犬へのサマーカットは無知ゆえのハラスメント
6月から8月にかけて犬のサマーカットでトリミング需要が伸びたりしますが、サマーカットは犬にとってのハラスメントでしかないからやめませんか?
ちなみにここでいうサマーカットはバリカンで体毛を短く刈ってしまうことを言っておりますので、犬種の特性や固体の状態、飼育環境等に合わせて適切に行ったトリミングは除外してます。
つまり多くの方が
なんか暑そうだからとか、抜け毛がひどいし短くしてください
といった理由で行うサマーカットはほんとに良いことがないどころか負担が多いのでやめましょう。
この手の話は検索すればその理由についても詳しく書かれているサイトがでてくるので今更ですが、獣医師が解説しているサイトではトリミングの問題点があまり語られていないので、トリマー目線で解説していきます。
#トリマーでもないけど
犬の毛と肌は繊細なのでバリカンで刈るのはNG
実は犬の皮膚ってとっても繊細なんです。
人と違って被毛でおおわれているので肌自体の耐久性はあんまり高くないんでしょうね。
バリア機能を担う角質層がとっても薄いんです。
そして被毛も同様に表面を覆うキューティクルの層が髪の毛の数分の1。中心も空洞で細いです。
とまあ、そんな繊細な皮膚と被毛なもんですから、2~5㎜のバリカンなんかでカットしたらその摩擦熱で皮膚の角質層には結構な深手を与えることになりますし、被毛の切断面もハサミよりも粗くなります。
#ハサミの状態にもよります
ちなみに人のひげを剃刀と電気シェーバーで剃った時の比較は画像が出回っております↓
※被毛のカットも技術や道具でこれだけの違いがあるということをご理解ください。
犬の被毛は全身を覆っていますがその総量はなかなかのものです。
数字に表してみるとよくわかりますが、体重5㎏程度の小型犬で100~150万本の被毛を蓄えています。
それらすべてが上記の画像のような状態に変わると思うとちょっとぞっとしませんか?
ただでさえ高温多湿の夏の時期は皮膚トラブルが多い時期です。
こんな時に皮膚をこすりながらバリカンで毛を刈るのは、個人的にはかわいそうな気がしますけどね。
サマーカット後の皮膚や被毛の回復により栄養が必要になる!
ついでに栄養学的な観点からも意見させていただきますと、犬の被毛は人間と同じように1日約0.3㎜伸びるのですが、なんせ100万本以上も生えてますから、再生に必要な栄養もばかになりませんよ。
1日100万~150万本が0.3㎜伸びるとどれだけの長さになるかちょっと計算してみましょう。
0.3㎜×1,000,000=300,000㎜
30万㎜だとちょっとよくわかりませんね。
ではこれをメートルに直すとどうなるか。
1m=100㎝=1000mm
なのでざっと東京タワーくらいですね。
わかりますか?
紫外線を防ぐために必要な被毛を刈られちゃったら、ダメージの補修と量や長さの回復に結構な栄養がいるんです。
高温多湿で胃腸が弱ってるこの時期にその作業はなかなか重労働です。
胃腸もバテ気味なのに身体を作るために食べなきゃいけないんです。
必要な栄養を摂取するのももちろんですが、それをしっかり吸収できないと皮膚や被毛の回復がうまくいかないかもしれません。
犬種によっての差もあるようですが、バリカンで毛を刈ったらちゃんと生えてこなくなった・毛質が変わってしまったというポメラニアンの飼い主の声は多いようですね。
サマーカットをすれば犬は涼しいと感じるのか?
そもそも犬はほんとに毛が生えてると暑いんでしょうかね?
被毛は必要があって生えているものですから、むやみやたらにカットしてもいいことはありません。
飼い主は日傘をさしたり日焼け止めを塗って紫外線を防ぐのに、犬には毛を刈って紫外線を浴びさせようとするのはいかがなものでしょう?
人間の毛はもちろん、犬の毛も熱を感じません。それどころか髪の毛よりも高機能です。
犬の毛は中心が空洞になっています。
これは熱を蓄えにくく軽量化のためですが、こうした機能を持った被毛で覆われていますから、被毛の表面温度に比べると、体表の温度はそれほど高くありません。
残念ながら犬では計測したデータはありませんが、羊では実証されています。
羊と犬は同じではありませんが、少なくとも被毛には紫外線による影響を軽減する効果はありそうです。
とまあこんな感じで他のサイトとは少し違う理由を紹介してみましたが、いかがでしょうか?
少しはサマーカットに関して考えるきっかけになったなら幸いです。
昨日の投稿でも書かせていただきましたが、飼い主がしてあげたいことや犬が望むことが正しいとは限りません。
そのことをよく考えて愛する小さな家族のことをもっと知ってあげましょう。
まあサマーカットは犬も望んでいないと思いますけど。
ではまた