憂鬱な季節
じわじわと新生活が始まっている。
19日で大学を卒業し、その前日に引越しもして、仕事の準備もはじまっている。
しかし、引越し先は市内だし、仕事も大学関係のものなので、色を塗り替えるように全然違う生活がはじまるのではなく、グラデーションのように少しずつ生活が変わっていっている。
それでも同級生達は次々に別の場所へ引越していってしまい、もう今までのように気軽に会うことはできない。
春、卒業、新しいスタート。これらのワードは本来明るい意味を持つものなのだろうが、私はこの時期はいつも憂鬱な気持ちになる。
大学入学のために地元を出た時もそうだった。
その時は地元に好きな人がいたというのも大きいのだが、どうも私は環境が大きく変わる時、前にいた場所に未練を感じてしまうらしい。
卒業式の日の夜、ゼミの飲み会をして、その後さらにゼミ生の部屋でお酒を飲みながら朝の5時まで桃鉄をした。
それがいかにも大学生らしくて、もうそんなふうに遊ぶこともないと思うととてもさみしかった。
あの日あの汗臭い部屋で私たちの学生生活は終わったのだ。
私たちが住んでいたのは京都の中でもとても寒い地域だった。なのに、そのゼミ生のアパートの近くの桜がその夜すでに満開になっていた。
早く気持ちを切り替えろと、急かすように春がやってくる。
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