「クラファン自体を、エンタメにしたかった。」爆裂エンターテイナー・猫沢はるかさん
このマガジンではクラウドファンディングを成功させた方々に、プロジェクトへの情熱や人の心を動かせた理由をインタビューし、ご紹介しています。
今回ご紹介するのは、エンターテイメントの世界でクラウドファンディングに成功された、爆裂エンターテイナー・猫沢はるか(@necoz083)さんです。
猫沢さんはもともと、ライブハウスを中心に音楽活動をされていましたが、過剰なまでのソウルフルなステージングと中毒性の強い楽曲が様々なイベントで大受け。
最近では地域マルシェから野外フェスまで引っ張りだこになってきた、ちょっぴり異色なエンターテイナーです。
エンターテインメントの世界では、「求められていること」「表現したいこと」「できること」を一致させることが大切です。これはクラウドファンディングでも同じことが言えるでしょう。
しかし、エンターテインメントの世界では「求められていること」が何なのかはハッキリとイメージしにくいものです。
そのような状況下で、何が求められているのかを的確にとらえて、クラウドファンディングを成功させるにはどうすればよいのでしょうか?
猫沢はるかさん / 大魔界NUMAZU出身の爆裂エンターティナー✳︎シンガーソングライター。セルフプロデュースの音楽ユニット「うしろの猫沢さん」にて作詞・作曲・歌・ディレクションまでを、おおよそ全て担当。2016年、自主レーベル「Office Moving cat.」を設立。「エンタメを身近なものに。」をコンセプトに楽曲提供や、変なイベント制作などを行いつつエンターティメントの様々な可能性を見出している。
自分の表現で応援したい場所や人のお手伝いがしたい
――まず、猫沢さんの普段の活動について教えてください。
猫沢さん:普段は、大魔界NUMAZU出身のフリーランスのエンターテイナーとして、曲を創る。歌う。踊る。イベント主宰といった音楽を中心に活動しています。
うしろの猫沢さんのパフォーマンスの様子
――音楽系のエンターテイナーさんなんですね。
猫沢さん:あとは宣伝や広報に使用する宣材を依頼されることもあって……。そういったクリエイティブ関係を仲間と一緒にレーベルという形でも関わらせていただいています。
――すごい! アーティストであり、プロデューサーでもあり、ディレクターでもあり。マルチクリエイターさん。多彩ですね!
猫沢さん:そうですね。いろいろなことに挑戦したいんですよ。それで、現在「エンターテイナー」というざっくりした肩書きを名乗っていますね。
――ほぉ〜! 色々挑戦されていると思いますが、その中で活動趣旨というのはありますか?
猫沢さん:元々バンドをやっていたのですが、ミュージシャンで売れたいというより「応援したい場所や人のお手伝いがしたい」という気持ちがあります。自分の「表現したいこと」と「求められていること」、それぞれをリンクさせていくことが今の活動趣旨ですね。
115%達成したプロジェクト「支援者参加型の音楽アルバム」とは
――そんなマルチエンターティナーの猫沢さんですが、今回のクラウドファンディングの詳細について改めて教えていただいていいですか。
猫沢さん:今回は、初のフルアルバムをファンの方々と創りあげる形にしたいと思い、このプロジェクトを立ち上げました。
――ほうほう。それが支援者参加型の音楽アルバムということですね。ちなみに、支援者はどういった形で参加するということになるんでしょうか。
猫沢さん:この音楽アルバムは、本編は猫沢のオリジナル曲と共に、猫沢のリアルな成長が追えるエッセイ漫画の構成になっています。
猫沢さんご本人が描いたイラスト
――漫画といっしょに楽しめるアルバムなんですか!
猫沢さん:アナザーストーリーとして支援者さんをキャラクターイラストとして掲載するキャラ図鑑のような冊子という2部構成になっています。
――前代未聞のプロジェクトですね(笑)
猫沢さん:ちなみに、2次元キャラクターは私がその方に抱いたインスピレーションを元にラフを書いてます。
――え! 猫沢さん、イラストも描けるんですね。
猫沢さん:私元々漫画家になりたかったんで、イラストは得意なんですよ。ただ、今回は一人一人時間をかけたかったので、直感からラフまでを猫沢が、仕上げをプロのイラストレーターさんにお願いしています。
――おぉ〜!猫沢さんのインスピレーションでキャラ設定していただいて、プロで完成するってめちゃくちゃ特別感ありますね!
クラウドファンディングもひとつのエンターテインメント
――今回のクラウドファンディングをやろうと思った経緯を教えていただいていいですか?
猫沢さん:今までオリジナル曲を創って表現して売っていたのですが、段々物足りない感が出てきちゃったんですよ(笑)
猫沢さんのオリジナル曲
――へぇ〜。そうなんですね(笑)
猫沢さん:というのも、元々色々なイベントでパフォーマンスをしていて、その会場でファンになってくれる世代に若い方々が増えてきたんですね。でも、私を応援する手段って「CD購入」しかないということが多くて。
――若い人は、CDプレーヤーを持っている人が少ないですからね〜。
猫沢さん:そうなんですよ。それで、ファンの方に初めて出すフルアルバムはどんな物がいいかを聞いてみたんですね。
――へぇ〜。どうだったんですか?
