前を向いていつの日かを想う 1295日
命は流れていった
理由も原因も分からない
それが果たして
「死」なのかも不明だ
でも、確かに成長は止まっていて
白黒の画面の向こうのそれは動かないまま
医者は何度か画面を拡大したり小さくしたり
角度を変えながら僕らに様子を示してくれたが
何かが変わる様子も無く
理由も原因も分からないまま
ただ静かに今回は残念だけどと言葉を濁して
目を伏せただけだった
残念だけどで終わりを告げられた幸せの形
世界はそれでも何事もなく周り続けて
どれだけ悲しんだところで
流れた涙は拭ってしまえば乾いてしまって
僕と妻だけがどうしようもない
気持ちをどうしようもないまま
見つめているだけだった
儚く潰えた夢の形
言葉には悲しみが滲み
何が悪かったのかと考えるけど分からない
どうしたら良かったのかと考えるけど分からない
分からないけど考えてしまう
あれやこれやそれをもう一度
振り返っても何をどうする事もできないまま
手術の日を迎えるまでは僕らは三人なんだと
お腹を撫でながら泣きながら抱きしめ合った
何度も大丈夫だからと弱い心を奮い立たせて
今日まで過ごしてきた分
心が折れるのはあっけなくて涙は拭って拭っても
流れてきて
なんども嗚咽したから喉が痛くなって
どうしようもなく悲しくて
どうしようもないから
受け入れるしかなくて
それが辛くて痛くて悲しくて
どうにか自分たちなりに受け入れる為に
僕らは互いに抱きしめ合って
泣きに泣いたんだ
僕らはそれでも生きていて
その事実だけは変わらない
乗り越えられそうもない悲しい今日も
いつかは振り返る昨日に変わっていて
それを振り返る未来には
僕の手と妻の手を握って歩く
小さな子どもの姿が
そこにはあって欲しいと強く願っている
幸せを諦めたくない
手に入れる為には
前を向いて生きていくしかない
辛くても悲しくても引きずってでも
僕らは生きていくんだ