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【花柳界】10種のバイトから見つけた舞妓への道~センパイ’sトーク(おいちゃん)


こちらはLoohcsマガジンにある『主人公図鑑』の記事になります。
主人公図鑑とは、中高生が社会で活躍しているセンパイ(社会人)たちから進路選択の過程を学ぶことができる、彼らと繋がるためのツールです。

皆さんは、「花柳界」という言葉にどんなイメージを持っていますか?
華やかな着物に身を包み、伝統芸能を披露する舞妓さんや芸者さんたち。その姿は私たちに日本の文化の美しさと奥深さを感じさせてくれます。しかし、その世界の裏側には、どのような努力が隠されているのでしょうか?

今回は、花柳界に飛び込んだおいちゃんにお話を伺いました。厳しい礼儀作法やお稽古に取り組みながらも、キラキラと輝く姿を追い求めるその日々。おいちゃんがこの世界を選んだ理由とはなんでしょうか。

!進路選択で大切にするポイント!
1.色々なことに挑戦してみる
2.外の世界へ飛び出してみる
3.「今」を大事にする
4.自分の感情に素直になる
5.熱量を注げるものを見つける

現在、どんなお仕事をされていますか?

私は現在、花柳界でお客様や場に活気を与える仕事をしています。主な仕事内容は「お座敷」と呼ばれる畳の部屋での接待で、お客様(主に会社の社長や会長など)の取引や会話の場を盛り上げることです。具体的には、お酌をしたり、お話をしたりして場を明るくするほか、踊りや太鼓などの芸を披露しています。また、歌舞伎や相撲の試合などのイベントにも参加し、舞妓さんのような姿で場を彩る仕事もしています。

綺麗な着物に身を包み、芸を披露する姿は本当に優雅で、素敵ですよね!なぜ、花柳界で働くことになったんですか?

2020年に大学へ入学しましたが、新型コロナウイルスの影響で学校に行けない時期が続きました。その後、自分の本当にやりたいことを模索するために休学して韓国留学をしたり、10種類のアルバイトに挑戦したりしました。そんな中、友人が働いていた花柳界に興味を持ち、軽い気持ちでアルバイトを始めてみることにしました。

10種類ものアルバイトをしたんですね!?

そうです!私は大学に入るまでアルバイトをしたことがありませんでした。高校卒業後に「世間知らずのままではいけない」と思い、さまざまなアルバイトに挑戦しました。居酒屋、ホテルの清掃業務、イベントスタッフ、病院の受付、住宅展示場の案内係などを通じて、特に接客業が好きだと感じました。お客様と話したり、直接触れ合う仕事が楽しく、社員の方々にも「接客に向いている」と言われたことが自信になりました。ただ、私は飽きっぽい性格でもあるため、ある程度慣れてしまうとつまらなく感じて辞めてしまうことも多かったです。

花柳界は飽きることがないんですか?

今のところ、飽きていないですね!全く知らない文化や厳しい世界に身を置くことで、自分の未熟さを認識し、学び続ける必要性を感じるからだと思います。花柳界では、終わりのないお稽古や厳しい姿勢が求められるため、常に成長し続ける環境が整っていますよ。

舞妓さんとして働く中で、特に独特の文化やルールに慣れることが最も難しいと感じています。この世界には、タクシーの乗り方や先輩に送るメールやLINEの文章の書き方など、非常に細かい礼儀作法があり、上下関係も非常に厳しいです。普段の過ごし方や振る舞いにも注意が必要で、最初は全く知らなかったため、戸惑いや難しさを感じることが多くありました。先輩方に教えていただける環境があり、少しずつ慣れてきました。厳しさの中にも多くの学びと楽しさがあるこの世界で、自分自身が成長していけることにやりがいを感じています。

自己成長を追い求める姿勢、本当に素晴らしいです!そんな厳しさの中でこそ感じられる、花柳界ならではの魅力がたくさんあると思います。

そうですね!!私は、この世界で働く中で舞妓さんや芸者さんたちの姿に強く惹かれました。彼女たちは、裏では普通のお姉さんのように気さくで大胆な一面を見せながらも、お客様の前に出ると優雅で美しい姿に一変します。そのギャップと「まるで女優さんのような振る舞い」に衝撃を受け、かっこいいと感じ、憧れを抱きました。

