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宇宙人の回復法とクジャクの横断

1週間のうちに、見たいドラマや見たい試合があるのは幸せだ。ドラマなら1時間、サッカーや野球なら2、3時間、現実から離れて夢中になれる。

今クールのドラマは「クジャクのダンス、誰が見た?」と「ホットスポット」を見ている。
「クジャク〜」は、シリアスなクライムサスペンスだ。『イチケイのカラス』もドラマ化されている浅見理都の漫画が原作。“目撃者がいなくても価値があると言えるのか”というヒンディー語のことわざをキーワードに、過去の冤罪事件と父親が殺害された事件の真相を追う物語だ。
一方の「ホットスポット」はかな〜りゆるい。ホテルのフロントで働く主人公の同僚(高橋さん)が実は宇宙人で、その特殊な力を使い日々のちっっさな問題を解決する。
内容は真逆だが、どちらもつかれた気分を忘れさせてくれる、楽しみな時間だ。

とはいえ、物理的なつかれは気分だけでは解消しない……。実際問題、わたしの肩は、ヘアサロンでマッサージをしようとしてくれたスタッフさんに小声で「えっ…………」とフリーズされるくらいに超合金化している。痛いとかわからないくらいガチガチに凝っている。そんななか、うれしいことに夫が温泉旅行を計画してくれた。ありがたい!

久しぶりの温泉だ! 着いてすぐに大浴場の露天風呂に向かう。内風呂も露天だけれど、そちらはまた夜にゆっくりつかろう。

お風呂掃除の心配をせず、肩まで入れる大きな湯船は格別だ。のんびりお湯に浸かる。
そういえば、「ホットスポット」の作中、宇宙人の高橋さんは温泉に浸かって体力を回復させていた。宇宙人にとっての温泉の気持ちよさは、地球人の比じゃないと高橋さんは力説していたが、地球人の気持ちよさも、やっぱり負けていないんじゃないかと思う。体がほわほわほぐれていく。

ほわほわ……

……それにしても高橋さんは、宇宙人にしてはちがいがビミョーすぎるよな(笑)。小さなちがいとか、まわりの人と同じように共感できないとか、誰しもがちょっとずつ感じていることのような気が……。とくに学校に通っていた頃は、みんなで同じことをして、なんとなく同じように感じることが良しとされていた気がするから、自分自身も時々「え? なんかわたしだけヘン? ちがう?」と感じることがけっこうあったな……。そういえば、子どもが一時期「ワタシは火星人」と言いまくっていたことがあったな……。個性がちゃんとあるタイプだし、まわりとなんかちがうなーって思ってるのかも? まぁでも、大人になっていろんな人の話を聞くと、みんなどこか人に合わせきれなくて違和感感じているって話するしな……(類友の可能性もだいぶあるけど)。まぁ、たいがいみんな宇宙人というか、高橋さんというか……

ぼわぼわ……


どーでもいいことを考えていたら、だいぶ体が温まった。のぼせぬうちに温泉を出て、少し休んでから夕食をいただく。

目にも美味しい和食のコースだ。
お皿を出してくださるスタッフさんがいなくなるたびに、「美味しそう! 素敵っ!」と、すかさず写真を撮る。

前菜✨
上品な椀もの


しかし……

この温泉旅行に限らず、こんなに食べたものの写真を撮って、わたしはいったい何がしたいんだ?
インスタやXにアップするでもなく、ただスマホの容量を圧迫し続ける。しかも厄介なのは、本当に美味しそうなものが出されると、、、


……。
季節の魚のお刺身だったもの。


写真のことなど、がっつり忘れる!(爆)

お刺身と一緒にツマまで綺麗に食べ尽くしてから「あ! 写真!」などとあわてても後の祭りである。

まぁ、そんな体たらくの後も、やっぱり嬉しくなって写真を撮ってしまうわけだが……

箸休めのシャーベットは椿の器で。
飾りに生の椿を使っているのも粋。


その写真、なんなんだ? 問題はありつつも、温泉旅行は楽しかった。ご満悦で帰る帰り道、行きとは別の山深い道を行く。

細い道を順調に運転していた夫が、ふと、減速する。

「? どうしたの?」

後部座席から夫にたずねると、

「いまね、

クジャクが道路を渡ってたよ!!




へ?


ク、クジャク???



「……ねぇ、それ、本気で言っているの?

アレは、キジだと思うよ……」


助手席で静かに訂正を入れる子ども。

たしかに、インドのジャングルにいるクジャクが日本の山にいるわけはない。

「え? え? でも、インドじゃないからって、クジャクがいないとは限らないよ」

“クジャクのダンス、誰が見た?”的に言い張る夫。

“クジャクの横断”は本当にあったのか?

真実は、千葉の雑木林の中である。


そんなわけで、わたしが山中でクジャクのダンスを見ることはできなかったが、今週もジェフが勝った! 「2時間ドキドキしながら見てよかった!!」と、わたしはくるくる小躍りしている。

ジェフ千葉も、ドラマも、来週がまた、楽しみだ。

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