ダイ×マコ(一部AI、海洋恐怖症注意)
全ては、博物館であのピンバッチを見た時から始まったんです…
言葉の説明
あなたは『ダイ×マコ』をご存知でしょうか?
そう、
「ダイオウイカとマッコウクジラの絡み」です。

私は別にイカもクジラもそんなに好きではないのですが、この2匹がお互いの命をかけて絡み合っている姿がとても大好きなんですよ❤️

なんかかっこよく無いですか?
詳しく説明を
いや…説明は難しいんですけど…何だろう…
例えば生き物って古今東西、ファンタジーから現実まで色んな種類の動物が戦ってるじゃ無いですか。
蜘蛛と蜂、人とマンモス、虎と龍
みたいに、その中でもダイオウイカとマッコウクジラってすごく特徴的なんですよね。
その特徴的な部分とは?
そうですねぇ…
まぁ、ここはそんなに特徴的では無いんですが…舞台が海なところですねしかも深めな所、深い海の底…人間が船の上からじゃ簡単に見えない場所で人知れず戦う二匹…それだけでかっこよく無いですか?
そして、何と言っても種族が違いますよね、軟体動物と哺乳類って。カレーライスとネルネルネルネくらい違いますよ…この異種格闘…みたいな感じがすごく好きなんですよ…
あと私…実は触手に憧れがあって…別に変な意味では無いですよ!
ただ…なんかかっこよく無いですか?
私、寄生獣とか大好きで…スパイダーマンでも一番好きなキャラはドクターオクトパスなんですよ。あの『ブンッ!』っと薙ぎ払う感じ、変幻自在で掴みどころが無い感じにすごく憧れるんですよ…
なぜこんな話を始めたのか…
……私ねこの二種類の生き物を見て
「自分の心みたいだな」と思ったんです。
優しい目をしたクジラに絡みつくウネウネした巨大イカ
それがどうもただしい心にまとわりつく悪意とか狡さに見えたんですよ。
だからこう思ってたんですね。
「あぁ…なんて可哀想なマッコウクジラ…このままではダイオウイカの触手によって海の底に引きずり込まれて食べられてしまう…がんばれ!マッコウクジラ!負けるな!善良な心!」ってね。
でも調べてみたら違ったんです。
これマッコウクジラがダイオウイカを食べようとしてる様子のピンバッチだったんです。

そもそもダイオウイカは食べる側では無く食べられる側だったのです!

狡い心は食べられる運命だったのです…
なぜこんな話をしたのか
私ね…昔は悪ガキだったんです…
よく人を殴ったり、物を隠して困らせたりして…本当に申し訳ない事をした…
両親も相当手を焼いていました。
そんな私も中学高校と進むうちにまぁ『まとも』になっていったんですよね。
そんな時ダイオウイカとマッコウクジラの話を知ってこう思ったんです。
「私の小さい頃のクソガキの部分が、このまま食い尽くされてもいいのか?」
このまま小さい頃の自分で無いものが自分を支配してもいいのかって。
それに反抗する為に今回のような事件を起こしてしまいました…
もちろん、反省はしています。
でも私は私に従ったまでです。
このまま死ぬまでこの深い檻の底だなんて耐えられません。
どうにか…どうにかなりませんかねぇ?
最後まで語り終
えた彼はガラス板の向こうで囚人番号が書かれた紺色のツナギを着ている。胸には持ち込みを許可された例のピンバッチ。
ガラス越しに私を見る彼の目はテラテラと妙な輝き方をしていて…
笑っているのか泣いているのか…
そもそもそんな人間的なものがあるのかわからない…魚介類のような…イカのような目をしていた。
