Fresh Home Baking
"Fresh Home Baking"
そう書かれた看板を見つけて車を停めた。
手作りパンとケーキの無人販売所だった。
ショーケース冷蔵庫の中にはアップルケーキやパイなんかが入っていた。
小さな金庫が置いてあって、そこに代金を入れるシステムだ。
あたり一面見渡す限り誰もいないこの土地で、果たして購入する人が来るのだろうか…
何しろ、1日に何人がここを通るかすらわからない。
ぼんやりしていると一台の車がやって来て、車から年配の女性が降りて来た。
この無人販売所のオーナーだった。金庫のお金を回収しに来たのだろうか。
彼女は丘の遠くに見える馬を指差して、あれはうちの子で他にも3頭いるんだよとか、娘がここから車で少し行った所に住んでるんだよとか、そんな他愛もない世間話をした。