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地方の高校生ほど総合型を受けるべき理由
こんにちは。Loohcs志塾渋谷本校の佐々木です。
最近、地方の受験生と面談で話す機会が多く、その中で、
「情報の少ない地方に住んでいる高校生こそ、総合型(AO)をフル活用すべきなのでは?」
と思い、この記事を書かせていただきました。
僕は岩手県の田舎町で生まれ育ち、県内の公立進学校に通っていました。
当時(2012年ごろ)の母校では「国公立・一般入試至上主義」が幅を利かせており、私大一本・ましてやAO入試(今でいう総合型)・推薦入試というのはどこか下に見られる風潮がありました。
私も高校時代は「AOや推薦は甘え、一般で合格してこそ真の学力が証明される」と思い込んでいたものです。
しかし、何の因果か総合型選抜の塾で働くことになった今では、「自分と同じ地方進学校の高校生たちが、総合型選抜のチャンスを知らないなんてもったいない!」と強く思います。一体なぜでしょうか?
総合型選抜は不公平、だがそれがいい
大学入試改革の話が盛り上がると、しばしば「一般入試は学力という共通のものさしで測るという点で最も公平である」といわれます。
確かに、全員が同じ問題を解き、その得点だけで優劣がつけられるという点においては、一般入試は非常に公平かつわかりやすい方法といえるでしょう。
しかし、大学受験をめぐる環境に関していえば、首都圏と地方の間には明確な格差があるといえます。例えば、
東大合格者数トップ10の高校がほとんど首都圏や京阪神の高校である
都道府県別の大学進学率には30%以上の開きがある(最上位の東京都が77%、最下位の岩手県など40% ※2022年文科省調べ)
といったデータが示すように、東京など大都市圏とその他の地方では受験生を取り巻く環境そのものが大きく異なり、まして難関大学への受験となると「学校のカリキュラムが対応していない」「周りに受験した人がいないので情報がない」「近所に塾・予備校がない」というハードルも加わります。
一方、大都市圏の受験生たちは小学校から塾通いは当たり前、中高一貫校で先取り学習して受験対策も万全。塾・予備校は石を投げれば当たるくらいありふれた存在で、難関大学の受験のノウハウも先輩や塾から大量に仕入れることができます。
このような状況は大学教授たちも当然把握しており、憂慮しています。
大都市圏の同じような恵まれた環境で育った人ばかりが入学してくるようになると、学生の多様性が損なわれ、真新しい研究成果や、地方の声を反映した政策などが生まれる可能性がどんどん下がってしまいます。
多くの教授が「どうにかして地方の優秀な高校生、意欲ある高校生にもうちの大学に来てほしい」と思っているわけですが、そうはいっても「一般入試により公平に学生を集める」という大前提がある以上、大学が特定の地方の受験生にだけ採点を甘くしたり、勉強を教えてあげたりというわけにはいきません。
しかし、「学力以外も」加味した入試であれば、一般入試では不利な環境にいる優秀な学生のタマゴを発掘できるのでは?
そこで教授たちはAO入試(現・総合型選抜)に活路を見出しました。
過去の受験生の例を見ていると、大学が選考基準を明言していない場合も含めて、地方在住の受験生は同じような条件で首都圏在住の受験生よりも、選考において有利になっていると考えられます。(例えば、評定平均がやや低めだったり、活動実績が少なめであっても1次選考を通過しやすい等)
一例として、慶應義塾大学法学部のFIT入試(B方式)や、早稲田大学社会科学部の全国自己推薦入試のように、「地域ブロックごとに定員を設ける」という形式を採用して、実質的に地方の受験生を倍率の面で優遇している入試もあります。
また、総合型選抜とは若干異なりますが、学校推薦型では東大のように、「1校当たりの定員」を設けることで、一般入試のように1校から何人も受験することを防止し、間接的に地方の受験生を通過しやすくする入試も存在します。
総合型選抜は、一般入試のように単一のものさしで合否を決めるものではありません。学業成績、学習意欲、活動実績、読解力、論述力、表現力など、さまざまな要素が加味されます。そして「住んでいる場所」「通っている高校」もまた、判断材料の一つであるといわれています。
「人生を左右する大学入試がそんな不公平でいいのか?」と思った人もいるかもしれません。確かに、判断基準が不明瞭であるという問題はあります。
しかし、一般入試では不利になりがちな地方の受験生にとっては、むしろ総合型選抜の「不公平さ」を利用してしまったほうがお得だということは間違いありません。
地方の受験生は「その土地らしさ」を武器にしよう
一般入試に戦略や解法のテクニックがあるように、総合型選抜にも戦略やテクニックが存在します。
しかし、小手先のテクニックに終始することで、「対策してきた感」が出てしまい、教授の好感度を下げてしまうリスクもあります。そこで、今回は地方の受験生向けの大まかな受験戦略を紹介するにとどめます。
総合型選抜で合格する人には「その人である必然性が感じられる」という特徴があります。
どのような環境で何に関心を持ち、そこから何を学びたいと考えたか、社会のどんな人を幸せにしたいか、そのために大学で何を学ぶ必要があるのか。
そういった要素をストーリーに落とし込み、「あなたがこの大学・学部で学ぶ必然性がある」と思わせられることが重要なのです。
これは、「受験生にどのようなバックグラウンドがあろうと筆記試験での点数だけで評価する」という一般入試の性質とは真逆といえます。
「その人である必然性」をアピールする際に「なじみのある土地」というのは非常に大きな要素です。
例えば、お茶の生産量日本一で有名な静岡の高校生が「お茶づくりと地域活性化」をテーマに活動を積み重ね、大学でコミュニティ政策やビジネスについて学びたいと言っていたら、同じことを東京の高校生が言うよりも「この人の言うことには説得力があるな」と思いませんか?(ちなみにこれはLoohcs志塾で実際に慶應SFCに合格した受験生の事例です。)
最近では学校と地域の連携が以前よりも重視されるようになり、また、高校のカリキュラムでも探究学習の時間が確保されるようにありました。
今後、自分の住む地域をフィールドとした活動・研究は、日本全国で普及していくと考えられます。つまり、わざわざ特殊なことをしなくても、総合型選抜のネタが準備できるのです。
この記事を読んでいる地方の受験生のみなさんも「地元特有のネタ」を見つけて、大学受験に活かしてみませんか?
[今回の記事担当]佐々木 雄大
1994年生まれ。岩手県出身。東京大学教育学部卒。自身の受験をきっかけに、既存の大学入試制度や画一的な学校教育に疑問を抱く。アクセンチュア株式会社で2年勤めた後、Loohcsにジョイン。高等学院教員を経て現在は塾事業部で直営校統括・渋谷本校校舎長・事務局を兼任中。
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