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高校生が生成AIと共に奮闘した13の記録
前回、Loohcs高等学院の学期末発表会とそのお知らせについての記事を書きましたが、この度無事に2024年度の1学期末発表会を終えられたので、その総括記事を書きたいと思います。
「学期末発表会」は、Loohcs高等学院生がその学期での学びを活かしてプレゼンテーションを行うイベントです。今回の発表テーマは、「今までやってみたかったけど、できなかったあんなこと。今ならできる気がする、そう、ChatGPTとならね。」
ChatGPTを中心としてさまざまな生成AIを用いて、学生がさまざまなチャレンジを行いました。
全員の発表をざっくりご紹介!
最初は数人分だけ書こうかと思ったんですが、教員としては全員愛しているので(笑)、長くなりすぎないように発表者全員分をざっくり振り返ります!
大場くん 『ChatGPT戦術とゲーム攻略』
内容:FCモバイルというゲームで勝利するための戦術をChatGPTと一緒に考えた
筆者感想:ChatGPTが考え出した戦術を用いる前と用いた後で、勝率が明らかに向上していることをデータで示せていたのがとってもよかったです!ゲーム攻略は行き過ぎるとチートになってしまいますが(苦笑)、複雑な関数が入ってくる計算式をつくるとかなら輝くかも…???
福田くん 『偏食を治したい ~うどん編~』
内容:うどん嫌いを克服したいので、ChatGPTにうどん克服プログラムを生成させ、実際にそのメニューを作って食べた
筆者感想:生成AIで「偏食を治す」という非常に現実的な問題にチャレンジしているのがよかったです!「うどんを刻んでチャーハンに入れる」が最悪に不味かったのは笑いました。「ChatGPTで偏食は治せない」が結論なのはつらいところだけれど、チャレンジしようと思えたことが素晴らしい。
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木下さん 『何も期待するな』
内容:生成AIと仲良くなりたいので、とりあえずChatGPTと一緒にゲームを作ることにした
筆者感想:「自分の墓の場所を決めるゲームを作りたくてChatGPTに『死体を埋める場所はどこがいいですか?』と聞いた結果、倫理的に諭され続けた」はさすがに面白い。最終的に「得意なことがChatGPTと自分で被っていて、やってほしいことはできなかった」という気付きに繋がっていたのがよかったです!
木浪さん 『ChatGPTと私でつくる実在しない大学』
内容:『国際信州学院大学』というネット上の架空の大学のような、実在しない大学を自分も作ってみたくなり、ChatGPTと一緒に作った
筆者感想:「何から考えればいいかわからないかったので、何を決めれば大学っぽくなるかをまずChatGPTに聞いた」姿勢がよい。「この大学名と同じ名前の僧が室町時代にいたらしいから、仏教系の大学にすればそれっぽいのでは?」と着想を自分で広げられていたのもよかったです!
厚川くん 『Loohcsラジオ微改革』
内容:Loohcsラジオの運営がとにかく大変なので、その問題点をChatGPTとともに解決しようとした
筆者感想:今回の発表の中で1番差し迫って現実的な課題解決にチャレンジできていたと思います!各工程におけるマニュアルを作ったり、今後のさらなる課題点まで提出できて、もはや「仕事じゃん……」と思って社会人として素晴らしいなと思いました。(笑)
松島くん 『会話をしよう』
内容:初対面の人と話すのが苦手なので、初対面コミュニケーションを練習できるChatBotを作った
筆者感想:こちらもまた現実に差し迫った課題解決。(発表でぜひもっとアピールしてほしかったけど)採点システムを作るのに試行錯誤を繰り返していた姿が印象的でした。このシステムそのものを考えるにあたって初対面会話のパターンをいっぱい考えたのがたぶん1番学びになった!(笑)
松本くん 『かんけつぷちりょこぅ』
内容:ChatGPTにストーリー案を一緒に考えてもらいながら、アニメーション動画を作った
筆者感想:アニメーション作るのって、信じられないような枚数のイラストを描かなきゃいけないんですよ。それもっと自慢してくれてよかったのに!(笑)当日発熱して本人は会場に来れなかったのですが、発熱しつつ当日に発表動画を送ってきた本人の執念が素晴らしかったです(無理しないでね)。
佐野さん 『Local Locam camera Project Review』
内容:「場所の情感を拡張する」をテーマに、自分が撮った風景写真を写真・動画生成AIでコラージュしたり拡張したりした
筆者感想:「写真をプロンプトなしで拡張動画にすると、自分があえて映り込ませたものを不純物としてAIが排除してしまった。意図的なものを汲み取る力はまだないのだろうと思った」という言語化が素晴らしかったです。プロンプトと生成結果を分析しようとする姿勢がピカイチでした。
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財津くん 『やっほ〜、ゆうとだよ。』
内容:曲のコードを自動で生成してくれるアプリを用いて、この世にコードが出回ってなさそうな曲を実際に自分で演奏してみた
筆者感想:学期末発表会で歌唱する猛者は過去にいましたが、ギターを生演奏する猛者は初でした。(笑)1年生初めての発表会でそれをやる心意気がまず素晴らしいです。AIで生成した曲を演奏するかギリギリまで悩んでいたのに、よく仕上げた……!
