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Ginger Root:来日ライブとアマイワナ

ライブレポートではなく(音楽サイトのキュレーターみたいな風体の人がたくさんいた。であれば、凡百の私が出る幕はないため)、単なる備忘録として、余韻のあるうちに言語化しておきたい。

そして少しでも、この高ぶりを分かち合えるリスナーが増えてくれればいいなと思う。


「Ginger Root 何者?」という声については、下記noteでめちゃめちゃ詳しく取り上げられている。Wikipedia以上に詳しいとても良い記事なので、ぜひ一読願いたい。


いま最高に聴いてみてほしい曲のアーティストであり、観てみてほしいクリエイターでもある。今回は、記念すべき来日ライブ初日の大阪へ行くことができた。


"Aggressive Elevator Soul"を体感する



Ginger Root は自身の音楽ジャンルとして、
「アグレッシブ・エレベーター・ソウル」を謳っている。

今回のライブでは、それがいかに的確に言い表されているかを体感することとなった。Lo-Fiヒップホップでもなく、シティポップでもない。

決して括り付けることのできない独自性。

エレベーターの中でひとり踊っているような落ち着いた空気を持ちながら、力強くアグレッシブな節も飛び出し、ソウルやファンクのノリ感が全体を流れている。

さらに70-80sの日本の音楽を掘りあてる嗅覚もすごい。表現に転化するセンスもすごい。ライブでは、YMOメドレーや秋元薫の『Dress Down』カバーも披露された。


ビデオ担当のデイビッド(後述するカメラマン)が終演後に演者・スタッフ用のセトリの紙をランダムな数人にプレゼントしていて……その紙の写真撮らせてもらえばよかったな……。



〈音楽〉と〈映像〉



今回、メンバーとしてビデオ担当がいたことも、映像やアートワークに注力してきた Ginger Root ならでは。常にカメラマンが舞台を動き回り、表情から演奏している手元から、とにかくフォーカスする。

それがリアルタイムで舞台上のブラウン管テレビに、そして3か所のプロジェクターで投影される。

昔の撮影機材を実際に使い、お茶目なカメラワークで飽きさせない。気が付くと、本人の横にあるブラウン管に視線が惹きつけられている。

ライブがまるごとミュージックビデオ化して、それが生中継されている様子を現場から見ているような浮遊感。

音楽と映像の二軸で楽しかった。

だからよかった。



アマイワナの鮮烈さ



アマイワナは Ginger Root の MVで、 竹口希美子という架空の昭和アイドルを演じている。

歌番組の本番直前に逃げ出してしまい、楽曲提供した Ginger Root が急遽代わりに出演したところ、スター街道を駆けていくことになるが――――と、2022年発表の『Loneliness』からMV間で続き物としてストーリーが描かれている。



自分の中では、MVに出てる希美子役の人という認識でとどまっていたが、今回のオープニングアクトでその認識を恥じることになる。

2000年生まれの自分より2つくらい年下で、 こんな大人びたパフォーマンスができるのか。なんて鮮烈で、なんてカッチョいいんだと度肝を抜かれた。

キュートさの内部に新しい音楽カルチャーを感じさせる強さ。ライブ終演後、即座に検索窓へ打ち込んだワードは「アマイワナ」だった。



頭の先から突き抜けた電撃に動かされるまま、Twitterからインスタ、YouTubeチャンネル、Spotifyに至るまで帰りの電車の中で全フォローした。

電撃にしびれたまま今日も曲を聴きかじっている。



視聴者から観客へ


手を振り上げ、 飛び跳ね、いわゆるロックバンドのライブしかほとんど体験してこなかったので、思い思いに体を揺らし、 次第に一体化していく感覚は心地よくて新鮮だった。

最後まで割れんばかりの拍手で幕を閉じ、興奮冷めやらぬ足取りで帰路についた。


ライブMCでは「日本のファンと、YouTubeアルゴリズムに感謝したい」とジョークを交えて言っていたように、観客はYouTubeのビデオを見てここへ来た視聴者が大半で、私ももれなくその一人だ。

そういったことからもGinger Rootもアマイワナも次世代的で、視聴者/観客に対する魅せ方がめっちゃ上手いのかもしれない。

パフォーマンスからは作って工夫して披露することの素敵さが伝わってくるようで、準備をする過程やその背景、カメラの裏側すらプロデュース作品になり得る。あらゆる面を表向きのコンテンツにできる YouTube 以降のセンスがあった。


いま絶対に観て聴いてほしい、とにかく良さをシェアしたくなる。Ginger Root という存在を成立させているチームごと好きになってしまう。

そんなライブだった。






思ってたよりめちゃめちゃ近かった






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