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「頼れるのは自分だけ」の言葉考

そして私はテレビを切る。もう頭の中は気になったひとつのことでいっぱいだ。CMの後の豪華ゲスト、そんなことには微塵も興味がない。

「頼れるのは自分だけ」って、なんか違和感ない?

そう、これ。よく聞くフレーズだけど、ちょっとどうにも腑に落ちない点がある。落ちそうで落ちないUFOキャッチャーの景品とか、我慢できる程度のくしゃみとか。そういう取るに足らないもどかしさ。

これは考えてみるほかない。


まず、「頼る」という言葉について。
私個人の感覚では「自分以外のものを当てにすること、信用して力を借りたりすること」という意味で捉えている。

うん、間違ってはなさそう。


正確に調べると、

【頼る】
①そのものを力になる(助けてくれる)ものと信用して、自分(のからだ)を預ける。
②つながりを求めて行く(き、助けを借りる)。
-新明解国語辞典 第四版

辞典のチョイスにやや偏りがある気もするが、ざっとこんな感じ。①の場合には「地図を頼って」「勘に頼る」などの用法が当てはまり、②の場合「親戚のおじさんを頼りに行く」などの用法になる。


では、「頼れるのは自分だけ」用法的にはどうだろうか。

②つながりを求めて行く(き、助けを借りる)。

こっち側で意味合いを考えると「自分をツテにする」ことになってしまい、ちょっと不具合がある。

①そのものを力になる(助けてくれる)ものと信用して、自分(のからだ)を預ける。

おそらくこっち側。ただ“自分を頼る”わけだから、

「力になるものと信用して、自分に自分(のからだ)を預ける」ということか。


「頼る」は自分以外のものを対象にする言葉、というわけでもないな。たしかに自分の記憶を頼りにとか勘を頼りには、そもそも自分自身を信用して行動・選択を預けてる。

ただいずれにしても、「自分の持つ(感覚や機能などの)部分」を対象にしている。

「頼れるのは自分だけ」は自分まるごとを対象にしていて、捨て身で裸一貫な感じもあるため言い回し的にも目立つ。使う側の自信も滲み出るから、汗臭さなく熱い意志を伝えられるわけだ。


頼れるのは自分だけ。「この子、もしかして自分に気があるんじゃない?完全にほの字じゃない?こりゃあイケるっしょ…!」ぐらいのイケる確信がないとなかなか言えないフレーズだ。

いつか私もこんなビッグなことを言えるようになるだろうか。頼りにされたいけど支えられてもいたい私であります。強欲〜。

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