二層カフェオレは芸術だ
爽やかな朝だった。
起きたら先ずすることといえば、無心でTikTokを見ることくらいだ。完全に意味の無い行為と頭ではわかっていても、行動を起こすまでにこういった時間を設けないと動けないのだ。その朝も、無心でTikTokを見ていた。ムカつく動画をスクロールし、カワイイ動物にいいねを押し…。そんな時、こんなことが頭に浮かんだ。
二層になってるカフェオレ、作りたくね?
そう思い立って、さっそく下準備をした。
先ず作り方を調べるところから。
フムフム。
どうやら普通の牛乳ではなく、ガムシロップなどで甘くしてコーヒーよりも重くすることで層が成り立っているらしい。
えー…。
私は甘くないアイスカフェオレがとにかく大好きで、夏の暑い日なんかにイッキ飲みすると頭がキーンとして…柔らかい苦味が舌に伝わって…最高だ…思い浮かべただけでも気持ち良くなれる。
それに比べて、甘いカフェオレは…ちょっと。あまり好きではない。
でもまあ仕方がない。二層カフェオレの為だもの。。。
今回だけは良しとしよう。
その日は午前中だけ出かける予定があったので、何かあった時のためにコーヒー氷を仕込んでおいた。
今まで紅茶氷は作ったことがあったのだが、今回初めて挑戦する。二層カフェオレに限らず、カフェオレの可能性を広げたかっただけなのかもしれない。
帰ってくるまでに凍ってますようにーとワクワクで冷凍庫に入れ、家を出た。
初めての挑戦
まず、最初に完成品を見てほしい。
テラ二層
完璧な出来だ。初めてとは思えない。
家にお越しいただいたお客様にこれをお出しすることが出来たら…なんて素敵なお家なのかしら。
作り方は簡単だ。とにかくレシピで見た通りにやってみた。
ただうちにはガムシロップがなく、このためだけに買ってくるのもなぁ…と思い、家にあった普通の砂糖を入れた。
牛乳をグラスの半分より少ないくらいまで注ぎ、そこに砂糖を入れてよくかき混ぜる。混ざったら氷を表面に浮かぶくらい沢山入れる。これがコツ。その後、ほかのコップで作っておいたコーヒーを浮かんでいる氷の表面目掛けてスプーンでそっと注ぐ。1杯ずつ、焦らず丁寧に。美しい二層を作るためにはここでガマンするのが大切なのだ。
ま、すぐ混ぜちゃうから意味ないんだけどね。
その後特に層を楽しむことも無く、かき混ぜてぐびぐび飲んだ。
味はなんてことない、普通の甘いカフェオレだ。
この時は気が付かなかった、二層カフェオレの沼に片足を突っ込んでいることに。
ちなみに、その後コーヒー氷に牛乳を注いだカフェオレも作って飲んでみた。
これが、全然美味しくない。美味しくないというか、カフェオレじゃない。
私はせっかちなので氷が溶けるまで待ちきれず、うっすいカフェオレを飲む羽目になった。紅茶だと美味しいのに…。もうやらない。
二層カフェオレが止まらない
次の日、お昼からの用事の前にまあまあ時間があった。
暇だしなんか喉が渇いたな…そうだ、また〝アレ〟やっちゃおう。
ちょっとコーヒーの層がデカすぎる気がするが、まあ二層っちゃ二層だ。
初日のあの完璧な層を作ることは出来なかったが、初心者にしてはナイス二層。
その日から、私は毎日二層カフェオレを作り始めた。
一体何が私をそこまで駆り立てるのか、自分でも分からなかった。
ただ二層になっているカフェオレだけを求め、それを作り続けた。
そして数日後
ガムシロップ買っちゃった。
だんだんとマンネリ化してきた二層カフェオレ作りに新たな刺激を求め、セブンでガムシロ購入。
さっそく作ってみた。
コップも変えて、気分変えちゃったりなんかして。
しかし綺麗に層になってはいるが、味がイマイチ。
しっかり甘いカフェオレはいいが、甘いような気がするカフェオレは大嫌いだ。中途半端は許せない。
せっかく作るんだからさ…美味しく頂きたいじゃん。
ということで混ぜてからガムシロップを1個追加してみた。
すると、美味しい!
いいじゃんいいじゃん。これからはガムシロップ2個で二層を極めよう。
飽きちゃった
その後も私は毎日二層カフェオレを作り続けた。
けれどある日、気づいた。
もう作らなくていいや。
普通に、飽きちゃったのである。
思えば、ガムシロップを購入した時が絶頂だった。
何をやっているんだろうか。意味、ないじゃん。
私の思考は急に賢者となった。
けれどいつか、この経験が活きる時が来るだろう。
皆さんが私の家に遊びに来てくださることがあれば、是非極上の二層カフェオレを作ってお出ししたい。