あるいは教員だったら、恐ろしく感じて「早く何とかしてもらいたい」と思うでしょう。
それは分かります。
ただ、射殺されたクマは山に子どもがいてその子どものために食べ物を探しに下りてきたのかもしれないと想像するとどうでしょう。
残された子熊たちは、いつまでたっても帰らない母ぐまを待ち続け、その後どうなってしまうのか、と。
これはあくまでも私の想像なので、本当にそんな背景があるかどうかはわかりません。
それでも、山から下りてきて何もわからない自然の生き物をいきなり撃たなくてもてもいいのでは?とは思います。
確かに襲われたら怖い対象だとは思うのですが、クマは人を怖がらせるためにやってきたわけではないでしょうし。
こういうニュースではクマの性別が公表されることはまずありません。
だから母熊である可能性がどれくらいかも、感覚的にすら私はつかめませんが、すべてがオスということもないという気はします。
この2,3日前、カナダで鉄道のレールが敷かれているエリアに大きなクマがやってきたという別のニュースを目にしました。
このクマは麻酔銃で撃たれたものの森に返されたとのこと。
そういえば、日本ではクマが人里に現れた時に、麻酔銃で撃たれて眠らされ、その後山に返されるというケースを耳にしたことがないような気さえします。
私はかつてバイク乗りで、峠に行ってコーナーリングの技を磨こうと練習していた時期があります。
私は特に改造もしていないので、そう大きな音を立てて走っていたわけではないのですが、中にはマフラーを付け替えて物凄い爆音で疾走していく若い世代のライダーも数多くいました。
彼らの奏でる爆音は何百メートル離れていようと聞こえます。まるで山の中にとどろき渡るように。
で、ふと考えたんです。この音、山に住む動物たちを脅かしてはいまいか?と。
考えてみれば、山を縦横無尽に走る道路って多いですよね。確かにそういうところをバイクや車で走るのは気持ちがいい。
でも、そこに住む生き物、自然にとってはいい迷惑なのではないでしょうか?
はたまた、ハイキングだ登山だと言って大勢で山に分け入るのもどんなもんなんでしょうね。
そういえばシーズンオフにスキー場に言った時、唖然としたことがあります。
雪で覆われていない山は見るも無残に木が生えておらず、まるで道路のようにスキーのコースが作られていました。
私はバイクも登山も、スキーもどれも熱中した経験があります。
でも、もうそんな熱意はないし、熱意を持たない自分でいいと思っています。
自然とは適度な距離を置くことが大事なのではないでしょうか。