暑い夏とカキ氷
暑くなれば食べたくなるカキ氷
いちごにしようか
メロンにしようか
はたまたハワイアンブルーにしようか
迷うところだか
暑いと思考は単純化されて
赤が目立つからついつい
いちごばかりを選んでしまう
我が頭の安直なところは
昔から変わらない
照りつける強い日差しにより
氷が削られてカップに
盛り付けられていく端から
どんどん溶けていく
あぁ溶けてしまう前に
口に含まねばと気持ちが焦る
はあはあと熱い息遣いになってしまう
いちごのシロップがテロテロとかけられて
先端がスプーン状になったストローと共に手元に
差し出された瞬間に僕の手に伝わる幸せの冷気
しゃくりとストローの先端の
スプーンでほんのちょっとのカキ氷を掬い取る
粗く削られた氷に赤いシロップが
じんわりと染み込んでいる
口の中で氷が溶け出しほのかに甘く
そして幸せなほどに冷たい氷のありがたみ
暑い日だからよけいに際立つ
カキ氷への感謝の気持ち
しゃくしゃくとスプーンのついたストローで
カキ氷を掬い取っては食べていくと
あぁしまったやっぱりキてしまった
こめかみに走る痛み
キーンとする痛みは
大人になっても慣れない痛み
懐かしい気持ちにさせてもくれる
不思議な痛みが僕の頭をずきずきと刺激してくる
身体を屈めても治らない
何をやってもだめだから
悶えるしかないからひたすら悶絶
冷たいものを焦って欲張って
口いっぱいに頬張ると
現れるツンツンキンキンとした
痛みが頭の中を駆け巡る
癒しのカキ氷の唯一の短所だ
そんな痛みを覚悟してでも
炎天下の昼下がりになると
ついつい食べたくなるのが
カキ氷の恐ろしい魅力とも言える
降り注ぐ夏の日差しを浴びながら
食べるカキ氷はそんな短所を踏まえても絶品だ
喜びが汗となって身体に刻まれていく
冷たい喜び
夏の思い出
キラキラ滴る汗の玉
いちご味のカキ氷
スプーンのついたストローを
しゃぶりながら暑い夏を乗りきっていく