香港テニスオープン決勝の感想

昨日、ATP250の大会である香港テニスオープンの決勝が行われ、日本の錦織圭選手が出場されました。

相手はフランスのミュレール選手、27歳でプロ歴は10年以上のベテランの域に入りつつある選手です。ツアー優勝経験はないものの、トップ100を長く維持しており、昨年はマスターズで3回戦に進出するなど調子を上げています。
早速結果ですが、錦織選手から見て6-2,1-6,3-6の逆転負けでした。
錦織選手は準決勝では、相手のシャン選手が体調不良で途中棄権していたので、体力的に有利だと思っていました。加えて相手のミュレール選手はここまで全てフルセットを戦っており、消耗が予想されていました。

第1セット、サーブが浅く入るミュレール選手に対して、錦織選手はどんどん前に入ったリターンで攻め込みます。
ワイド、特にバックに短いボールを引き出してガンガンダウンザラインを決めるシーンが見れました。調子の上がらないうちにプレッシャーをかけていたように見えます、

第2セットに入ってミュレール選手は復調し、これまで決まっていたウィナー級のショットも一本繋がるようになりました。
ストロークも深さを増し、錦織選手から早々にブレイクを奪いました。勢いそのままに6-1でミュレール選手がセットを取り、イーブンになりました。

第3セット、錦織選手はいきなりサーブアンドボレーを入れて、相手に引出しの多さを印象付けます。第2セットから調子の落ちないミュレール選手に対して、ロングラリーで競り負けるポイントが多くなったように見えます。
足が止まり出した錦織選手に対し、ストロークの精度を落とさず、粘り強いラリーを展開するミュレール選手が2-2から4ゲーム連続で奪い見事優勝を決めました。

後から知りましたが、ミュレール選手はここまで4試合全てで逆転勝利を収めており、この試合を含めた5試合連続でセットダウンからの優勝は史上初だそうです。

中々一般プレーヤーで3セットマッチをプレイすることはないので、そもそも1セットダウンの感覚が分からない方も多いと思います。
0-6では圧倒的力量の差にモチベーションは下がりますし、6-7でも今までの1時間が無駄になった気がして精神的ダメージは凄まじいものです。
そんな中でも諦めずにこれまでのプレーを省みて、相手の長所短所を見抜き、自分のプレーの改善に繋がる冷静さと体力、精神力を5試合連続で発揮したミュレール選手は本当に優勝に値するものだと思いました。

今シーズンはまだ開幕したばかりなので、これを弾みにして躍動の一年にして欲しいですね。
両選手の今後と、もうすぐ始まる全豪オープンが待ちきれません。

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