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1999会#2「解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話」@神奈川県立青少年センター スタジオHIKARI

<作品概要>

 コロナ禍最初期の2020年3月に旗揚げされた、1999年生まれの演劇人による団体「1999会」。
 1年半前にリーディグ公演として上演された作品が、同じ会場で、ストレートの作品に深化!
公演詳細: https://1999-2.webflow.io

 2009年に東京女子大学で実際に起こった出来事をモデルにして書かれた戯曲。学生達の入学からの4年間と、旧体育館で過ごしたこれまでの学生達が交差する群像劇。戯曲はhttps://playtextdigitalarchive.com/drama/detail/366に掲載されている。

<感想>

 1年半前は、20kg減量をほぼ達成した頃で、多分いまより前向きだったと思う。そんな時に観た印象は、概念的なところが多くて難しいというものだった気がする。今ほどたくさんの芝居を観てなかったし。

 この期間に色々な劇的なことがあり、最近は諦めにより落ち着いていたが、今日は心身が疲れていて、消したいような気分だった。

 それから1年半、さらに大学生活から遠ざかっているのに、作品世界との距離が近いと思った。特に、ちゃむさん(波多野怜奈さん)演じる「敬虔」には、いまの自分と重なるところが多かった。
 敬虔は、宗教を教養として学んだり、「話題」で人とつながるけど、人と深い精神的なつながりを避ける。そして、高校以前から仲良い3人組でも、疎遠になってしまう。
 私は、この1年半、大学での知り合い、同じサークルで4年間過ごしたような人でも、「あ、違う世界に生きているな」ということを痛感する。大学4年間ですら変化していくのだから、それはそうだなと。大学生の変化も大きいが、30も過ぎてより生きている世界の違いが明確になっているだろうと思う。

 また、「奔放」にも自分を重ねた。「新しい人とのつながりを作って、活動しよう」というような少し前の自分と、「みんなに置いていかれている」という最近の自分。

 ちょうど先週、大学の時に所属していた合唱団の演奏会を聴きに行き、団員だったときに演奏した曲を、いまの団員の方々が演奏しているのを聴いて、そして、終演後に同期2人と話したばかりで、この春にちようど卒業から10年となることから、大学生活への懐古・郷愁などもあるなかで、いまはもう目にできない「大学生活」というものを、擬似的に観させてもらったという感じがした。

 そして、メタ的には、昨年10,11月上演のチャミチャムcase3「いちごオレ飲みながらアイツのうわさ話した」のお三方、波多野伶奈さん、関彩葉さん、土本燈子さんが出演されていますが、関さんは、内田幸花さんの代役でのご出演ということで、図らずもあの高校生達が大学生になって…!(というほど、時間が経っていないのだが、)同作の高校生的な煌めく儚さ・瞬間性と、本作の不安定な永続性が、なんとなく対比的な気もして、勝手な感慨もあった。

 終演後には、主宰の谷川清夏さん、演出補佐の坂本沙季さん、波多野伶奈さんによる、演出に関するアフタートーク。「演出」を置かず、皆で作っていったという稽古の話が面白く、波多野さん拘りのシーンの話もあった。波多野さんは、いわゆる会話劇以外にも、タップダンスや音楽とのコラボ即興や、自身の企画「チャミチャム」で劇場以外の、カフェや団地、クリーニング店で公演を開演するなど、アート的な志向が強い方だと思っていたので、エピソードにとても納得しましたし、本作の、台詞や表情以外の部分に感じる、シンプルだけれど繊細につくられている美術作品のような印象は、波多野さんの感性も生かされている、というかとても「らしい」と思いました。(何様だよですね、ご無礼すみません、、)

 明日昼が千秋楽!都合がつかない方も、来月には配信があるのでぜひ!https://1999-2.square.site/

 高校演劇北関東大会開催地・松本に向かうバスより

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