猫沢さん:「猫沢さんの世界観は、ファンタジックだから飛び出す絵本みたいなものだと面白いかも」というご意見をいただいて。それで、私がキャラクターを創ったら面白いと思ったんです。
――なるほど〜。だから2次元キャラ参加型になったというわけですね。ただ、事前予約とかで通常販売もできたと思うのですが、ここであえてクラウドファンディングを選んだ理由ってなんでしょうか?
猫沢さん:たしかに、事前予約で通常販売の方が手間や時間もかかりません。でも、エンターティナーとしてこのクラウドファンディング自体を、エンターテインメントにしたかったんですよね。
――プロジェクトもエンターテインメント。素敵ですね〜!
猫沢さん:クラウドファンディングってスポーツ観戦に似て、ライブ感があるじゃないですか。そういったドキドキやワクワクも一緒に共有したいなと思ったんですよね。ファンの方々との想い出のようなアルバムを創りたかったんです。
達成するために必要な「諦めない心と勇気」
――最近ではなかなか達成が難しいとされているクラウドファンディングですが、猫沢さんが今回達成してみて必要だと感じたマインドセットってありますか?
猫沢さん:相反することなんですけど、「失敗しても死にはしないという勇気」と「絶対達成するという諦めない心」ですね。
――おぉ〜!相反してますね〜(笑)
猫沢さん:最近ではクラウドファンディングについて聞かれることも多くなってきたんですけど、なかなか始められない方が多いんです。そんな方には「失敗しても死にはしないという勇気」を持って欲しいと思います。
――たしかに。まず始めないことには達成しないですからね。
猫沢さん:あと、どんなプロジェクトでも中だるみの時期や終盤でピンチの時があると思うので、そんな時は「絶対達成するという諦めない心」が必要ですね。
達成するためにやってよかったこと3つ
――クラウドファンディングを達成して、やってよかったこととやらなくてもよかったかなと思うことがあれば教えてください。
猫沢さん:やってよかったことはたくさんありますが、やらなくてもよかったことはないですね。
――そうなんですか! すべてが無駄にならなかったということなんですね。
猫沢さん:実は2年前にクラウドファンディングに失敗していて、その経験があったおかげで、事前にいろいろと段取りが組めたんです。やってよかったことを、大きく分けて3つお答えしますね。
――お願いします。
猫沢さん:まずは「ひとりでやろうとしない」。すべて出来てしまう人に限って陥ってしまいます。
――でも、クラウドファンディングをやる時って燃えているので、やってしまいそうですよね……。
猫沢さん:自分でやらなくてもいいことはチームや関係者、ファンの方々も巻き込んで協力してもらえば大きい波が生まれるし、達成した時の喜びも増すので、お願い出来ることはお願いしましょう。
――たしかに、たくさんの人を巻き込んだ方がパワーは増すでしょうね。
猫沢さん:次に「客観的になる」。形がないものは特に、イメージを伝わりやすくしなければならないので、文章や表現方法など自分のことが分からない人にも前のめりになってもらうように創りあげることが大切です。
――なるほど。マーケティングやブランディングの目線が必要ということですね。
猫沢さん:3つ目に「事前に初めから終わりまでのストーリーを創りあげる」。
――ストーリーですか。
猫沢さん:これはどのエンターテイメントの本質にも通じますが、物語は起承転結の流れに沿って作られているんですね。発信するストーリーを事前に創りあげて、日々の活動報告なりSNSでの発信なりに活かしていくんです。
――ほぉ~! すごい! シナリオみたいですね。
猫沢さん:そうですね。たとえば、スタートダッシュに勢いをつけるための仕掛けとか、中だるみの期間に入った時にするアクションとか、最終追い込みに何をするかという感じですね。
――なるほど。先ほど起承転結とおっしゃいましたが、落ち込んだり中だるみの時期もあえて作るというかたちですか?
猫沢さん:あえて作るというよりは、今回はその状況も想定に入れて、無理せず波に乗るイメージで設定しました。
爆裂エンターティナーが持つビジョン
――今回のクラウドファンディングを踏まえて、今後やっていきたいことがあれば教えてください。
猫沢さん:私に求められていることが明確に分かったので、それに沿った形で活動していこうと思います。私のファンの方々が今から何かやりたい方や、精力的に活動されている方が多いので、その方々の背中を押せるような活動をしていきたいですね。
――おぉー、めちゃくちゃ素敵ですね〜! 今日お話させていただいて、私も猫沢さんのパワーにつられちゃう感じがして何か挑戦したくなってきました。本日はありがとうございました。
表現力 × 想いで成功させる
猫沢さんがクラウドファンディングを成功させたのは、彼女の多彩な才能を惜しみなく表現するパワーだけではありません。
ファンの方への想いが、色々なアイディアを昇華させた結果なのだと感じました。
お話をお伺いしているだけで、こちらもパワーをもらえるようなパワフルな方で記事に載せられなかったお話もとても面白かったです。
さて、そんな色々な活動をされている横沢さんが「クラウドファンディングに関するオンラインサービス」を開始するそう。
4月末にスタートする予定ですので、気になる方は要チェックですよー!
これからも爆裂エンターテイナー・猫沢はるかさんの活躍に注目ですね。
執筆/國吉すみれ