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中国「軍事強国」への夢―劉明福を読む-0<前言>

ヤバい本が出てしまった。


 劉明福・著、峯村健司・監訳、加藤嘉一・訳 『中国「軍事強国」への夢』を読んでいる。峯村氏のX(ツイッター)に掲載された紹介文の一部を掲載する。

本書は『中国の夢』の続編として、2020年に中国で出版された。人民解放軍を世界一流の軍隊にするための戦略を綴ったものだが、台湾統一のシナリオなど中国の安全保障戦略の機微に触れる部分は、掲載の許可が下りずに大幅削除となっていた。今回、監訳者の峯村健司氏、訳者の加藤嘉一氏は削除された部分を含む完全版原稿を入手。劉氏から編集権、出版権を預かったうえで日本語版の刊行が実現した。では、世界初公開となる台湾統一シナリオとはどのようなものか。<後略>

https://twitter.com/kenji_minemura/status/1696347173892542954

深淵から覗いてくるタイプの本

まず、以下のようなタイプの人間は読んではいけない。

  • どんな本でも書いてある内容を信じてしまう人。

  • 反米主義者。

  • 妄想の激しい人。

  • 物事を額面通りに受け取ってしまう人。

なぜか?

 著者である劉明福氏は人民解放軍のタカ派として、習近平の中国の理論的支柱、戦略的大黒柱となっている人物だ。謙遜こそすれ、「中国の夢」を唱えたのも彼だ。つまり、現中国の内在理論の論理的支柱が語る本なのであり、中国側による「切り取り」、「欺瞞」、「虚偽」、「プロパガンダ(政治宣伝)」にまみれた一方的主張なのだ。都合の悪いことは綺麗に削ぎ落されている。だからこそ「書かれていないこと」に注目して読まなければならない本だと思っている。敢えて言えば本の形をしたアジビラである。
 確かに正直ごく一部には一理あるなと思う部分はある。だが内容を真正面から受け止め、まともに信じると簡単にあちら側へ行ってしまうだけの吸引力がこの本にはある。まるで深淵の方から覗き込んでくるような本なのだ。危険である。しかし、対立的状況にある相手の考えは知らねばならない。だから覚悟をもって読まねばならない。

5章の途中まで読んだ率直な感想

 まだ5章の途中までしか読んでいないのだが…はっきり言って恫喝だ。剣呑である。表面上は美辞麗句に飾り立てられているものの、恐ろしい単語がちりばめられており、しかも前後に大いなる矛盾がある。まだまともだったころの佐藤優が『野蛮人のテーブルマナー』で述べていた、「嘘をつかずに嘘をつくテクニック」が随所に仕込まれていると思う。読んでいて地雷原を歩いている気分だ。
 正直、台湾に住んでいる状態で読むんじゃなかったと後悔している。いくつかの敏感にさせるキーワードが1ページに2つぐらいずつ紛れ込んでおり、ぜひ誤訳であってほしいと思いつつ、外交文書を読み解くような慎重さで読むことが求められる本なのだ。
 薄い新書なのに濃厚すぎるので投稿は分割しようと思う。次の投稿からネチネチと分析(私の見方)を書いていこうと思う。

私には一銭も入らないのだが、ご購入はこちらから
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%80%8C%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E5%BC%B7%E5%9B%BD%E3%80%8D%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%A4%A2-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%8A%89-%E6%98%8E%E7%A6%8F/dp/416661424X


中国「軍事強国」への夢―劉明福を読む-1<感想>
https://editor.note.com/notes/n1ca9df79ec74/edit/


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