16年

16年前の2月13日。高2の冬。

その日の1限は体育で、バスケだった。ありふれた授業のことなど、普通は憶えていないが、「それ」になった人はその瞬間を憶えているものらしい。

その時は、なんか耳鳴りがしているななとしか、思わなかった。その日の夜、イヤフォンを着けてiPod shuffle を再生するまでは。

右のイヤフォンからしか、音が流れなかった。

只事じゃないと思って、でも夜中だったので寝て。
翌日のバレンタインデーは土曜だった。
幸い近所の耳鼻科が開いていて、聴力検査をしたら、やはり左耳が聴こえない。すぐに大きな病院へ。
MRI検査だったかを受けて告げられたのは「突発性難聴」。即日入院。

最近はハロプロとか、他の歌手とかでもよく聞く病名だが、当時は初耳だった原因不明の難病。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/sensory-organ/s-001.html

治療法は、ステロイドの点滴と星状神経節ブロック(首に注射する、激痛が走る)。最初の2,3日が勝負で、1/3くらいは完治、1/3は改善、1/3は良くならないくらいと言われた。まずは9日間様子見て、再度9日間入院。一向に改善しなかった。

入院中の感情はよく憶えている。
親や友達が来てくれて嬉しかったり、同じ病気の方(中年の女性)と話したり。
初めての携帯もこの時に親が買ってくれた。

改善せず悲嘆にくれた終盤は、「もう来ないで」と母に八つ当たったりもした。病院食では足りず、自販機の焼きおにぎりと唐揚げのパック(サービスエリアとかにあるやつ)が毎日の楽しみだった。

退院してから5ヶ月くらい鍼治療もしたが、改善せず。大学生入試が迫ってきて、気が紛れたのが不幸中の幸いだったかもしれない。一橋に志望変更するときは、先生と激論交わしたが。

そして、今に至るまで、左耳は聴こえず、常に耳鳴りがしている。16年間。あと1年余で、人生の半分を超える。とうの昔に慣れたのは慣れたと思ってるけど、音楽はモノラル設定で聴くし、ライブに行く時は左に耳栓をする。大音量聴くと耳鳴りが響いてうるさいため。左側から話しかけられると、聞き取れないし。ストレスがないわけではないわな。

ともあれ、自分を形成してきた大きな出来事の一つなのは間違いない。そして、これからも。右耳を大切にしながら、音楽を芝居を会話を楽しんでいきたい。

ちなみに、さっき、電車乗ったら、すれ違いで降りた人が携帯を忘れていて、その場で渡せた。芝居が気づきの広さや行動に移す早さにつながってるのだろうか。スーツケースだから遠くからいらしたのだろう。良かった。

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