そして、舞妓さんは若いうちしかなれないという制限があることも理由の一つです。舞妓さんは「半人前」としての初々しさや可愛らしさを象徴する存在であり、その経験が後に芸者さんになる際の一種の「箔」やブランドになると知り、「今しかできない」という思いから挑戦を決めました。

1日のルーティーンを教えてください。

お稽古がある1日のお話をさせていただくと、朝は11時からのお稽古に備えて、「置屋さん」と呼ばれる事務所に向かい、着物に着替えて準備を始めます。私服でのお稽古参加は許されていないため、1時間前には着替えを完了させています。

11時から1時間ほど、自分のお稽古を行い、その後は先輩である「お姐さん方」のお稽古を見学します。これがお昼過ぎの1時頃まで続きます。その後、昼食をとり、軽く昼寝をします。

午後4時頃からは、白塗りのお化粧を始め、着付け師さんに手伝ってもらいながら「振袖」と呼ばれる自分では着られない着物を着付けてもらいます。準備が整うと、夕方5時から6時頃から11時頃までお仕事をします。夜の仕事は、接待や取引の場を盛り上げるための「お座敷」での活動が中心です。

どのような中高生活を送ってきたのか、教えてください。

私の中高生活は、反発心や葛藤の多いものでした。中高一貫の女子校に通っていましたが、そこはとても閉鎖的な環境で、外部との関わりがほとんどありませんでした。そんな中、仲の良い友達が郊外で行われるイベントやボランティア活動に興味を持っていて、「一緒に行かない?」と誘ってくれました。軽い気持ちでついて行ったものの、その場で他校の生徒たちが社会や未来について真剣に考え、活動している姿に衝撃を受けました。

私は生徒会に所属していたので、学校にもっと外部との交流を取り入れたいと先生たちに提案しました。しかし、先生方との意見の衝突も多く、結局はうまくいかず、最終的には退学を選びました。


親御さんは反対しなかったんですか?

親からは、学校を辞める時や留学をする時など、反対されることが多かったです。しかし、私は自分で決めたことには責任を持ち、必ずやり遂げる性格で、猪突猛進な一面もあります。そのため、反対を押し切る形で選択を進めてきました。

ただ、感情的に押し通すだけではなく、親に納得してもらうために資料を作成し、自分の意思や計画をプレゼンしました。まるで取引先に説明するかのように丁寧に自分の考えを伝えることで、親も徐々に私の決意を理解し、最終的には一人の大人として決断を尊重してくれるようになりました。


人生で大切にしている価値観はなんですか?

私が大切にしている価値観は、「今を大事にする」ということです。

将来のことは誰にもわかりませんし、どう転ぶかも予測できません。私自身、コロナ禍で大学生活が想像とは全く違うものになった経験を通じて、未来のことを考えすぎても意味がないと気づきました。その時々で最善を尽くし、自分の感情に従って選択を重ねていけば、結果的に良い方向に進むと信じています。どんな状況でも「なんとかなる」と思えることも、大切な考え方だと思っています。

最後に、中高生に一言お願いします。

自分が熱量を注げるものをひとつ見つけてほしいです。それが部活でも、課外活動でも、ボランティアでも、趣味でも構いません。その過程で培った経験や努力が、将来の自分の武器になると思います。

もし今、何に熱中していいかわからないなら、それを見つけるためにいろいろなことに挑戦してみるのもいいでしょう。新しいことに触れる中で、自然と「これだ!」と思えるものに出会えるかもしれません。自分が熱くなれるものを探し、そこに向き合う時間を楽しんでほしいです!

まとめ

中高生の皆さんが普段はあまり触れることのない世界を覗き見ることができて、とてもワクワクしましたね!ぜひ、挑戦を恐れずにさまざまな世界に飛び込んで、夢中になっていることを続けてみてください。その先には、運命的な出会いや、自分自身を大きく変えるきっかけが待っているかもしれません。

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