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散文詩 『冬の夜空 』#14

ビルの谷間に隠れて
しまっているけど
わたしは冬の夜空が
とても好き

鋭く研ぎ澄まされたような
冷たい空気に
燦然と 輝く
1等星の数々

子どもの頃
星座早見盤を見ながら
夢中になって
3つ星を探し
あっ! あれだ!

えっと 次は 赤い星···
赤い星···
まちがいない!
きっとあれがペテルギウス!
じゃあ、あの白い星がリゲル!

かじかんだ指先で
スゥッと夜空をなぞっていくと
突然 姿を現した
巨大なリボンのような
オリオン座

思ってた以上に大きいなぁ···

あの瞬間の感動は
今でも忘れられない

懐かしげに
夜空を見上げると
冬を彩った星たちが
そろそろ 西へと
帰っていく時分 

東の空では
街灯に同化したように
ぽつんと佇む 下弦の月
なんだか眠たそうに 
深夜の街を見つめてる

機嫌が悪いのかしら?

「今日のあなたも綺麗ですよ」
そう問いかけると
月は黙ってついてくる

人影が消えた街を
そっと照らすように···

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