髙田さん 『AI漫画家 青嵐先生‼︎』
内容:自分で漫画を描きたいのだけれどなかなか描けないので、原作から作画まですべてAIに任せてみたらどうなるのかやってみた(原作→ChatGPT、作画→Canva画像生成)
筆者感想:裏話ですが、たぶん生成を1番がんばったのは彼女。生成に失敗しては「自分で描いた方が早い…!」と唸っていたのが印象的でした。ChatGPTが自分のペンネームを「青嵐(あおあらし)」にしたの地味に面白い。「Canva先生、BLEACHに影響されすぎ」は世代なので笑ってしまう。
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中田くん 『~新路線計画について~』
内容:幼少期に架空鉄道を考えるのが好きだったので、11年越しにAIとともに架空鉄道を作ってみた
筆者感想:鉄オタの本気を見ました。間違いなく今回の発表で1番制作時間をかけたのは彼。「多摩川都市鉄道株式会社取締役」としてプレゼンを始め、よくよく見ると鉄道社員風の服装に自社社員証まで首にかけている。路線の検討も丁寧で、ロゴからカラーコードまでとにかく作り込まれていました。
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三嶋さん 『あの日の鳩』
内容:あの日見た素晴らしい鳩をどうにか画像生成AIで再現できないか奮闘した
筆者感想:テーマが1番意味がわからなくて最高です。本人は「別に鳩がそんな好きなわけじゃない」と言っているあたりに狂気を感じます。自分が言葉にできている以上のものを生成しようとする苦悩がよく見え、さらに理想の鳩に達しなかった理由を自分なりに考察していたところも素晴らしかったです。
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桐島くん 『桐島の発表』
内容:ChatGPTで彼女を作り、その彼女と(会話上で)ディズニーデートに行ってきた
筆者感想:彼の性癖、理想の恋人像をこれでもかと詰め込んだChatBotが出来上がっていました。デートの様子紹介では会場がその日1番の爆笑(と、ちょっと悲鳴)。所定時間の3倍である15分間喋り倒したものの、後に「15分!?」と皆が驚くレベルにあっという間に感じた発表でした。
「己の魂の輝きを信じて」
会の最後に一言、ということで、Loohcs高等学院で非常勤講師を勤めており、一方で現役大学院生として認知科学を専攻し、研究にバリバリAIを使っている後藤くんに講評をもらったのですが、こちらが事後アンケートで評判がよかったので最後にご紹介。
結局のところ、ChatGPTってそれ単体だとあんまり役に立たないんですよね。プロンプトめっちゃ作り込まないといけないし、どこかで見たことがあるようなものしか作らないし、自分で画像検索してレポート書いて手を動かした方がクオリティの高いものが出てきてしまう。
つまり、今回のプレゼンのクオリティを決めたのは、1学期の間に皆さんが何をみて、何を感じて、何を考えたかということでしかなくて、それが生成AIという道具を通して現れてきたという以上のことではないのだと思います。
だからこそ皆さんはぜひ、君たちはこういうことができるんだねと生成AIと戯れあいながら、己の魂の輝きを信じて、少しずつ自分や自分を取り巻く社会と向き合って行ってください。
それができた時初めて、生成AIは皆さんの強力な味方になってくれるはずです。
実際、さまざまな学生が思うような生成ができず、プロンプトの改良に悪戦苦闘していましたが、どんな命令を出すかは人間次第ですし、どんな生成をしたいと「思う」かは個人個人の人間次第です。嶺井も基礎スキルの授業の中で、ChatGPTはかなりハイクオリティな(大学入試の)志望理由書を書けるとしつつも、「ChatGPTの志望理由書で唯一足りないものは『想い』です」と言っていました。
「自分はこうしたいんだ」「自分はこれを大事にしたいんだ」「自分はここにこだわりたいんだ」、そんな風に強く思えることが、人間の人間らしいところ、と言い換えられるかもしれません。
そう考えると、学期末発表会って「自分はこうなんだ!!!」を改めて言語化できて、かつ表明もできる、すごくいい機会だなと自画自賛ながら思います。
当日ご観覧いただきましたみなさま、改めましてありがとうございました。もしもこの記事で学期末発表会が気になった方は、ぜひ来学期以降でお気軽にお申し込みくださいませ!
[今回の記事担当]内野 すみれ
1993年鹿児島生まれ。大学1年時から始めた塾講師のアルバイトで教育に関心を持つ。大学2年時から教育系の学生団体や一般社団法人で活動を始め、イベントの企画や運営を行う。大学卒業後は一度教育からは離れ見識を広げようと、多様な接客業に従事し、2020年にLoohcsにジョイン。
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