つけ麺イップスにご注意を
取るに足らないマイルールってあるよね。俺の場合それは「1週間にマックは2回まで」っていうポリシーだった。だから昨日はマックを通過して、何か久しく食ってないものを胃袋に入れようって気になってた。
それが、全ての始まりだった。3ヶ月に一回も行かないつけ麺屋。よっ友みたいな暖簾をくぐって、慣れない手つきで食券を渡した。ボーッとすること15分、待ち望んだつけ麺は金色に輝いてた。橋と麺が交差した瞬間に、ある思考がよぎった。
あれ?これってどうやって食うんだっけ…
みんなつけ麺を食べる時を想像してほしい。つけ汁をどう扱ってた?空腹と契約を交わした俺にはそれが思い出せなかった。手で持ち上げるべきか否か…犬食いをするなと厳しく教わった古の記憶が疼く。付け合わせで頼んだライスもまた良くなかった。ライスを食べる時は当たり前だがお茶碗を持ち上げるでしょう?
たどり着いた答えは…「つけ汁を持ち上げて食う!!」
書くまでもないが、不正解だ。「あっっっつ!!!」店内に21歳男性の咆哮がこだまする。こぼしたスープと麺がニットに絡みつく…インスタントヘルの出来上がりだ。
「お作り直ししましょうか?」と声をかけてくれる店員さん。100%自分のミスなのでやんわりとお断りしたのだが、「スープだけは変えましょう」という店員さんに押し切られ、スープを新調して頂いた。
ありがたいことこの上ないが、このケースで店員さんの方が「食い気味」なことってあるんだ。
つけ麺だけに…!
その後も、ナプキンやらテイッシュやらをドラえもんのように出してくれる店員さん。溢れる感謝を言葉にしようと絞り出した「いや〜つけ麺がほんと美味しそうで思わずこぼしちゃいました!」…いつもの冗談もこの時だけは「歯切れが悪い。」
つけ麺なのに…?
恥ずかしさから10分ほどで平らげ、「ご馳走様でした。ご迷惑をおかけしました」と口ずさみ、逃げるように退店。エスカレーターで「ラーメン汁 服にこぼした」と検索していた時の自分は、人生の虚無感ランキングTOP10には入るだろう。
帰宅後、速攻で中性洗剤をかけて洗ったが、こびりついた不安までは落ちなかった。